全日本ハードエンデューロ選手権G-NET2022の第3戦、HIDAKA ROCKSがエンデューロの聖地、日高で開催された。オーストリアのエルズベルグロデオと同フォーマットで行われる今大会は、例年に比べてもぐんと難易度をアップ。完走者はわずか8名という、タフなレースとなった
HIDAKA ROCKSの歴史
HIDAKA ROCKSの初開催は2018年。それほど長い歴史を持つわけではない。日本のエンデューロマンにとって、ここ北海道日高町が聖地とも言われるのは、日高2Daysエンデューロの存在があるからだ。このHIDAKA ROCKSは、日高2Daysエンデューロと同じ日高モーターサイクリストクラブが主催を務め、オーストリアで毎年開催されるハードエンデューロの世界大会、エルズベルグロデオを模したレースフォーマットを採用している。
土曜日の予選はアイアンロードと呼ばれる砂利の作業道を使ったタイムアタック。決勝は土曜日の結果順にスタートして、ハードエンデューロを走り抜く。時には川の中に入りながら大小の岩が無数に転がる河原を遡り、最終的にはヒルクライムセクションを登ってゴールを目指す、というもの。エルズベルグロデオ同様、周回レースでは無い。
初開催の2018年は和泉拓、G-NET戦になった2019年は藤田貴敏が優勝。コロナ禍の影響を受け2020年、2021年と中止を余儀なくされていて本家エルズベルグロデオと同様に、3年ぶりの開催となった。このHIDAKA ROCKSを待ち焦がれたライダーたちがコロナ禍でくすぶっていた思いを発散させるべく、日本中から北海道日高町に集まった。
また、コロナ禍では日高2DaysエンデューロもHIDAKA ROCKS同様に開催地をルスツに移しており、再びここ日高町でレースができる喜びは、筆舌に尽くし難いものがある。コースとして河川を使用することから今大会の開催にあたっては日高町も全面的に協力してくれており、参加者だけでなく主催、スタッフ、町の思いが詰まった、特別な大会となったのだった。
アイアンロードプロローグ
和泉拓に迫る山本礼人、馬場大貴は!?
梅雨時期の開催ということもあり、天候は不安定だったが、開けてみれば土曜日は曇り、日曜は晴れ。路面はベストコンディションとなった。
まずは土曜日に行われる予選、アイアンロード。HIDAKA ROCKSのパドックとしてスペースを提供してくれている株式会社ハタナカ昭和 日高三岩採石事業所をスタートし、岩内川に沿って走り約4.6km先のゴールを目指す。コースはいわゆる採石場の作業道のため、道幅が広く、ゆるい登りが続く。難所は全くなく、フラットな砂利道。たまに水が流れた後が少し窪んだりしているが、基本は気持ち良くアクセルを開けていけるタイプのコースだ。
本戦のハードエンデューロとは全く毛色の違うスプリントレースだが、これはまさしくエルズベルグロデオの予選フォーマットを踏襲していて、テクニックだけでなくスピードもなければ上位を目指すのは難しい。決勝は予選上位10台が1列目となり、その後も10台ずつ2分の時間差でスタートとなる。勝ちを狙っているライダーにとっては1列目獲得がマストだが、過去2019年にはアイアンロードで崖落ち(!)を喫し最後列スタートとなった藤田が優勝している例もあるからわからない。いずれにしても、エルズベルグロデオ気分を味わえることと、普段ではなかなか体験できないハイスピードでのスプリントを純粋に楽しんでもらいたい、という主催側の意図が詰まっている。
それでもG-NET黒ゼッケンライダーを含めて本気で挑むライダーは、予選と決勝でマシンのセッティングを変えていた。タイヤにFIMタイヤを用意したり、スプロケットを変更したり、水上泰佑はサイレンサー、山本礼人に至ってはハイシートまで用意していた。
なお、昨年まではアイアンロードは1回きりのアタックだったが、今年はナイトテストができないため、アイアンロードを2ヒート制に変更している。2回のアタックのうち、速かった方のタイムが成績となるのも、エルズベルグロデオと同様だ。
