エンジンオイルは、エンジンやクラッチの潤滑や保護のためにとても重要。冷却、清浄、密閉、防錆などの役割も担っています。ただ、バイク用の場合、4サイクルエンジンオイルと2サイクルエンジンオイルがあり、種類・粘度・規格などさまざまで、かなり複雑です。そこで、本記事は、エンジンオイルの選び方を紹介しつつ、おすすめのバイク用エンジンオイルをご紹介します!

執筆者:海波爽(ライター)
17歳頃に原動機付自転車の免許を取得し、18~19歳頃に普通自動二輪車の免許を取得。以降バイクの楽しさに目覚め、気の向くままにゆったりと流すように出かけています。チェーンの掃除やプラグ交換など、簡単なメンテナンスは自分でしますが、オイル交換のような後始末に手が掛かるものは少し苦手です。最近は車にも興味を持ち、スポーツカーの情報を追う日々です。

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エンジンオイルとは、人間にとっての血液のような存在です。特にバイク用エンジンオイルは、自動車用とは異なりクラッチの潤滑も担うほか、冷却、清浄、密閉、防錆など多くの役割があります。エンジンの性能を最大限に引き出し、クラッチの故障を防ぎ、寿命を伸ばすためにも、定期的なオイルのメンテナンスは欠かせません。

複雑で選ぶの難しいバイク用エンジンオイルについて、本記事では詳しく解説していきます。またオイルフィルターの交換頻度についても触れているので、最後までお付き合いくださいね。

バイク用エンジンオイルとは? 必要性について

バイク用エンジンオイルとは、自動車用とは違う特性を持つ二輪車専用の潤滑油になります。現在多くのバイクは、エンジンとクラッチがオイルを共有する湿式クラッチ方式を採用しています。そのため、バイク用エンジンオイルはこれらのすべてを潤滑させる必要性があります。

画像: バイク用エンジンオイルとは?

バイク用エンジンオイルとは?

エンジンオイルのおもな役割は以下の5つです。

  • 潤滑
  • 冷却
  • 清浄
  • 密閉
  • 防錆

さらにバイク用エンジンオイルには、粘度低下を抑えるためのせん断安定性やクラッチの滑りを抑える摩擦特性を持ちます。

バイク用エンジンオイルは、エンジンだけでなくクラッチの摩擦を減らしたり冷却するためにも重要です。結果として、バイクの性能を最大限引き出し、劣化を抑えて寿命を伸ばします。

バイク用エンジンオイルの選び方:バイク用エンジンオイルのタイプ

バイクのエンジンは、おもに4サイクルエンジンと2サイクルエンジンの2つです(4ストや2ストと呼ぶことも)。それぞれ構造と潤滑方式が大きく異なるため、エンジンオイルも4サイクルエンジンオイルと2サイクルエンジンオイルに分かれています。

画像: バイク用エンジンオイルの二つのタイプ

バイク用エンジンオイルの二つのタイプ

4サイクルエンジンは吸気、圧縮、燃焼、排気の4工程で動くエンジンです。2サイクルエンジンは「吸気と圧縮」、「燃焼と排気」の2工程で動きます。2サイクルエンジンの方がシンプルな構造で高出力な反面、ガソリンにオイルを混ぜて燃焼させる構造のため、排気ガス中に一酸化炭素や炭化水素が多く含まれ、燃費が悪い傾向にあります。

そのため、旧車や小排気量スクーターなどを除いて、現在ほとんどのバイクが4サイクルエンジンを採用しています。誤ったエンジンオイルを使用するとトラブルの原因になるので、交換前に必ずどちらか確認しましょう。

バイク用エンジンオイルの選び方:金額

バイク用エンジンオイルの金額は後述している種類(ベースオイル)やブランド、粘度などによっても違ってきます。本記事では、1L缶あたりを種類別で紹介します。一例にはなりますが、以下のとおりです。ちなみに4サイクルエンジンオイルと2サイクルエンジンオイルでは、若干2サイクルエンジンオイルのほうが安い傾向にあります。

