BATTLAX SPORT TOURING T33をBMWのスーパースポーツモデル S1000RRに装着して、熊本県のツーリングスポット「阿蘇」で走らせてみた。果たして、その印象は?
写真/折原弘之、聞き手/高橋剛

青木宣篤

WGP250、WGP500、MotoGPなどで活躍。鈴鹿8耐では2009年にヨシムラwith JOMOから参戦し優勝を果たしている。現在も各種メディアでロードレースの魅力を発信中!

画像: ツーリングタイヤ「T33」をスーパースポーツに装着したらどうなる? その相性を、青木宣篤が阿蘇ツーリングで検証!

スーパースポーツにツーリングタイヤってどうなの?

レースに明け暮れていた現役時代、ツーリングすることはほとんどなかった。当時のワタシにとって、バイクはレースするための道具。旅するための道具ではなかったのだ。

レースから退いた今も、実はツーリングをする機会はそう多くない。結局は全国あちこちのサーキットに出向くことばかりで、「のんびりとツーリング」という時間がなかなか取れないのだ。

しかし最近は熊本に出向くことが多く、阿蘇という絶好のツーリングスポットが非常に身近だ。今回はBMW S1000RRにブリヂストン・BATTLAX SPORT TOURING T33(※以下、T33)を履かせて、阿蘇周辺のワインディングロードを駆けてみた。

S1000RRはご存じのように、フルカウルを装備したスーパースポーツモデルの代表格だ。一方「T33」は“スポーツツーリング”を謳っている。ここにちょっと違和感を覚える方もいるかもしれない。「スーパースポーツに、ツーリングタイヤ……?」と。

画像: BMW S1000RR

BMW S1000RR

画像: 構造とパタンの最適化によって、「T32」比較で47%の摩耗ライフ向上を実現した「T33」。

構造とパタンの最適化によって、「T32」比較で47%の摩耗ライフ向上を実現した「T33」。

「S1000RRのようなスーパースポーツモデルには、よりスポーティーなBATTLAX HYPERSPORTS23、あるいはよりハードなサーキット走行にも対応するBATTLAX RACING STREET RS11を履かせるもの」と考えるのが自然だからだ。

ワタシ自身、S1000RRに似合うタイヤとして、すぐにS23やRS11が思い浮かぶ。実際のところ、走行会やスクールイベントなどでサーキットを走る機会が多いからだ。だが、たくさんの一般ユーザーの方たちに聞くと、いくらスーパースポーツでもサーキットに行く方はなかなかの“レアキャラ”。圧倒的にツーリングユースが多いようだ。

であれば、本来ならBATTLAX SPORT TOURING T33もスーパースポーツ用タイヤとして視野に入ってもおかしくないはず。じゃあ実際のところどうなんだろう……という疑問を解き明かすのが、今回の阿蘇ツーリング with S1000RR+T33の狙いである。これがまた、非常に興味深かった。

画像: 熊本県のミルクロードや、周辺のワインディングロードをツーリングしてきました!

熊本県のミルクロードや、周辺のワインディングロードをツーリングしてきました!

「公道を気持ちよく流すペース」との相性がバツグン

まず最初に声を大にして言いたいのは、阿蘇ツーリングがめちゃくちゃ気持ちよかった、ということだ。爽快なコーナーの連続。日本離れした雄大な山岳風景。走れば走るほど、阿蘇の魅力がライダー心を刺激する。さすがはツーリングのメッカだけあって、ライダーの姿も多い。皆さん、しっかりとルール&マナーを意識したライディングで、そのことも気持ちよかった。

画像: 撮影日は快晴に恵まれ、多くのツーリングライダーに出会うことができた。

撮影日は快晴に恵まれ、多くのツーリングライダーに出会うことができた。

画像: ミルクロードにて。

ミルクロードにて。

そしてそういった公道での常識的なペースにおいて、S1000RR+T33のマッチングは驚くほどよかった。「特に不満はない」とか「これでもいい」とかいうような消極的なチョイスではなく、「これがいい」と積極的に言いたくなるほどの相性のよさだったのだ。

「スーパースポーツにツーリングタイヤ」という意外な組み合わせの相性の良さについて、ちょっと細かく説明してみよう。S23、そしてRS11とスポーツ度が高まるにつれて、タイヤは荷重を求める。分かりやすく言えば、タイヤが大きな加速度と減速度を必要とするのだ。

……むしろ分かりにくくなったような気がする(笑)。大前提として理解していただきたいのは、「スポーツ度の向上=速度域の向上」ということだ。どなたでも想像できると思うが、サーキットは公道よりはるかに速度域が高い。国際サーキットともなれば、もっともスピードが落ちるヘアピンカーブでさえ80km/h以上出ていることがザラだし、ストレートエンドでは300km/hからブレーキングも珍しくない。

そういう高い速度域でブレーキをかければフロントタイヤに大きな荷重がかかるし、コーナー出口で大きくスロットルを開ければリヤタイヤに大きな荷重がかかる。つまり、タイヤのスポーツ度が増す=大きな荷重に耐えなければならないのだ。むしろ、大きな荷重がかかった時にこそ、最高のパフォーマンスを発揮するように設計されている。

では、スポーツ度が高いタイヤを公道で使うとどうなるか。これがなかなか手強い。もともとが大きな荷重がかかることを想定して作られたタイヤだから、低速度域でそれほど荷重がかからない公道では、機能しにくい面があるのだ。

