新型コロナウイルスの影響で異例の8月開幕となった今シーズンだが、実はこれまでにないくらい濃いシーズンになっている。なぜなら山本鯨、能塚智寛、富田俊樹、渡辺祐介…2014〜2019年まで海外に挑戦していた全日本育ちの有力なライダーたちが全員、全日本に帰ってきているからだ。そしてV12王者、成田亮もいる。こんなに本当の意味で「誰が勝つかわからない」全日本は随分と久しぶりのことなのだ。
結果は、ピンピン
HRCのサポートを受けたチャンピオン山本が風格を見せつける
最高峰のIA1クラスヒート1、スタートで飛び出しホールショットを決めたのは能塚。続いて小島庸平、山本鯨とホンダが3台続く。そこから1周目すぐに山本がトップを奪い、その後は一度もトップを譲らずトップチェッカー。
さらにヒート2ではイン側2台目グリッドからスタートをうまく決めホールショットを奪う。前半こそ迫り来る成田に前を許すシーンもあったが、きっちりトップを守りきりピンピン。
結果は、王者山本鯨が余裕を持った勝利。大坂をこえたあとのスネークでは、何度か渡辺らにパッシングを受けたようにも見えたが、山本はそれを否定する。「両ヒートともしっかりレースメイクをすることができていたので、スネーク(大坂の後のSUGOでよく勝負所になるポイント)でも冷静に自分のペースを刻んで走りました。抜かれる心配もあまりしていなかったので、ブロックするようなライン取りもしませんでしたね。
今年はチームの体制が大きく変わって、小島さんのベルズレーシングで走らせてもらっているのですが、HRCからメカニックの派遣など手厚いサポートを受けています。マシンも去年よりだいぶよくなっていて、まだポテンシャルを活かしきれていない部分もありますので、今後もっとマシンの力を引き出してあげられれば、と思います」と。常に前にいたおかげで、他人のラインを参考にするような時間はなかったが、それでもパスされるようなことはない。近いように見えて、遠い背中であった。