鉱物油1,100円~2,500円
部分合成油(セミ合成油)1,600円~3,500円
100%化学合成油2,000円~6,500円

筆者が普段使っているのが、部分合成油のバイク用エンジンオイルです。余談ですが、バイクに乗り始めた2010年頃と比べると、円安、国際情勢の変化の影響か値上がりしています。

バイク用エンジンオイルの選び方3:種類や粘度など

バイク用エンジンオイルは、種類や粘度、API規格やJASO規格などの押さえておくべきポイントがあります。

種類は、ベースオイルの製法によって以下の3つに分類されます。

  • 鉱物油
  • 部分合成油(セミ合成油)
  • 100%化学合成油(全合成油)
画像: バイク用エンジンオイルの種類

バイク用エンジンオイルの種類

鉱物油とは原油を精製して作られる基本的なバイク用エンジンオイルです。ほかの2つに比べると安価な反面、油膜が切れやすい(※油膜切れ=エンジンなどの機械部品の表面に形成されるべき油膜が薄くなったり消失し、部品同士が直接接触したり摩擦や摩耗を引き起こす状態)ため、街乗り中心のスクーターや頻繁にオイル交換する方に良いでしょう。

部分合成油とは、鉱物油と100%化学合成油をブレンドしたバイク用エンジンオイルです。鉱物油よりも性能が高く、100%化学合成油よりも安価でバランスが良いです。前述したとおり、筆者は部分合成油のバイク用エンジンオイルを好んで使っています。

100%化学合成油とは、高度な化学分解や化学合成をおこない、不純物を可能な限り取り除いたバイク用エンジンオイルです。3つのなかで、耐熱性や潤滑性などすべてにおいてもっとも優れた性能を有しています。反面、金額は高め。サーキットや峠道を走るなど、エンジンへ負荷をよくかける方におすすめします。

次に粘度とは、エンジンオイルの「硬さ」のことです。0W-30や15W-50などと表示されています。Wの左側にある「0」や「15」が低温時の粘度を表しており、数字が小さいほどサラサラとしていて流動性が良いです。さらに冬場の始動性に優れており、燃費にも良いといわれています。

画像: バイク用エンジンオイルの粘度

バイク用エンジンオイルの粘度

対して、右側の「30」や「50」が表しているのは高温時の粘度です。数字が大きいほど高温時の油膜が維持されやすく、エンジンの保護性能が高くなります。バイク用エンジンオイルの粘度は、サーキットを走る場合に変えたり、乗るバイクの年式によって変える方もいます。基本的にはバイクメーカーが推奨する粘度を選ぶのが良いでしょう。

「規格」という要素もあります。

そのうちのひとつ、API規格は、アメリカ石油協会が定めるエンジンオイルの品質グレード示す規格です。バイク用エンジンオイルは「S」から始まる記号で表記され、アルファベットの後半の文字ほど新しく、性能が高いグレードになります。現在は、2020年に制定された「SP」が最新です。基本的には新しいものを選んでおけば間違いありません。

画像: バイク用エンジンオイルの規格

バイク用エンジンオイルの規格

JASO規格は、日本自動車規格が定める日本独自のバイク専用規格です。API規格ではカバーしきれないバイク特有の性能を定めています。

4サイクルエンジンオイル用の規格として、MAとMBに分けられています。MAはさらにMA1とMA2に細分化され、MA2はより摩擦係数が高く、クラッチのつながり感を重視する方におすすめです。

MBは主にスクーターなどの乾式クラッチや遠心クラッチのバイク用。燃費重視で摩擦を減らす成分が多く含まれるため、湿式クラッチのバイクに使用してはいけません。

2サイクルエンジンオイル用の規格にはFB、FC、FDがあり、最上位グレードがFDになります。

【4サイクルエンジンオイル】おすすめのバイク用エンジンオイルタイプ1

4サイクルエンジンのバイク用エンジンオイルのおすすめは以下の7つです。筆者としては、バイクの心臓部であるエンジンを守るためにもエンジンオイルは部分合成油か100%化学合成油が良いと考えています。そのため、鉱物油の紹介はひとつにとどめています。

