目指すはエンデューロ世界チャンピオン
保坂修一、青木琥珀らに続く世代を育てる
ハスクバーナのTC50に乗る彼の名前は菊地慶祝郎(けいしゅうろう)くん。富山県南砺市に住む小学1年生だ。慶祝郎くんは1年ほど前にバイクに乗り始め、石川県のブラックボアに走りに訪れた際に、たまたまスクールをやっていた大神智樹と運命の出会いを果たした。
「最初はちょっと面倒みてもらおうかなぁ、と思って大神選手に声をかけてみたところ、出身が同じ仙台ということで意気投合し、慶祝郎もすごくなついたもので、今では月に2〜3回くらい、多い時は週に2回くらいのペースでコーチをしてもらっています。
ところが富山県周辺で初心者の慶祝郎が思いっきり走れるコースがなかなかなくて。どこかいいところはないかと探していた時に、南砺市の市長さんや県議会議員さんにも協力してもらって、ここイオックスアローザと繋いでもらったんです。
もちろん慶祝郎のためもあるのですが、僕は富山県の子供達にもっとエンデューロバイクを知ってもらいたいと思っていて、そこが大神選手の目指す未来と合致したんです。来年はフリー走行だけでなく、ヨツバモトとかメーカーのイベントなんかも開催したいと考えています。ここを北陸のエンデューロ再発進の地にしたいんです。
慶祝郎はエンデューロの世界チャンピオンになりたいと言っていて、今はとにかく毎日ここで乗っていますよ」
と父親の福太郎さんは語る。慶祝郎くんは50ccのマシンをとにかくカチ開け。レブまで回して思い切りゲレンデを駆け上がっていく。大人がフルサイズのレーサーに乗っても難しいコースを、縦横無尽に走り回っている。
イオックスアローザの走行可能時期は5月から11月くらいまでを考えており、富山県、石川県、福井県からのアクセスが特に良好だ。
走行会に集まったキッズライダーたちと福太郎さん、そして大神。この笑顔を守り、そしてもっと広げていくのが、大神が目指す未来だ。
エンデューロの後進を育てるため己の人生を賭け、全国を転々とトレーラーハウス暮らしをしていた大神は、BETAに乗ったことをきっかけに富山県南砺市を中心に活動していたが、この地域や環境に惚れ、さらに人との出会いに恵まれたこともあり、ついに富山に移住を決めたという。