グリップは消耗パーツなんです!

ライダーの体とオートバイの車体が接する部分は大きく分けてハンドル、シート、タンク、ステップの4箇所。そしてこの中でライダーが触れていないとオートバイを動かすことすらできない接点がハンドル。より正確に表現するならハンドルバー左右に着いている『スロットルグリップラバー』だ。

スロットルグリップラバー(以下グリップと略)はライダーのステアリング操作を車体に、スロットル操作をエンジンに伝える重要パーツ。形状、太さ、材質によって操作感が大きく変わるだけに、繊細なコントロールが要求されるレーシングライダーや握り心地に拘るベテランライダーはリプレイス(純正以外)のグリップに交換することも多い。

もう一つ重要なポイントは、グリップはタイヤと同じく摩耗と経年劣化が避けられない「消耗品」であるということ。ほとんどのグリップはゴム素材なので、グローブと擦れることでパターン面が徐々に平滑化して滑りやすくなり、紫外線による硬化やひび割れ、加水分解によるベタつきも発生するからだ。

画像: グリップは消耗パーツなんです!

めっちゃ考えられている! グリップができるまで!

グリップの握り心地と操作感は素材、外径(握り径)、表面のパターンで決まる。
 
メーカー純正のグリップは耐久性とスリートやツーリングユースでの快適性を重視し、外径をφ31mm~34mm程度に設定して振動吸収性を持たせたものがほとんど。グリップの親指側から小指側に向かって徐々に太くなるテーパー形状を採用したタイプや、中央が太いタル形タイプも増えてきた。いずれにしても純正グリップは車種ごとのキャラクター、想定される使われ方の最大公約数から選定されている。

対してリプレイスのグリップは、握り心地優先タイプから、デザイン性の高い外周パターンや黒以外の色を使ってドレスアップ要素を持たせたタイプまで多種多様だ。

柔らかめのゴムを使って外径を細くした(φ28mm~30mm程度)タイプはハードな走りでもしっかり握り込め、スロットル全閉から全開までの手首の動き角度も減らせるためスポーツライディング向き。引き換えに摩耗が早く、ゴムが薄いことでハンドルバーの振動が減衰されずに伝わるから痺れや痛みが出やすいといった弱点がある。

外径をφ35mm以上とした太いグリップはスロットル操作が軽く、スロットル操作量に対するエンジン側スロットルバルブの動きが減るので反応が穏やかでギクシャクしにくいというメリットがある。クルーザー系の車種に太いグリップが多いのはこのためだ。

画像1: めっちゃ考えられている! グリップができるまで!
画像2: めっちゃ考えられている! グリップができるまで!
画像3: めっちゃ考えられている! グリップができるまで!
画像4: めっちゃ考えられている! グリップができるまで!
画像5: めっちゃ考えられている! グリップができるまで!
画像: 今回特別に公開していただいたのがデイトナの開発ラフ図面。太さとテーパーによる基本形状や表面パターンを複合的に検討して開発されていることが判る貴重な資料だ。表面パターンのリブの高さを段階的に変えたり、テーパーに直線とクロソイド曲線を使い分けるなど、ライダーに負担を与えないように人間工学を応用した開発陣の工夫と苦労が伺える。

今回特別に公開していただいたのがデイトナの開発ラフ図面。太さとテーパーによる基本形状や表面パターンを複合的に検討して開発されていることが判る貴重な資料だ。表面パターンのリブの高さを段階的に変えたり、テーパーに直線とクロソイド曲線を使い分けるなど、ライダーに負担を与えないように人間工学を応用した開発陣の工夫と苦労が伺える。

画像: グリップの開発には3Dプリンターも活用されている。左が3Dプリンターで制作したモデルで、右が実際の製品。

グリップの開発には3Dプリンターも活用されている。左が3Dプリンターで制作したモデルで、右が実際の製品。

画像: 株式会社デイトナ 二輪事業部 カスタムグループ 大場智也 氏

株式会社デイトナ 二輪事業部 カスタムグループ
大場智也 氏

画像: 株式会社デイトナ 二輪事業部 カスタムグループ グループリーダー 吉川 要 氏

株式会社デイトナ 二輪事業部 カスタムグループ
グループリーダー 吉川 要 氏

カスタムパーツとしてのコスパは最高レベル!!