ゼッケン順スタートのため、まず一人目はG-NET2021チャンピオンの山本がアタック。2018、2019年はコースレイアウターを担っていたため、参戦は初めてとなる。タイムは3分9秒。
続くG-NET黒ゼッケン4水上泰佑が3分15秒、ゼッケン6佐々木文豊が3分24秒、ゼッケン7大塚正恒が3分35秒でフィニッシュ。
大本命は2018、2019年とこのアイアンロードで1位をとっているゼッケン11、和泉拓だ。下馬評通り、山本を1秒上回る3分8秒を記録した。しかし、エンデューロIAでありモタード経験も豊富な和泉に対し、昨年JEC全日本エンデューロ選手権でNBクラスチャンピオンを獲得したとはいうものの、自転車トライアル出身でスピードレース経験の乏しい山本がここまで和泉に迫る結果を出したことに、周囲は驚きを隠せなかった。
続く2本目、山本はタイムを詰めることができず、全く同じ3分9秒。それに対し和泉は5秒縮める3分3秒をマークして今年もこのアイアンロードの覇者となった。なんと和泉はこの予選2ヒートのためにわざわざ2本のタイヤを用意している。1ヒート目はiRCの新しいFIMタイヤGX20で、2ヒート目は同じくiRCのモトクロス・クロスカントリー用タイヤVX40だった。和泉の場合はテストの意味を込めて2本のタイヤを持ち込んだわけだが、このように違うタイヤを用意していれば、選択ミスがあった際にもタイムを挽回できる。
なお和泉のアップしているヘルメットカメラによると、最高速度は133km/hに達している。
#日高ロックス
— AD/tac (@tac69) June 25, 2022
プロローグ二本目撮って出し
フラット林道番長の挑戦待ってます� pic.twitter.com/uv6sSZOWa3
和泉拓
「1本目に使用したGX20は特にサイド部分のスライドコントロール性能がとても高く、安心して攻めることができました。開発テストでたくさん走り込んでいたタイヤなので、慣れていたのも大きいと思います。実は2本目のVX40でのアタックは、感覚的には速くなっていると思えなかったんですけど、実際にはタイムが出ていたので驚きました。おそらくバイクが立っている時の、前に進む力がGX20よりも大きかったんだと思います。これでアイアンロードは3年連続の優勝なので、僕の日高ロックスはすでに大満足です。明日は完走を目指して楽しく走りたいと思います」
2位に山本、3位は飯田哲久、4位に飯田晃久、5位に池町佳生、6位に毛利慎吾となった。
誰もが、JNCC 2021チャンピオン馬場大貴のタイムに期待したが、なんと馬場は予選であるアイアンロードがハイスピードスプリントのタイムアタックであることを知らず、G-NETと聞いてCGCと同じ超ショートなファイナルセッティングでマシンを準備してきていた。リサーチ不足に加え、あえて非力な2ストローク125ccモトクロッサーを選択しての挑戦だったことも重なり、トップスピード不足に苦しむ馬場。それでも1本目はプッシュして3分23秒を記録したが、エンジンに焼き付きの危機を感じ、2本目はDNSを選択している。
決勝ヘアスクランブルの1列目を獲得したライダーは和泉、山本、飯田兄弟、毛利、池町、西川輝彦、木村吏、藤田悠大、水上泰佑の10名。佐伯竜、佐々木文豊、馬場大貴、大塚正恒らは2列目スタートとなった。
決勝レース、HARE SCRAMBLE
ヘアスクランブルはG-NETクラス、SPORTSクラス、ENJOYクラスにわかれてエントリーを受け付けているものの、全クラス同じコースを使う。これは単にエントリー時の自己申告によるクラス分けで、クラス別に表彰が行われるというだけのもの。ただし、G-NET事務局の提案により、レース開始から1時間以内にCP1に辿り着けなかったライダーには、レースを棄権してコースをファンライドするという選択肢が与えられた。
