2005年、ダカールラリーでのファブリツィオ・メオーニ、同年ファラオラリーでのリシャール・サンク、そして続くダカール2006でのアンディ・カルデコット…。これはいずれもラリー中の単独事故による犠牲者の名前だ。
Photo Credit:Rally Zone + FIM
Text : Jon Pearson - ENDURO21.COM
続く不幸なアクシデントを受け、FIM(国際モーターサイクリズム連盟)と、ダカールの主催者であるASO、また有力なマニュファクチャラー(KTM、BMW)は協働して、ライダーの安全を議論し、具体策も講じてきた。排気量規制、ネックブレースの開発・製品化、ナビゲーションを重視するルールへの変更はその一例だ。ダカールが南米に移るとほぼ同時に、2輪部門の排気量は450ccに制限されたが、そのトップスピードは現在180km/hをゆうに超え、目的であった最高速度の抑制に成功しているとは言えない状況だ。
無くならない重大事故
今年、ダカール2020でトップライダーの一人、パウロ・ゴンサルベスがやはり単独のアクシデントで死亡したニュースも記憶に新しい。そんな中、FIM会長のホルヘ・ヴィエガスとFIMのスポーツディレクターであるジャン・ポール・ボンボーは、ASO、FIMクロスカントリーラリー世界選手権の主催者、そしてライダー代表としてサム・サンダーランド(KTM)とアドリアン・ファン・ビヴェレンといったメンバーとミーティングを行い、ラリーの安全性向上をテーマにディスカッションを行った。
事故の原因は何か
話題の中心となったのは、今年のダカールで発生した死亡事故を含む重大なアクシデントや、最近の他のイベントで発生したアクシデントがどのような状況で発生したのか。また、それはどのようにしたら防げるのか、ということだった。その結果成された新たな提案は次のようなものだ。
1.コースレイアウトには4輪関係者だけではなく、2輪関係者も関与すること。
2.ロードブックの安全性・信頼性をチェックするためのコースインスペクターを配置すること。
- エンジン出力を抑制すめための「吸気のストラクター」を導入すること。
- ライダー用エアバッグの装備。
議論は活発なもので、立場を超えて多くの提言が行われた。ライダーから、重大事故のリスクを高める要因として挙げられたのは、高速走行、自信過剰、脱水症状、注意力の喪失、ナビゲーションエラー、見えにくい障害物、ロードブックの精度の悪さなど。そして結論として次のような具体案がまとめられた。