S23もRS11もストリートタイヤというジャンルだから、サーキット専用のレースタイヤと比べれば、公道でもきちんと機能してくれる。レインコンディションでのグリップも安心は安心なのだが、どうしても操作性に重さがあるし、明確な意思を持ってハンドル操作する必要もある。

「それこそがスポーツタイヤの証だ!」とプライドを感じたり所有欲を持つこともできるが、ちょっと待ってほしい。せっかくのツーリングなのだからライディングのことはあまり考えず、景色を楽しんだり、次に何を食べるか思いを巡らせたりしたいではないか。

その点T33は、「公道を気持ちよく流すペース」との相性がバツグンだ。ハンドル操作などしなくても、コーナーの先に視線を送り、ちょっと上体をずらして体重移動するだけで、スッとS1000RRが旋回してくれる。その自然なフィーリングが本当に心地いい。

何も考えず、特別な操作もせず、行きたい方向にスムーズにS1000RRが向きを変えてくれるのだから、乗り手であるこちらには心身ともに余裕ができる。それが景色を眺めたりランチのことを考えるゆとりにつながり、ひいては、周囲の交通に気を配ることによって安全にもつながる。まさにいいこと尽くしなのだ。

画像: テストコースでは「T32」と比べ約10%少ない操舵角でコーナーを通過できたという「T33」は、コーナリング中のハンドル振れも抑制されている。疲れないツーリングに貢献してくれる性能向上だ。

テストコースでは「T32」と比べ約10%少ない操舵角でコーナーを通過できたという「T33」は、コーナリング中のハンドル振れも抑制されている。疲れないツーリングに貢献してくれる性能向上だ。

画像: ドライコンディションではコーナリングの安定性や旋回性などが向上した「T33」。

ドライコンディションではコーナリングの安定性や旋回性などが向上した「T33」。

公道ツーリングがメインなら…青木宣篤のオススメは?

画像: 走るシチュエーションや、求める性能に応じてタイヤは選びたい。

走るシチュエーションや、求める性能に応じてタイヤは選びたい。

スポーツライディング派や、スーパースポーツ愛好者ほど、装着するアイテムに「ツーリング」という言葉が入っているのを敬遠する傾向がある。なんとなくダウングレード感があるし、「せっかくスーパースポーツなんだから」と、「ハイパースポーツ」や「レーシングストリート」という銘柄に魅力を感じるのだろう。

その気持ちは分かる。痛いほど、分かる。だが、例えスーパースポーツでも公道ツーリングがメインユースなら、ワタシは断然T33をオススメする。プライドや所有欲のためにヤセ我慢する必要はどこにもない。気持ちよくてラクで楽しく、低速域でも路面からの情報を豊富に伝えてくれ、しかもロングライフも実現しているT33を選ぶことに、躊躇しないでいただきたい。そしてもしサーキットを攻めたい気持ちがあるなら、こちらも躊躇せずにS23を、さらにペースアップを狙うなら迷わずRS11を選んでいただきたいのだ。

これほどくっきりとキャラクターが異なるラインナップを揃えられるのは、ブリヂストンに高い技術力があるからこそ。その技術力を信頼し、自分のスタイルに合ったタイヤを選ぶことが、末永いハッピーにつながる──。阿蘇の壮大な景色の中を爽やかにライディングしながら、たくさんのトンボが目を引いた。T33を履いたS1000RRが旅の相棒になってくれたから、ワタシには秋の訪れを感じる余裕がたっぷりとあった。

画像: ミルクロードの「絶景駐車場」と呼ばれるエリアでひとやすみ。

ミルクロードの「絶景駐車場」と呼ばれるエリアでひとやすみ。

BATTLAX SPORT TOURING T33 タイヤサイズ

フロントタイヤ

タイヤサイズ税込価格標準リム幅適用リム幅外径トレッド幅
120/70ZR17 M/C (58W) TL¥28,0503.5インチ3.50~3.50インチ603mm121mm
120/70ZR18 M/C (59W) TL¥28,9303.5インチ3.50~3.50インチ629mm120mm
110/80R19 M/C 59V TL¥30,2502.5インチ2.50~3.00インチ662mm108mm
120/70R19 M/C 60V TL¥31,9003.5インチ3.00~3.75インチ652mm122mm
画像: 前後タイヤ共に「T33」はパタンデザインを新設計。溝比率が最適化されている。

前後タイヤ共に「T33」はパタンデザインを新設計。溝比率が最適化されている。

リアタイヤ

タイヤサイズ税込価格標準リム幅適用リム幅外径トレッド幅
150/70ZR17 M/C (69W) TL¥36,1904インチ4.00~4.50インチ641mm150mm
160/60ZR17 M/C (69W) TL¥36,0804.5インチ4.50~5.00インチ624mm163mm
170/60ZR17 M/C (72W) TL¥39,7104.5インチ4.50~5.50インチ637mm168mm
180/55ZR17 M/C (73W) TL¥41,1405.5インチ5.50~6.00インチ629mm181mm
190/50ZR17 M/C (73W) TL¥41,9106インチ5.50~6.00インチ624mm193mm
190/55ZR17 M/C (75W) TL¥42,7906インチ5.50~6.00インチ643mm187mm
画像: リアタイヤのセンター部分には、新設計の「耐摩耗向上ポリマー」を採用。耐摩耗性の向上を実現している。

リアタイヤのセンター部分には、新設計の「耐摩耗向上ポリマー」を採用。耐摩耗性の向上を実現している。

写真/折原弘之、聞き手/高橋剛

ブリヂストン公式サイト

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