まとめ:宮﨑健太郎/写真:南 孝幸、赤松 孝
(初出:月刊『オートバイ』2025年7月号)

伊藤真一(いとうしんいち) 1966年、宮城県生まれ。1988年、国際A級に昇格と同時にHRC ワークスチームに抜擢される。以降、世界ロードレースGP(MotoGP)、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。
2025年は監督として「Astemo Pro Honda SI Racing」を率いて、全日本ロードレース選手権や鈴鹿8耐などに参戦する。
DCTの熟成度をさらに高めた新型X-ADVに感嘆!

初代X-ADVは2017年にデビューしましたが、今日までの歴代X-ADVはいずれもお気に入りのモデルでした。スクーター的なライディングポジションながら、フラットダートな林道ならば躊躇することなく入っていけるオフロード性能があり、峠道のオンロード走行では意外なほどのスポーツ走行が楽しめる。そしてスクーター的なユーティリティ性がしっかりあるので、日常的な街乗りの使い方にも適しています。今販売されているすべてのオートバイのなかでも、かなり個性が際立っているモデルですね。変速機はDCTのみの設定ですが、普段オートバイ選びをするときには、自分はマニュアルの変速機を選びたいタイプなのですが、歴代X-ADVはDCTとの組み合わせがとても良いので、仮にマニュアル仕様が設定されていたとしてもDCTを選びたくなる、非常に稀有なモデルだと思います。
新型X-ADVはDCTのセッティングが改良されていますが、実際に乗ってみると粗探しをしないと気になるところが指摘できないくらい、非常に良くなっていました。以前のDCTは、Uターン時など極低速時にクラッチが繋がっているか、切れているかわからなくて怖い感覚もありましたが、新型ではそういうことが遠い記憶に思えるくらい自然に扱えました。