そして、当日行われた変更がもうひとつ。コース中にいくつか設けられた中でも最終セクションとなっていた「DYNAMITE」がカットされた。これは、DYNAMITE手前にある川が雨の影響で増水してしまい渡れないためだ。前回の2019年大会でもこのDYNAMITEは使われていたが、多くのライダーが手前の川渡りでマシンを水没させ、無事に渡ってもDYNAMITEを抜けられずにDNFとなる大きな難所だった。その分、見所にもなるセクションだったため、主催側としても断腸の思いを伴う判断だったに違いない。
START〜CP1 BRIDGE
水上が好調なスタートを切り、追う山本
スタートして間もなく、最初の難所として設定されたのが「W-HILLS」。名前の通り、ガレたヒルクライムを登って、降りて、また登る。ここに集団の先頭で到達したのは水上。1つ目のヒルクライムをトップで登頂したが、下りで一瞬の躊躇をしている隙に山本が先行し、2つ目のヒルクライムは山本、水上の順で抜けていった。
2列目スタートまでに入ったライダーたちはさすがに、ここを難なくクリアしていったが、後列でスタートしたSPORTSクラス、ENJOYクラスでは案の定、渋滞が発生。続くセクションはそれほど難易度の高くない「SMALL HILL」。橋を使って岩内川を渡り、対岸にある丘を登る。その後CP1を通過して、永遠かのように続く長いロックセクション「ROCK GARDEN」に突入していく。
CP1通過順位は山本礼人、西川輝彦、和泉拓、大塚正恒、飯田晃久……。
ROCK GARDEN〜CP2 PIPE LINE
トライアル出身の大塚が快進撃を見せる
ロックガーデン中盤、先頭を走る山本を僅差で追いかけていたのは大塚。やはりこういったロックセクションでは、トライアルライダーに優位性があると言える。
人の頭ほどの岩がゴロゴロと続くロックガーデン。ここでフロントを取られ転倒してしまった山本を大塚がパス。大塚、山本の後には和泉、飯田(晃久)、西川、佐々木と、順当に有力ライダーが続いた。
ロックガーデンを出ると予選のアイアンロードでも使った作業道「HIGHWAY」を通って、難所「PIPE LINE」に至る。
PIPE LINEはHIGHWAYから再び川に降り、橋の下に作られたパイプの中を潜っていくセクション。そこからまた川を遡り、再びHIGHWAYに戻るとCP2となる。
大塚は一足先にパイプを潜り、先に進んでいたが、その先の川上りに苦戦していた。
橋の下のパイプを潜る山本。続いて飯田(晃久)がパイプを潜り、山本を抜いて2番手に上がった。そして佐々木、和泉、月原邦浩、木村。順位は目まぐるしく変わっていた。
PIPE LINE一番の難所が上の写真のセクション。大塚、山本は一人で越えたものの、3台目以降はラインが崩れてしまってソロでの突破はほぼ不可能となり、ハードエンデューロならではの「Help each other(助け合い)」でクリアした。写真は飯田(晃久)を引っ張る佐々木。
今大会のルールは「NO HELP」。これはスタッフ、観客によるヘルプは禁止だが、「ライダー同士の助け合いはOK」という、全世界のハードエンデューロ共通ルールとも言えるもの。なお、リタイヤしたライダー、ゴールしたライダーは観客とみなされ、ヘルプできない。
決勝でも上位グループに食らいつく馬場。タイヤは水上のアドバイスのもと、iRCのiX-09W GEKKOTAを初使用。
HELL'S GATE〜CP3 DRAGON
大塚VS山本、スタミナ不足がミスを誘う……
トップの大塚は続くセクションの「HELL'S GATE」を大きなミスもなく通過した。しかし、2番手の山本はその川渡りで転倒。あわや水没という事態に陥り、CP3では大塚に9分のビハインドを許してしまう。
CP3を通過し、直後のヒルクライムがコチラ。
大塚は一発目のアタックでここまでバイクを上げたものの、非常にもこの位置からバイクだけが滑落。その後も2回失敗を続けることに。
チャレンジに失敗し、休憩する大塚。レース開始からここまでの時間はわずか1時間ほどだったが、難しいロックセクションが続くため、消耗が激しい。
休憩を挟んだ大塚は、アプローチ方法を変更。助走をなるべく長く取るために、下り坂にリアだけ乗せてスタンディングスティル、からの一発ヒルクライム!
