オフロードバイク乗りにとって「走る場所」「遊ぶ場所」は、常に大きな問題だ。いかにいいバイクがあったとしても、それを楽しめる場所がなくては、なにもできない。2018年、稀代のオフロードマシンとして、鮮烈なデビューを果たしたCRF450Lは、北米のトレイルライディングに関するニーズを元に企画されたマシンだが、さて日本に「Attack next trail(CRF450Lの開発コンセプト)」のキャッチフレーズは、持ち込めるのだろうか? 

Off1.jpでは日本の本当のプレイフィールドの可能性を検証すべく日本を回遊していく「ジャパン・トレイル」プロジェクトをパイロット版として発表したい。時には、トレイルを探し、時にはトレイルを作っていく。もちろん、法的にも、社会的にも、問題のないトレイルを…だ。

日本でダートをつなぐ。名古屋起点で、ラウンドトリップへ

画像1: 日本でダートをつなぐ。名古屋起点で、ラウンドトリップへ

オフロードバイクで遊ぶこと=スポーツとすると、クローズドコースが前提になる。しかし、ただ通過するだけでも面白いのがダート路面のいいところでもある。このたびのジャパン・トレイル回遊のプランは、日本有数の都市圏である名古屋を出発して、ダートをつなぎ、1日を楽しくラウンドトリップしてくることだ。

画像2: 日本でダートをつなぐ。名古屋起点で、ラウンドトリップへ

名古屋から、岐阜方面へ。岐阜の山岳地帯を案内してくれたのは、ダカールラリーでTeam HRCのシートを制作していることでも著名な、野口シートの野口英一さん。CRF450Lが登場してすぐに予約、購入して岐阜方面を遊び回っていると言う。海外経験も豊富なラリーライダーであり、今年もアルジェリアのトゥアレグラリーへ参戦予定。

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そして、今回プロジェクトに賛同いただき、Off1と共に日本のトレイルを探していただくことになった釘村忠。どうライディングすれば、そのトレイルを楽しめるのか、あるいはトレイルを作るとすればどうしたらいいか、そんなことを共に考えていただくことになった。当サイト、ダートスポーツなどでもおなじみだが、元モトクロスのファクトリーライダーで、現在は日本のエンデューロを牽引するトップライダーの一人。

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野口氏に連れられて向かった林道は、支線にあふれていて、散歩がてら訪れても楽しい場所。スポーツ走行にならないゆったりとしたペースで、2台のCRF450Lで林道を抜ける。ストリートリーガルに仕立てられたCRF450Lの静かな排気音は、森になじむ。

ただ、ベースとなるCRF450Rの性格か…。ゆっくり走ることで、よりアクセルを開けたい、路面のうねりを感じながら、ダートを思い切り楽しみたいという想いが募っていく。

「普段は、コースに行くのにトランポを使いますけど、こうやって行く道中を楽しむことが、とても贅沢に感じますね。この楽しみかたはありかも」と釘村は言う。「だから、もっと楽しいところに行きたい! とより思えてくる」とも。CRF450Lが、CRF250Lと違うのはそこだ。正直なところ、林道をゆったり走ることでは満足しきれないフィーリングなのだ。

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岐阜の尾根沿いを走るルートが心地良い。

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手強いガレた林道も、足のよさが際立つ。決してスポーツ走行をせずとも、日本の林道は、ただ抜けるだけでも面白いルートがある。

山から下りたら、1ポンドの肉を食べに行こう

たっぷり遊んだら、肉を食べよう。というわけで関市にあるコウシヤバルへ。こちらは、店主もバイクに乗るし、バイク乗りがご飯を食べにやってくる。

画像1: 山から下りたら、1ポンドの肉を食べに行こう
画像2: 山から下りたら、1ポンドの肉を食べに行こう

加えて言うと、やっぱり名物の熟成牛肩ロースの1ポンド(450g)グリル(3,990円)をいただきたい。なにせデカイ。

画像3: 山から下りたら、1ポンドの肉を食べに行こう

オススメ2。ローストビーフ丼(レギュラー1,400円)

画像4: 山から下りたら、1ポンドの肉を食べに行こう

煮込みハンバーグ(1,400円)も絶品だ。

スラムパークが、「コース初めて派」にも気持ちいいワケ

というわけで、この日のメインディッシュとして訪れたのが、愛知県スラムパーク瀬戸。ご存じダートフリークが運営する、一大オフロードフィールドだ。ここのいいところは「トレイルコース」という、とても気持ちよく「流せる」コースが存在すること。

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その名の通り、トレイルマシンが走ることを想定しているので、ここで目を三角にするのはまったくのナンセンス。それに、このトレイルコースの設計は秀逸で、まるでMTBでバーム(バンク)を気持ちよくまわってるような、サーフィンのような味わいがある。

オフロードバイクは、速く走る、もしくは難しいところを走る、そんなホビーに思われがちだけど、Off1としては「今のバンク、決まってた!」とか、「気持ちいいエア入った!」とか。フィールドのフロウを感じながら「コンフォートな走りをする」ことにも目を向けたい。

釘村流、気持ちのいいトレイル・フロウ
〜スモール・ウィップ

たとえばこうだ。

画像: 釘村流、気持ちのいいトレイル・フロウ 〜スモール・ウィップ

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小さなシングルジャンプに、スタイリッシュなひねりを加える。

