はバイク王のプロ査定士を招き、本誌編集長・黒田のナナハン3兄弟を実際に査定→買取までを完
全再現。オリジナル度・純正パーツの有無・カスタム歴の違いで査定額はどう変わるのか? 売却を考えているオーナー必見のリアル査定ドキュメントをお届けします!
文:黒田健一/写真:関野 温/取材協力:バイク王
※この記事は月刊『オートバイ』2026年4月号に掲載された内容を一部編集して掲載しています。

月刊『オートバイ』編集長・黒田/80年代のナナハンをこよなく愛す男。その理由は価格が安かったから。なんともまぁ、ロマンの安売りみたいな話だが、当時は手の届きやすい“絶版車”の登竜門だったのだ。
愛しのナナハン3兄弟ついに旅立ちのとき
ついに、その日がやって来た。
長年にわたり本誌の旧車企画で何度も登場してきた、筆者の愛車であるナナハン3兄弟、GPz750F・GSX750S・CBX750Fを手放す決断を下したのは、昨年12月のこと。
どの車両も、取材や撮影、ツーリングなどを通じて数え切れないほどの思い出を共にしてきた。だが、旧車オーナーとして避けて通れない現実がある。複数台を所有しても、実際に乗る時間は限られており、どんなに大切に室内保管しても、旧車は“動かさなければ劣化する”。
「だったら新しいオーナーのもとで、新たな思い出を作ってもらうほうが幸せかもしれない」。
そんな想いが少しずつ現実味を帯び始め、ついに売却という道を選んだ。



とはいえ、3台とも40年以上前の絶版車。現在のコンディションは良好でも、売却の段階で想定外の不具合が起こる可能性もある。そうしたリスクを考え、今回は個人売買ではなく、買取業者に依頼することにした。
お願いしたのは、旧車の取扱実績も豊富な「バイク王」。
冬の柔らかな日差しの中、ガレージの奥に並んだナナハン3兄弟。それぞれのタンクには、年月を重ねた塗装の艶と、筆者自身の記憶が映り込んでいた。
果たして売却は実現するのだろうか……。
査定車両3台のコンディションを紹介
スズキ GSX750S|遠くへ行くなら迷わずコレ

前オーナーがしっかり整備していただけに、とにかく絶好調だった。マフラーやシート表皮も純正のままで、長期間放置していてもすぐにエンジンがかかるほど始動性は抜群だった。唯一気に入らなかったのは、1100用のセパハン。腰痛持ちには不向きだったため、幻の“耕運機ハンドル”を探し回った思い出が懐かしい。
ホンダ CBX750F|初めての旧車がCBXだった

影のうすい旧車だけに、新品の純正部品を入手するのは、とにかく苦労した。特にカチカチになっていたインシュレーターを海外サイトで偶然「最後の新品1セット」を見つけたときは、思わず胸が熱くなった。ニュートラルスイッチも独特な形状のため分解して修理するなど、苦労話は尽きない。自慢はモリワキ・フォーサイトマフラーだ。
カワサキ GPz750F|一番お金をかけたGPz

中学生の頃から胸に刻んだ「いつか手に入れてやる」を、ついに形にした一台。腰上オーバーホールに新品ピストン、強化メインハーネスで電装も刷新。鼓動を響かせるメガホンマフラーとYSSリアショックで走りも妥協なし。ほぼ全バラにしてから組み上げたこの相棒には、工具の数だけ愛情が詰まっている。
査定で絶対に確認されるポイントは?

外装のオリジナル塗装
外装の状態は、査定において重要なポイントだ。当然、きれいであるに越したことはないが、自家塗装するくらいならオリジナル塗装のまま味わいを残しつつ、丁寧に手入れしておくほうが無難かもしれない。無理に自分で塗り直すよりも、その車両が持つ物語を、査定士が評価してくれる可能性もある。

自家塗装によくあるガソリンの侵食による塗装の剥がれ。耐ガソリンタイプのウレタンクリアの塗布不足が原因。

オリジナルの燃料タンクでもガソリンの影響で給油口まわりの塗装に変色が発生したCBX。

自家塗装であることを表す典型的な現象のひとつが塗装のヒビワレ。
純正パーツの有無
40年以上前の車両であれば、ある程度のくたびれはごく普通のことだ。不具合がなければ、純正部品のまま維持しておくほうが評価されやすい。
なかでも純正マフラーは、高ポイントにつながることもある。たとえ色あせたミラーでも、オリジナルにこだわる人にとっては貴重な部品となるのだ。