大塚がクリアした直後に、山本が追いついてきた。CP3通過で9分あったはずのビハインドが、ここで僅かに縮まった。続くセクションは「TRIAL」。両者特に問題なく通過。次に待ち受けるのは本来ダイナマイトだったが、前述の通りカットされていたため、ゴールのあるCP4「FINISH LINE」までは2本のヒルクライムを残すのみとなった。
TRIAL〜CP4 FINISH LINE
誰も登れないヒルクライム、制した者が優勝か
しかしこの1つ目のヒルクライムがクセモノだった。いち早く到達した大塚が、何度アタックしても6割ほどしか登れず、登頂の気配すら見えない。コース幅はかなり広いが、荒れ具合が激しく、アタックラインは一本しかない。そのラインも最初の飛びつきでバイクが跳ね上げられてしまうため、そこで勢いが殺されてしまい、うまく加速できない難しいセクションだった。
スタッフ曰く「雨の影響で荒れてしまい、開拓の時とはまるで別のセクション」とのことだった。
なんとここで、大塚が登れないままどんどん後続が追いついてきてしまった。
到達した順番は大塚、山本、水上、和泉、木村、西川、佐々木……。1台ずつチャレンジして失敗、降りて次のライダーがチャレンジ、を繰り返す。運営側は「残り30分になっても誰も登れなかった場合、エスケープラインを開放し、到達した順番にアタックさせる」ことを決断した。
やがて、あまりの難易度にライダーたちは協力して石をどかし始める。
一人、中腹から押し上げられる可能性を見出した山本は足でキャンバーを作り始める。
そして、大塚が到着してから30分以上も経過した頃だろうか。水上の4度目のアタックだった。
あとわずかに届かないかに見えた水上だったが、最後の力でバイクをリリース。なんとかヒルクライムの上にバイクだけを残し、登頂。
続く最後のヒルクライムも3度目のチャレンジでクリアし、ゴール。タイムは1時間35分44秒。その時にはまだ、2番手以降は1本目のヒルクライムを登れないでいた。
2番手は大塚。水上が投げ上げた1本目のヒルクライムを15回を超えるアタックの末、クリーンに登頂。
続いて佐々木、山本。今大会に出場したG-NET黒ゼッケンライダー4人が、順当に上位4位を占める結果になった。
続いて西川が最後のヒルクライムに到達したが、ここでリアタイヤがパンク。ビードも落ちてしまい、大苦戦を強いられる。
それでも諦めずにトライし続けた結果、まさかの単独登頂に成功。すでにゴールしていた黒ゼッケンライダーが大歓声で迎えた。
続いて、CR250RにマキシスのFIMタイヤを愛用する木村がゴール。前回のMt. Monkey Scrambleに続き、上位入賞を果たした。
レース時間残り4分というところで地元・北海道ライダーの梶慎一朗があと一歩でクリアという状態から独力でバイクを引っ張り始めた。周りには先にゴールしたライダーたちがいたが、ノーヘルプルールのため誰もが見守ることしかできなかった。必死でアドバイスと声援を送り続けた。
そして、それを横目に月原がクリア。登った後で残り時間がまだ3分あることを聞き、梶のバイクを引き上げるのを手伝い、月原、梶の順にゴール。完走者は以上8名となった。
HIDAKA ROCKSを制した後の、特別な笑顔
レース前日、下見を終えた和泉や山本は「間違いなく難しくなっている」と語った。コースマップではわからないレベルだが、セクション一つ一つをしっかりと下見すると、長くなっていたり、コーステープが狭くラインが限定されていたり、ガレが激しくなっていたり。難易度を上げる要素はいたるところに存在した。もしも川が増水しておらず、ダイナマイトがカットされなかったら、果たして何台が完走できただろうか。
通常の周回レースだと、ゴールしたライダーはパドックに戻ってしまい、他のライダーの走りを見ることはあまりない。しかしこのHIDAKA ROCKSはレースが終わらないとパドックに戻れないため、ゴールしたライダーは、続くライダーを応援し、完走すればその喜びを分かち合う。
その時の笑顔こそが、HIDAKA ROCKSで最も素晴らしい瞬間なのだと思う。
水上泰佑
「スタート直後ではトップだったのですが、ロックガーデンでミスを連発してしまい、8番か9番くらいまで落ちちゃって、そこから地味に追い上げていって、パイプラインで詰まっていたので、だいぶ前に追いつくことができました。
