まとめ:西野鉄兵/提供:バイク王

「バイク未来総研」とは
2022年3月にバイク王が、バイク業界のよりよい未来を考え、新しい価値を調査し、分析した内容を広く社会に発信することを目的に発足。所長はモータージャーナリストのほか多方面で活躍する宮城光氏。コロナ禍での中古バイクの価格推移や、四半期ごとのリセールプライスの調査、宮城光所長と二輪雑誌の編集長の対談などをニュース記事やインプレ記事とともに「Bike Life Lab」に公開中。
バイクのドラレコ装着率は約4割、年齢層によって大きく変わる
運転状況を録画し、万が一事故が発生した際に重要な証拠となるドライブレコーダー。あおり運転による事故や事件などをきっかけにその有用性に注目が集まり、2024年にクルマでは装着率が50%を超えたと報道されました。
ではバイクではどうなのでしょう。
2024年7月にバイク未来総研が949名のライダーに調査した結果、車体に設置するタイプのドラレコを使用しているのは、全体の4割という結果に。バイク未来総研は、GoProなどの車載アクションカメラが含まれている可能性があるとしていますが、多く感じます。
また、2019年12月にバイク用品店のナップスが調査を行なったところ、30.2%という結果でした。
それから5年ほどの月日が経ったことを考慮すると妥当な数値といえるかもしれません。
注目すべきは、年齢層によって装着率が大きく変わるということでしょう。もっとも装着率が高いのは20代、ついで30代。40代よりも10代のライダーの方が高く、50代は・60代は約2割に留まっています。
日本自動車工業会が発表した2023年度二輪車市場動向調査によると、国内の新車購入ユーザーの平均年齢は55.5歳でした。それに反比例するかのようにドラレコ装着率は低調です。対して警視庁の自動二輪車(51cc以上)乗車中の年齢層別死傷者数は、20代についで、50代が多くなっています。
事故の発生要因は運転スキルの度合いだけでは決して片付けられません。あおり運転、逆走車、居眠り運転や酒酔い運転での追突、アクセルとブレーキの踏み間違え……いくらライダーが気をつけていても避けられない事故や事件は起こり得る可能性があります。そんな万が一のとき、ドラレコがその瞬間を記録していれば確かな証拠を提出できるのです。

またドラレコは事故発生時に役立つだけでなく、撮影した映像を見返して楽しむといったアクションカメラ的な使い方もできます。GPSを搭載したモデルなら、どこを走ったかも分かるため、ツーリング中に偶然見つけた絶景スポットや、立ち寄った飲食店も位置情報として記録可能。安全安心のためだけでなく、ファン要素の機能が充実したモデルも増えてきています。
なぜドラレコを装着しないのか、未装着ライダーの回答は?
バイク未来総研はドラレコの普及率だけでなく、未装着のライダーに向けたアンケートを実施しました。

もっとも多かった理由は「価格が高いから」。次に装着の手間、装着スペースの問題と続いています。装着に関してはドラレコを販売している用品店なら、取り付けも行なってくれる店が大半です。複雑な配線が必要な製品も多く、工賃は安いとはいえません。そのため1位と2位の理由は、価格の問題という意味でほぼ同義なのかもしれません。
また装着スペースの問題に関しては、6位のデザイン性が損なわれるから、と近いものと考えられます。ドラレコのカメラを装着するためのステーや本体を収納するためのスペースを増設すれば、どんな車種でも装着できないことはない、といえるでしょう。
ただ安全のためとはいえ、著しく見た目が変わってしまうのは嫌だという気持ちは多くのライダーが共感できることだとも思います。
現在ではミラーと一体型のものや、ヘルメットに装着するタイプ、首に掛けるウェアラブルタイプなども各社から販売されています。愛車に装着することなく、ドラレコを使うことは可能です。
バイク未来総研は、さらに踏み込んでドラレコ装着費用に関するアンケートも行なっています。

1万円未満の回答が最多の結果となりました。1万円台・2万円台の回答も多くなっていますが、現状では信頼のおける有名ブランドの製品は、3万円台~5万円台が相場でしょう。取付工賃も含めれば6万円~8万円程度はかかってしまうため、バイクのアクセサリーパーツとしては高価な部類です。
しかしバイク未来総研の下記のアンケートによれば、多くのライダーが装着したいと思っているアイテムであることがうかがえます。