ホンダ ProHonda PREMIUM SPORTS

ホンダから販売されている4サイクルエンジンのバイク用純正エンジンオイル(以前はウルトラG3という名称でした)。100%化学合成油による高性能ハイグレードオイルです。

フリクションロスの低減で、エンジンがスムーズに吹け上がります。粘度は10W-30です。極端な低温環境での始動性は高くありませんが、大半の場合はまったく問題ありません。加えてAPI規格はSL、JASO規格はMAになります。

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ヤマハ発動機 ヤマルーブ スタンダードプラス

ヤマハから販売されている4サイクルエンジンのバイク用純正エンジンオイルです。種類は鉱物油ですが、経済性に優れエンジンの基本性能をしっかりと引き出してくれます。車種を問わず使用できるベーシックグレードのバイク用エンジンオイル。粘度は10W-40です。

鉱物油なので基本性能はほかの種類に比べると劣ります。しかし、高温時の粘度が「40」なので通常使用には不足ありません。JASO規格はMA2です。

画像: ヤマハ発動機 ヤマルーブ スタンダードプラス
ヤマハ発動機 ヤマルーブ スタンダードプラス

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ワコーズ エンジンオイル PRO-S40 プロステージS

ワコーズから販売されている4サイクルエンジンのエンジンオイルです。自動車だけでなく、JASO規格のMAに対応しているのでバイクにも使えます。そのため、種類は100%化学合成油)で粘度は10W-40です。さらに、ワコーズ独自の3Dテクノロジーとニューリキッドセラミックステクノロジーを用いることで、エンジンを保護しながら低温から高温まで幅広く潤滑性を発揮します。

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エルフ MOTO PRO TECH 5W-40

エルフ(elf)から販売されている4サイクルエンジンのバイク用エンジンオイルです。種類は100%化学合成油になります。高い酸化耐性とせん断安定性を有し、油膜を保持できるので、長い間エンジンやギアを保護してくれます。粘度は5W-40です。

低温度の時に強く、流動性が良いのが特徴で、始動性に優れています。また、特殊な添加剤を配合することでシフトの入りやすさを改善して、クラッチディスクの摩耗や滑りを抑えています。API規格はSNで、JASO規格はMA2です。

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カストロール エンジンオイル POWER1

カストロールから販売されている4サイクルエンジンのバイク用エンジンオイルです。種類は部分合成油です。低速域から高速域までスムーズに加速し、振動も少なく快適な乗り心地をサポートしてくれます。さらに、高回転で高温の強い負荷がかかっている状態でもしっかり保護してくれます。粘度は10W-40で、街乗りから長距離ツーリングまで多くの場面で活躍可能です。

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デイトナ MOTOREX FORMULA 4T

デイトナから販売されている4サイクルエンジンのバイク用エンジンオイルです。種類は部分合成油になります。鉱物油と100%化学合成油、両方の長所を活かしたバランスの取れた商品です。粘度は15W-50になります。そのため低回転型のバイクには向いておらず、高回転型か夏期の使用が推奨されます(ホンダのCBR250RRやスズキのGSX-R125など)。API規格はSL、SJ、SH、SGになります。JASO規格はMA2です。

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TEITO PREMIUM M4S 10W-40

TEITOから販売されている4サイクルエンジンのバイク用エンジンオイルです。粘度は10W-40で、街乗りだけでなくサーキット走行など様々な場面で高い性能を発揮してくれます。種類は、新世代ベースオイルHIVIを使用した100%化学合成油です。

耐熱性や清浄性に優れているだけでなく、高いせん断安定性と高耐久のクラッチ摩耗性を有しています。またAPI規格はSNですが、JASO規格は摩擦係数が高いMA2を満たしています。

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【2サイクルエンジンオイル】おすすめのバイク用エンジンオイルタイプ2