グリップの違いがライディングの質を変えることを理解するには、理屈を考えるよりも実際に交換することが早道。一般的なリプレイスグリップは左右セットで1000円台~3000円台と、機能部品としてもカスタマイズパーツとしても気軽に買えるだけに、何種類か試して自分の好みに合うタイプを見つける楽しさもある。

交換に特殊な工具や設備は不要で、ハンドルバー/スロットルスリーブに固定する接着剤さえ用意しておけば作業可能。さらにカッターと細長いドライバーがあれば古いグリップを外す作業が手早く行え、パーツクリーナーを使うと新しいグリップ接着前の脱脂とハンドルバー/スロットルスリーブへの差し込みがスムースに行える。

画像: デイトナではオリジナルグリップの「GRIPPY GRIP」シリーズのほか、MotoGPやWSKBなどで活躍する「プログリップ」シリーズなど、豊富なラインアップを揃えている。

デイトナではオリジナルグリップの「GRIPPY GRIP」シリーズのほか、MotoGPやWSKBなどで活躍する「プログリップ」シリーズなど、豊富なラインアップを揃えている。

デイトナが展開する「GRIPPY GRIP(グリッピーグリップ)」とは?

リプレイスグリップは国内外のメーカーから数え切れないほど多くのタイプがリリースされている。絶対的に安価なのは中国や東南アジア製のノーブランド品だが、材質と精度に問題がある製品も見受けられる。絶対的な価格差はさほど大きくないから、信頼できるブランドの製品を選んだほうがいい。

8月下旬に発売予定の『グリッピーグリップ』は、デイトナのスタッフが「疲れないこと」を最優先して開発した製品。人間工学に基づいて太さやテーパー形状、パターン形状を決め、実走テストを繰り返して完成させた渾身の作だ。

基本デザインは4パターンで、ブラック以外にブラウン、生ゴム色、さらにカスタム感の強いオックスブラックレッドもラインアップ。中でも注目は『GG-Dクラシック』。かってZ2(750RS)やマッハに装着されていた純正グリップをオマージュしたデザインで、リブを立てることで指掛かりの良さと雨天時の滑りにくさ、振動軽減を実現。ネオクラシックやレトロと呼ばれるオートバイにもマッチする。

また、デイトナではスロットルスリーブ単体もラインアップしている。自分のオートバイに適合すれば、純正スリーブからグリップを外す作業、スリーブのリブを削る作業が不要になり、交換作業が格段に簡単になる。

画像: 左から「GG-D-CLASSIC」、「GG-D-VINTAGE」、「GG-D-KNIT」、「GG-D-GRID」。価格は1628円でモデルによってカラーバリエーションあり。

左から「GG-D-CLASSIC」、「GG-D-VINTAGE」、「GG-D-KNIT」、「GG-D-GRID」。価格は1628円でモデルによってカラーバリエーションあり。

テスター太田安治の一言!

僕はライダーと車体の接点に注文が多いほうだ。オートバイを買ったら最初にハンドル、レバー、ペダルの位置を念入りに合わせ、納得できなければ社外品に交換する。グリップに関しても機能優先で、太さと握り心地に対する自分なりの基準から外れていれば迷わず換える。今回は4種類のグリッピーグリップを握り比べ、それぞれに異なる狙い、それを実現する工夫を体感した。グリップ交換こそ機能追求カスタムの第一歩ではないだろうか。

画像: 【太田安治】月刊オートバイのテスターとして試乗したモデルは5000台以上、バイク用品のテスター歴も長く、その進化の変遷にも精通する。

【太田安治】月刊オートバイのテスターとして試乗したモデルは5000台以上、バイク用品のテスター歴も長く、その進化の変遷にも精通する。

デイトナ公式サイト

This article is a sponsored article by
''.