※この記事はウェブサイト「HondaGO バイクラボ」で2024年12月24日に公開されたものを一部抜粋し転載しています。
まとめ:宮﨑健太郎/写真:南 孝幸
(初出:月刊『オートバイ』2024年12月号)

写真左・伊藤真一(いとうしんいち):1966年、宮城県生まれ。1988年ジュニアから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。以降、WGP500クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。2024年も監督として「Astemo HondaDreamSIRacing」を率いてJSB1000クラス、ST1000クラスなどに参戦した。当研究所の主席研究員。
写真右・太田安治(おおたやすはる):東京都出身。元ロードレース国際A級ライダー。1970年代から月刊『オートバイ』の試乗テスターなどを46年間担当し、今まで試乗した車両は5000台を超える!
オフロードを積極的に走る人はDCTモデルは選ばない?
太田:「ロングラン」は何年も前から出たい! と思っていたので、今回も取材に参加できるのは嬉しいね。でも大型アドベンチャーもDCTも、個人的には購入対象じゃないって日頃から言っているのに、あえてこのモデルを当てがうってことは、オートバイ編集部の担当者に嫌われているのかな(笑)。
伊藤:前回NC750Xを取り上げたときも、太田さんは購入対象としてDCTモデルは積極的には選ばないと言ってましたね。
太田:アフリカツイン系に限らず、大型アドベンチャーを選ぶ人は、オンロードのツーリングに使う人がほとんどでしょ? アドベンチャー……冒険という名前が先行しているけど、四輪のSUVみたいにいざという時にはオフも走れる。そういうところに大型アドベンチャーの価値があるけど、実際に走るのはほぼオンロードというのが実情。ただ、これだけ本格的な装備だから、オフロードを走る機会があったら入りたい気持ちにはなるよね? そういう時に、マニュアルクラッチがないと嫌だな、と思ってしまう。
伊藤:動画サイトとかを観ると、大型アドベンチャーに乗って悪路ですごい走りをする人の映像とかアップロードされていますけど、あれだけ操れる人はオフロード上級者に限られます。
太田:オフロードの専門家じゃないから、グリップの低いところではDCTは怖く感じてしまう。変速時に自動でクラッチが切れる瞬間があるので、そこに意識とのズレが生じる。
伊藤:先ほど太田さんが砂浜走行したとき、マニュアルモードで1速とか2速で固定していましたけど、自動だとすぐに変速してしまいますね。エンジンブレーキでの速度調整も、オフロードでは難しく感じます。
太田:まぁオフロードを積極的に走る人は、MTモデルを選ぶだろうね。オンロードに関しては、DCTに不満を覚えることはない。ヨーロッパでの使い方みたいに高速道路を走っている時間が長ければ気にならないけど、狭い林道でUターンとかする時はDCTだと怖く感じる。
伊藤:オフロード走行より、パニアケースを付けて、2人乗りしてロングツーリングするのが楽しいバイクですよね。