入り口は若干斜めに入っていくことで、ジャンプの芯をずらしながら、飛び出しはハンドルと体でひねる。釘村のように、体を小さくまとめられると、よりスタイリッシュだ。

釘村忠の“スモールウィップ”ワンポイントアドバイス

①斜面に対して少しだけ斜めにアプローチして行く
②フロントタイヤが斜面に入ったらサスペンションを縮ませるように押さえ込む
③フロントタイヤが頂上まで来たらバイクを少し傾ける(可能であればハンドルをこじる様に)
④、⑤バイクが傾いたら腰を落とし低い姿勢になる
⑥、⑦リアが上がってきたらバイク(ハンドルを真っ直ぐに戻す)を起こし、ニーグリップする様にくるぶしでホールドする
※上の写真順に解説しています

画像: 釘村忠の“スモールウィップ”ワンポイントアドバイス

思い切り、外側に体を持って行くことでBMX風。ここまでできると、手足のように扱えている感がカッコイイ。

釘村流、気持ちのいいトレイル・フロウ
〜ウィールタップ

画像: 釘村流、気持ちのいいトレイル・フロウ 〜ウィールタップ

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あるいは「ウィールタップ」もオシャレ。

飛び出しでフロントを上げたまま入り、リアタイヤを向こう角にあてることで、フロントを落とす。モトクロスの実戦では、むしろリアを飛ばさずにギャップに這わせることで、滞空時間を無くしてギャップのある路面を加速する高等テクニックだが、この際そんなのはどうでもいい。ポンとリアをあてるギミックがキマルと、カッコイイ。

釘村忠の“ウィールタップ”ワンポイントアドバイス

①斜面に対してまっすぐに進入する
②フロントタイヤが斜面の真ん中辺りに来たら、アクセルを少し開けながら上方向にハンドルを引いてフロントを上げる ※後ろへ引くと、体が後ろにいってしまう…
③フロントが上がったままジャンプの体勢に入るが、しっかりニーグリップを忘れない様に
④フロントを上げたままジャンプの着地したと同時に、ステップを真下に踏ん張ってリアサスペンションを沈める
⑤リアサスペンションが沈みこんで止まる辺りで、膝を伸ばし、リアサスペンションの反発をいかし、またジャンプする
⑥リアが浮くのを感じながら、頭をフロントサスペンションより前に出し車体を平行にして着地する
※上の写真順に解説しています

画像: 釘村忠の“ウィールタップ”ワンポイントアドバイス

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バンクも、スタンディングでスライドすると、ウィールタップからのつながりでキレイに見える。点を入れるためではない、バスケットボールと同じ。競技とは違う、フリーライド的な乗り方が、このトレイルコース×CRF450Lなら楽しめる。それは、トレールバイクとしての性能だけでなく、ダートを愉しむ「ホビーツール」としての性能に、特化しているからだ。

釘村忠の“スタンディング・スライド”ワンポイントアドバイス

バンクを鋭角に走る様なライン取りで進入し、リアブレーキを使いリアタイヤをロックさせバイクを傾ける。バイクが傾きはじめたら、アクセルを開けスライドをコントロールする。
この時の姿勢が、とても重要です。フロントサスペンションより体を前に出し、リアを軽くしてより滑りやすい様にします。練習方法は、まずはフラットな砂利や草の生えている様な場所でフロント荷重にして、滑る感覚を覚えおくことが重要です。
バイクを傾け滑り出したら、アクセルを開けコントロールします。恐怖心があり、アクセルを開けられないかもしれませんが、自分の走りたいラインの先を見て走る事をおすすめします!

ここ、走れるかな…が遊びの原点

スラムパークでは、平常時は走る場所が決められていて、レースで使うフィールドを遊ぶことができない。だから、スラムパークで探索することはできないのだけれど、今回は特別に遊び方の模索のために探索させてもらった。

画像1: ここ、走れるかな…が遊びの原点
画像2: ここ、走れるかな…が遊びの原点

トレイルコース脇、詳しい人ならわかるのではないだろうか、CGCなどのエンデューロでスタート直後のヒルクライムとして使われている場所だ。

画像3: ここ、走れるかな…が遊びの原点

ここを逆向きで使うことで、途端にシングルトレイルっぽい野趣が増してきた。

画像4: ここ、走れるかな…が遊びの原点
画像5: ここ、走れるかな…が遊びの原点

スラムパークでは叶わなかったけど、各地のコースでシングルトレイルを開拓して、新たなトレイルコースを設定できたら、それはそれで新しい遊びができそうじゃないか、と可能性を感じた。

日本には、もう走る場所なんてない、と言う人もいる。
せっかくのハイパフォーマンスマシンを、一体どこで走らせるのかと。でも、野口氏に案内されながら、釘村忠と岐阜界隈を回遊して、そんなことはないのだ、と思い始めた。想像力と、調査力、実行力さえあれば、まだまだ日本でCRF450Lを遊び倒せる場所は、増えていくだろうと。この企画が、いろんな形で続いていくことを願ってやまない。

特別協力:ホンダモーターサイクルジャパン、野口装美、ダートフリーク

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