終盤、カオスに満ちていたダカールラリーは、ステージ12を終えて大団円へ。序盤から優勢であったガスガスのサム・サンダーランドがステージ11で集団から大リードを奪い、そのまま短いステージ12を逃げ切ったのだった。

画像: GASGAS初のダカールラリー勝利。サンダーランドがキンタニラの追撃を逃げ切り生涯2勝目をマーク

ガスガスは3年目にして、ダカールを優勝

2020年のダカールラリーには、ライア・サンツがガスガスライダーとして参戦。すくなくともKTMファミリーになって初のダカールチャレンジであった。2021年も同じ体制だったが、この2022年になって急激に変化。KTMからサム・サンダーランド、ダニエル・サンダースを動員、サムにいたってはダカールを2017年に制しているベテラン中のベテランである。

二人は、序盤から好成績をマーク。ホンダ、KTMの二大巨頭が調子をくずしている中で、総合トップをいくども奪った。だが、後半になってホンダのパブロ・キンタニラ、KTMのマティアス・ウォークナーらが追撃。また、ヤマハのエイドリアン・ヴァンビバレンはいつでもサンダーランドを蹴落とす位置にマーク。苦しい戦いは、ステージ10を終えて最大の局面にいたる。

有力ライダーが、みな10番手以降からのスタート。全員がスパートをかけられる状況で、サンダーランドは突出したスピードをみせつけることに。結果、2位キンタニラと6分52秒、3位ウォークナーと7分15秒の差を生み出した。

画像: ガスガスは3年目にして、ダカールを優勝

最終ステージは、この6分52秒を守り切ればいい。おおよそステージ11のサンダーランドのスパートでは、100kmあたり2分のリードを築いたのだが、ステージ12のスペシャルステージは164km。この短い区間で6分を縮めるのは、かなり無謀な戦いだ。ステージ11でスパートをかける必要があったため、ウォークナー4番スタート、キンタニラ6番スタートと、スタート順も無理できない位置。死闘をつくしたものの、やはり2分ほどのタイム短縮にしかならず、サンダーランドが逃げ切った形になる。

「正直言って、これ以上ないくらい幸せです。この最終ステージはとても難しく、ストレスがたまるものでした...たくさんのナビゲーション、たくさんのトリッキーなノート、何度か少し混乱して正しい道を進んでいるのかわからなくなりました。ふぅ。正直、頭が爆発しそうです。最後の10分間は、自分が勝ったかどうか分からなかったのですが、今になって教えてもらい、わあ、夢が叶った、と思いました。あなたの言葉を聞くだけでも、ちょっと感動してしまいます。今シーズンはかなり大変だったけど、ダカールで勝てば、すべてが報われる。とてもうれしい」

と、サンダーランドはレース後にコメント。今季から、FIM世界ラリーレイド選手権の開幕戦として開催されていることから、ダカールラリーの様相はだいぶ変化しており、戦略も変えざるを得ず、キンタニラにいたってはもっともストレスフルなダカールラリーだった、と発言しているほど。通常のダカール以上の困難を乗り越えたサンダーランドたちに、賛辞を送りたい。

This article is a sponsored article by
''.