そこからは特に大きなミスもなく、調子良く順位を上げて進んでいけました。最後のヒルクライムには大塚さんとアヤト(山本)に続いて3番手で着けたので、『よしよし!』と思ったのも束の間、ヒルクライムを見て『マジか……』って。あの2人が登れないということは、そういうことなんですよね。あとから来たみんなとも協力して石を退けていって4回目のチャレンジで、なんとか。投げちゃいましたけどね。
もし僕が先頭であのヒルクライムに到着してたとしても絶対に登れなかったので、運が良かったと思っています。
今年はアヤト(山本礼人)が強すぎて、今年の残りのラウンド(ブラックバレー広島、日野ハードエンデューロ、デッキーランド)では勝つのは難しいと思うんです。アヤトはガレに苦手意識を持っているので、勝てるとしたらココだな、と思っていました。北九州から遠征代に20万円もかけて参戦した甲斐がありました。
タイヤはJX8 GEKKOTAを空気圧0.3kgfで使いました。iX-09W GEKKOTAと悩んだのですが、全開ヒルクライムやパンクのリスクもあるので、こっちを選びました。途中で空気は抜かないと厳しいかな、と思ったのですが、結局抜かないで完走できちゃいましたね。
ちょっと今はあんまり練習ができていないのですが、次戦のブラックバレー広島までにシートを2cmローダウンして(現在は1cm)、しっかりトレーニングも積んで逆転を狙いたいですね」
なお、水上は同じ採石場レースであるCROSS MISSIONシコクベルグの優勝者であり、今大会の中で唯一、エルズベルグロデオの決勝レースを経験している(残念ながら目の負傷でDNF)。世界一厳しいレースを経験していることが、どこか心の余裕に繋がったのかもしれない、という。
大塚正恒
「前半のロックガーデンですごく疲れてしまって、パイプラインの終盤でちょっと休んでいたらアヤトくん(山本)が追いついてきちゃって。基本的に石系は得意なんですけど、体力を回復してから行かないと、簡単なところでも失敗してどんどん体力が削られてしまうので……。体力が課題ですね。
今日は前後ともにDUNLOPのAT81EXを選びましたが、大正解でした。このタイヤはトライアルタイヤと全く同じコンパウンドを使っているので、トライアル出身の僕には使いやすいんです。しっかりタイヤを押し付けるテクニックが要求されるタイヤなんですけど、それが出来れば、総合的なグリップではiRCのiX-09W GEKKOTAよりも上かもしれないです。
今年は前半(日野ハード、モンスク)の成績が奮わなかったので、全戦参加してシングルゼッケンを死守したいと思っています。あわよくばどこかで一勝したいんですけど、アヤトくんも速いですからね。今日は前半でうまくリードできたので『(優勝)いけるかな?』って思ったんですけど、タイスケくん(水上)にヒルクライムを登られた瞬間に『終わった……』って思いましたね」
佐々木文豊
「2列目スタートだったのですが、スタートして割とすぐ、橋の下あたりで1列目に追いつけました。パイプラインでは4番手に上がって飯田さんと協力して押し上げて、そのあとは飯田さんが休憩していたので先に行かせてもらったんですけど、ドラゴンで失敗して抜かれちゃって。結局は最後のヒルクライムでみんな詰まっちゃいましたけど。
今日はリアタイヤにシンコーの520DCを使っていて、これは540DCよりも石に強いんです。中身はチューブリスにハーフムース(使い古したムースをくり抜いたもの)の併用で、これはSea To Sky(トルコのハードエンデューロレース)に出た時に向こうのメカニックが教えてくれた方法なんです。これならパンクしてもビードが落ちずに走れるんです」
山本礼人
「今日はルーマニアクス対策という意味もあり、パンクの心配もあったので、普通にムースを入れてしまったんです。タイヤは前日まで520DCと悩んで、やっぱり慣れてるタイヤがいいという判断で540DCにしたのですが、このコースには厳しかったですね。
最後のヒルクライムが本当にどうしようもなくて、下からどんどん石が出てきてしまって難しかったですね。僕は10回以上アタックしてやっと登れたのですが、タイスケさん(水上)は4回ですし、大塚さんもすごく綺麗に登っていて、やっぱり純粋にテクニック不足だったと思います。
ゴールデンウィークに大塚さんと一緒に練習させてもらったんですけど、本当に上手くて。特にガレやロック系のテクニックが半端じゃないので、今日は絶対上位に来ると思ってました。僕はロック系が弱点だという自覚があるので、そこを克服するためにトライアル練習を取り入れています。
本当はここでも優勝して、勢いに乗ったままルーマニアクスに行きたかったのですが、切り替えて頑張ります」