ミラーの外側が変色してしまったGPzだが、純正ミラーであることの方が評価されることもある。

純正スイッチの文字色が剥がれているくらいなら、この状態で使い続ける方が価値がある。

純正スイッチの文字色が剥がれているくらいなら、この状態で使い続ける方が価値がある。

マフラーは腐食しやすいので純正マフラーは非常に価値がある。
ゴム類・フレームの状態
ゴム類は製造から年月が経つほど劣化しやすい。特にエンジンまわりの熱の影響を受けるインシュレーター類は硬化しやすく、ハーネスの表皮もひび割れや剥離が起こることも。
転倒時にフレームのネック部分やハンドルストッパーなどに強い力が加わると、変形や塗装の剥がれにつながることもある。

経年劣化により皮膜がボロボロになり、ワイヤーが露出してしまったGPzは、市販の強化ハーネスに交換した。

ゴム製のインシュレーターは長年使い続けると熱によって固くなる。CBXのような影の薄いモデルは新品が入手できないことも。

転倒によってフレームのネック部分に強い力が加わると塗装が剥がれることがあるそうだ。
アフターパーツは評価に影響するの?

外した純正パーツは必ず保管しておこう。
ハンドルまわりやマフラー、サスペンションなどは、できるだけ純正品のままが望ましい。しかし、この3台の年代になると、その状態を維持するのは容易ではないのも事実だ。そのため、市販品に交換されていても査定への影響はそれほど大きくないという。
ただし、CBXに装着されているモリワキ・フォーサイトやBEETなど、当時人気を博したマフラーの場合は、むしろ付加価値として評価されることもある。



CBXとGPzのリアショックはYSS製に交換してあるが、たとえ純正ショックの状態が悪くても、捨てずに保管しておくと高評価につながる場合もあるそうだ。
査定終了! 最終買取総額は……

120万円!!!!
思い出がいっぱい詰まった我が愛車……安売りは絶対にしないと決めていたが買取金額を聞いて即売却を決意。
ここで差がついた!? 査定士が語る3台のリアル評価

GSX750S・買取価格:45万円

GSX750S・買取価格:45万円

GSX750S・買取価格:45万円
純正ハンドル装着車は初めて見ました
純正シート表皮をはじめ、ブラックメッキの純正マフラー、幻の純正ハンドルの3点が装着されている車両は初めて見ました。このような状態で残っていることは、絶版車としての価値を上げる大きなポイントです。
唯一残念なのはフロントカウルが自家塗装だったことです。予備の純正タンクを保管していたのは高評価です。

CBX750F・買取価格:30万円

CBX750F・買取価格:30万円

CBX750F・買取価格:30万円
オリジナルにこだわるファン向けの1台
外装のキズやタンクの塗装に変色はあるものの、すべて純正のままでそろっている点は、ファンに響く評価ポイントです。さらに入手困難の新品インシュレーターや、内部がピカピカに保たれた燃料タンクなどは高評価です。
当時人気を博したモリワキ・フォーサイトマフラーも高評価です。エンジンヘッドの自家塗装は惜しい部分ですね。

GPz750F・買取価格:45万円

GPz750F・買取価格:45万円

GPz750F・買取価格:45万円
コアなファンに刺さる空冷GPz
空冷GPzは、400や1100の方が査定が高くなる傾向です。ただ、このGPzはカラーリングこそオリジナルではないものの、状態が比較的良好で、エンジンの腰上オーバーホールが施されている点も高評価です。
タンク上部の液晶モニターが正常に動作していることや、純正の足回りも高評価です。フレームに凹みがあるのが残念。
予想以上の査定額に大満足! その場で即売したゾ

新しいオーナーのもとで10年先まで走り続けろ! 楽しい思い出をありがとう!
思い出があり過ぎて、涙・涙の感動的なフィナーレを想像していたのに……。想定外の査定金額に思わず満面の笑みで「とっとと持っていってください!」と売却を即決してしまった自分が憎い。
ただ、個人売買ではなくバイク王に売却したことで、後々のトラブルを一切心配する必要がないことや、車両引き渡しの二日後には全額が振り込まれる対応の早さなど、さすが業界最大手と感心させられた。
安心感と満足感に包まれながら、今は頭の中が120万円の使い道のことでいっぱいだ!
文:黒田健一/写真:関野 温/取材協力:バイク王
※この記事は月刊『オートバイ』2026年4月号に掲載された内容を一部編集して掲載しています。
