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2023年モデルでフルモデルチェンジを果たしたYZ125Xと250X。メディア試乗会で聞いたディープな話をもとに解説

扱いやすさを重視した新型YZ125X

約17年ぶりにモデルチェンジを果たしたYZ125の2022モデル。これを追うかたちで、今回2023 YZ125Xがフルモデルチェンジを行った。「日本のクロスカントリー入門モデル」をコンセプトに掲げ、特に低中回転域での扱いやすさを徹底的に追求したという。大きな変更点としては、新型エンジンの搭載/マシン全体の軽量化/外装とシートのスリム化/日本仕様にセッティングされた前後サスペンション/後方ストレート吸気の採用が挙げられ、細かな部分ではフロントブレーキ/前後タイヤ/リヤフレーム/リヤブレーキ/軽量スプロケットが変更されている。

技術説明会が開かれた会場には、YZ125X新型エンジンのカットモデルが用意されていた。試乗会のために作ってきたというYZチームからは、新型への相当な熱量が伺えた。

極低速〜中速域が扱いやすくなったワケ

画像1: 極低速〜中速域が扱いやすくなったワケ

エンジンは22年式で新型になったYZ125と同様のものを搭載。ヘッドシリンダ/YPVS/ピストン/CDIユニット/チャンバー/マニホールド/キャブレタなど、全体的に変更を受けている。なかでも、低中回転域の扱いやすさを実現するために時間をかけて作り込んだというのが、ヘッドシリンダ/YPVS/3D・CDI点火マップだ。

画像2: 極低速〜中速域が扱いやすくなったワケ
画像3: 極低速〜中速域が扱いやすくなったワケ
画像4: 極低速〜中速域が扱いやすくなったワケ

ヘッドシリンダは燃焼室の形状を変更。旧YZ125Xではキャブレターにスロットルポジションセンサーが無かったことから、アクセル開度を軸にしたマッピングを施すことができず、エンジン回転数と点火タイミングの2Dマッピングでエンジン特性をクロスカントリー向けにしていた。しかし、この新型のYZ125Xではスロットルポジションセンサーを装備しており、エンジン回転数・アクセル開度・点火タイミングの3Dマップで125X用にセッティングし直している。排気タイミングをコントロールする機能を持つYPVSも、バルブ形状をいちから見直して新作パーツを起こし、全閉時の排気ポートのタイミングを変えている。この排気タイミングは、早いほど高速/高出力型に、遅いと低速/トルク型の特性となる。YZ125Xは、YZ125と比べてタイミングを遅くしており、低速でトルクを感じられる方向性だ。

実際にカットモデルで排気タイミングを見てみよう。カットモデルには白と黄色の2種類のシールが貼ってあり、白がYZ125、黄色がYZ125Xの排気タイミングを指す。

燃焼発生時のピストン下降に合わせて排気が行われ、この排気タイミングによってエンジン特性を調整している。動きを見ると、白シールのYZ125の排気タイミングが先にくるようになっており、遅れてYZ125Xの排気タイミングがやってくる。

バルブ全開時

YZ125:8.2/YZ125X:7.8

バルブ全閉時

YZ125:10.1/YZ125X:10.2

圧縮比はシリンダーヘッドの燃焼室形状変更によって、YZ125に比べて0.4ほど低圧縮になっている。このこと自体がレスポンスのマイルドさなどエンジン全体の扱いやすさに繋がっている。なお、排気タイミングをYPVSで変更することでバルブ全閉時つまり低速域においての実圧縮比は若干YZ125よりも高めだ。

旧YZ125Xは、YZ125からハード面での変更点が非常に少なかったが、この新YZ125Xはこれら数々の変更点を経てまるで別モノのエンジンに仕立て上げられている。

安定感を高めるサスペンション

サスペンションは日本のクロスカントリーに向けたセッティング。前後ともに減衰性を最適化し、エントリーライダーが扱いやすいマシンへと仕上げてある。

こちらも旧YZ125Xよりもさらにクロスカントリー向けの性能を高めるために、背面バルブにはリーフスプリングが採用された。4ストロークのYZシリーズと同等のサスペンションへと進化したことで、ダンパーの性能が飛躍的に向上している。

扱いやすさと力強さ、両方を叶えるYZ250X

新型エンジンの搭載や日本仕様にセッティングした前後サスペンション、マシンのスリム化など、フルモデルチェンジを果たしたYZ250 2022モデルを踏襲。YPVSをクロスカントリー中級者向けにセッティングし直し、扱いやすさ重視のエンジンに仕上がっている。

YZ250X担当の福岡直樹氏は「低中回転域の扱いやすさと高回転域のパワフルさを両立できるよう、時間をかけて作り込んできました」と語る。福岡氏自身プライベートで前モデルのYZ250Xに乗っており、特に気になった低中回転域の改善に今回注力したという。「自分が思うような扱いやすいエンジンができたかなと思います」と話す福岡氏の言葉の通り、新型YZ250Xの扱いやすさには試乗ライダーも驚いた様子を見せていた。

バルブ作動回転数を8000回転へ

画像1: バルブ作動回転数を8000回転へ

ヘッドシリンダ/YPVS/ピストン/CDIユニット/チャンバー/マニホールド/キャブレタなど、エンジン全体がアップデート。なかでも、YPVS/キャブセッティング/3D・CDI点火マップのセッティングを変更することで、低中回転域のレスポンスの良さを重視した仕様から扱いやすさを重視した仕様になっている。

画像2: バルブ作動回転数を8000回転へ

回転数の上昇に合わせてガバナーが動くYPVSを2023モデルではガバナーワッシャで調整。バルブ作動回転数を8000回転にすることで作動タイミングを遅らせ、スロットル開度に合わせた回転数の上昇が行われるようになっている。3D・CDI点火マップもYZ125X同様にクロスカントリー向けのセッティングに変更。

スロームーブなセッティング

YZ125Xと同様、背面バルブにリーフスプリングが搭載された。YZ250よりもスロームーブなセッティングにすることで、車体の動きを抑え、安定性やコントロール性を高めている。

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