装着したいとは思っているけれど、実現に至っていないライダーが多いアイテムであることが分かりました。大きなネックとなっているのは価格。なぜ二輪用のドラレコは高いのか? バイク未来総研がドラレコを販売するデイトナにインタビューを行なっています。
バイク用ドラレコは品質にこだわると4万円以上はする

デイトナ ツーリンググループ Mio担当
寺沢長紘氏
バイク用品メーカーのデイトナは、2020年から台湾のMiTACデジタルテクノロジー社と協力し、国内でドラレコ「Mio」シリーズを展開しています。

デイトナ「Mio MiVue M820WD」
税込価格:4万8400円
Mioのトップモデル。前後カメラにソニー製の高感度CMOSセンサーを搭載。HDR機能で白飛びなどを補正し、夜間にも強い仕様。GPSを内蔵し、位置情報も取得可能。走行時のみならず駐車監視モードも搭載し、保管時も安心。高画質で、アクションカメラとしても使用可能。

デイトナ「Mio MiVue M802WD」
税込価格:4万700円
2024年6月に発売されたMioの新たなベーシックモデル。走行中の撮影に特化した仕様で、M820WDから駐車監視モードは省略。HDRは未搭載ながらFull HD1080/58fpsの高速撮影が可能であることはM820WDと共通。
デイトナのツーリンググループMio担当の寺沢長紘氏は、バイク用ドラレコが高額な理由はふたつあると言います。
ひとつはクルマ用よりも求められる性能が高く、さらに本体ユニットをコンパクトにしなければならない、ということ。バイク用は耐候性・防水性・耐震性が求められ、設置場所も限られてくるからです。
もうひとつの理由はデイトナの社としてのこだわりもあり「一定水準以下の商品は販売したくないため」。
ドラレコは万が一の瞬間を記録できなければ、製品としての価値がありません。台湾のカーエレクトロニクスのリーディングカンパニーであり、当地でドライブレコーダーのトップシェアを誇るMiTACデジタルテクノロジー社をパートナーとして迎えたのもそのため。通常の商品保証期間は1年ですが、Mioのドラレコ製品には3年保証が付けられています。
今後、より普及が進めば価格帯が下がっていく可能性もあるとは思いますが、現状では難しいようです。
ドラレコありなしで事故を起こした際、どう変わるのか?

三井住友海上 自動車法人営業部二輪室
加納丈太郎 氏
バイク未来総研は、保険会社の三井住友海上火災保険にもドラレコに関する話を伺っています。
自身もライダーだという三井住友海上 自動車法人営業部二輪室の加納丈太郎氏は「ドラレコがあることで、事故解決までの期間が平均17日短縮されています」と言います。
事故解決が難航するケースは、双方の主張が真っ向から反対の場合。その際、ドラレコに映像記録が残っていれば、客観的な証拠として、真偽を確かめられるわけです。
正確な過失割合が導き出せるのとともに、早期解決にも繋がり、保険金の受け取りまでスムーズに進行できます。
まとめ
ドライブレコーダーは現時点で、装着するハードルは高いものの、バイクに備わっていて困ることはありません。
2023年4月にはドラレコを世界で初めて標準装備したバイク、カワサキ「エリミネーター SE」が発売されました。売り上げは好調で、ドラレコ付きの派生モデル「エリミネーター プラザ エディション」も2024年3月にデビュー。
今後、その気運はさらに高まり続けるでしょう。ツーリングを楽しむ人はもちろんのこと、街乗りでも頻繁にバイクを使う人には、ぜひ装着を検討していただきたいと思います。
バイク王は「ドラレコ設置強化キャンペーン」を2025年5月まで実施中

バイク王は買取・販売のみならず、ユーザーがバイクライフを安心して送れるようさまざまな取り組みを行なっています。2023年10月に開始された「認定中古車」制度もそのひとつ。そしてドライブレコーダーの装着は、安全安心につながると考え、新たにキャンペーンを開始しました。
今回のキャンペーンは2024年7月6日~2025年5月31日の期間に、デイトナ製バイク専用ドラレコをバイク王で購入すると、工賃がお得になるという内容です。
対象製品はデイトナ「Mio M802WD」と「Mio M820WD」の2製品で、期間中はいまお乗りの車両に後付けの場合、通常工賃よりも3000円~5000円安く、装着できます。
またバイク王での車両購入時に装着希望の場合は、よりお得な価格で対応してもらえます。「そのうち付けたい」と思っているのなら、早いに越したことはありません。