2サイクルエンジンのバイク用エンジンオイルのおすすめは以下の3つです。2サイクルエンジンオイルは、ガソリンと混ぜ合わせるので混合比にも注意しましょう。

ヤマハ発動機 オートルーブ スーパーRS

ヤマハから販売されている2サイクルエンジンのバイク用エンジンオイルです。種類は100%化学合成油です。潤滑性と燃焼性を高い次元でクリアしているだけでなく、高回転高出力のエンジン性能をしっかり引き出してくれます。混合比は20:1(ガソリン1Lに対してエンジンオイルは50ml)です。JASO規格はFCです。

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カストロール エンジンオイル POWER1 RACING/ULTIMATE 2T

Castrolから販売されている2サイクルエンジンのバイク用エンジンオイルです。種類は100%化学合成油になります。キレの良いレスポンスと加速で、レーシングマシンの性能をも十分に活かしてくれます。混合比は30:1~50:1(ガソリン1Lに対してエンジンオイルは20ml~33.3ml)です。

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デイトナ Motorex CROSS POWER

デイトナから販売されている2サイクルエンジンのバイク用エンジンオイルです。種類は100%化学合成油で、スロットル開閉を頻繁におこなうオフロード車用に開発され、高い潤滑性と清浄性を両立しています。推奨混合比は100:1(ガソリン1Lに対してエンジンオイルは10ml)です。API規格はTCで、JASO規格はFDです。またISO規格はISO-L-EGDを満たしており、ピストン清浄性と洗浄性を合わせ持っています。

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バイク用エンジンオイルの交換頻度や補充

バイク用エンジンオイルの交換や補充を怠ると、エンジン性能や保護性能が低下してしまいます。最悪の場合はエンジンの寿命を縮めたり、故障につながったりもしますし、万が一走行中に故障した場合は事故につながる可能性も否定できません。

そのため、定期的にバイク用エンジンオイルの交換や補充をおこないましょう。具体的な頻度は以下のとおりです。

エンジンオイルの交換頻度:4サイクルエンジンの場合

4サイクルエンジンオイルは、走行距離か期間を目安に交換しましょう。基本的には3,000km〜5,000km、または6ヶ月ごとが一般的です。しかし、シビアコンディションといわれるような以下の場合は早めの交換が推奨されます。

  • 短距離走行ばかり
  • 長距離走行
  • サーキット走行など
画像: バイク用エンジンオイルの交換頻度(4ストの場合)

バイク用エンジンオイルの交換頻度(4ストの場合)

また、エンジンオイルが白く乳化した場合は早めに交換しましょう。加えてオイル交換2回に1回は、オイルフィルターの交換もおこなってください。あるいは5,000km〜1万km、または1年に1回です。

エンジンオイルの交換頻度:2サイクルエンジンの場合

2サイクルエンジンオイルの場合、ガソリンと一緒に燃焼するため交換ではなく、エンジンオイルが減ったらその分を補充する必要があります。また2サイクルエンジンのバイクには、エンジンオイルとは別にミッションオイルが使用されています。1万kmごと、あるいは2年ごとにミッションオイルを交換するのが目安です。

画像: バイク用エンジンオイルの交換頻度(2ストの場合)

バイク用エンジンオイルの交換頻度(2ストの場合)

バイク用エンジンオイルの選び方まとめ

バイク用エンジンオイルには潤滑、冷却、清浄、密閉、防錆など多くの役割があるため、エンジンを好調に保つためにはエンジンオイル選びは非常に重要です。

まずはご自身のバイクが4サイクルエンジンか2サイクルエンジンかを確認し、4サイクルならその後に部分合成油や100%化学合成油といった種類を選び、10W-40や15W-50といった粘度の中から、2サイクルなら3つのグレードの中から、使い方や希望に合ったもの、そしてバイクメーカーが推奨するものを選んでください。ほかにもAPI規格といった品質分類や日本独自のJASO規格も気にしておきましょう。

エンジンオイルはバイクに乗らなくても劣化します。たまにしか乗らないから交換は急がなくてもいいだろうと思わずに、性能維持や故障を防ぐためにも定期的に交換しましょう!

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