CRF450Lは、現世代の17MY CRF450Rの開発を機に企画されたという。CRF450Rは、19モデルで大きなマイナーチェンジされたため、最も近い車種でいうと18モデルのCRF450Rになる。いまは、コンプライアンスが重視される2010年代。2ストロークが規制を通る90年代ではないのだ、レーサーを公道で乗れるようにするために必要なモディファイは、すでに公表されているものでは到底足りない。
![画像1: もっと知りたいCRF450L vol.2 「70%がレーサー、だが各所にちりばめられた公道化モディファイは∞」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/86b4a6fc5988321e0ee02191847e0e747637fc19_xlarge.jpg)
CRF450Lと、18 CRF450Rを前に語ってくれた、CRF450L開発責任者の内山幹雄氏に公道化の情熱を聞いた。
見た目、CRF450Rそのもの。だってほとんどRのパーツだもの
![画像: 見た目、CRF450Rそのもの。だってほとんどRのパーツだもの](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/b41c77eb5ef54be529c018225257b9aaf6100357_xlarge.jpg)
連載vol.1で披露したとおり、そのスタイリングはまさにCRF450Rそのものだ。実に、使用するパーツの70%がCRF450Rだというから、とんでもない開発努力。だからこそ、入念な公道化がされている。おそらく、これをR化するのは不可能に近い。
フレームは6速化にあわせてワイドに、そして剛性の適正化が随所に
![画像1: フレームは6速化にあわせてワイドに、そして剛性の適正化が随所に](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/5befc4c08b20d34377480658eab6a9dd275b0945_xlarge.jpg)
まずは、フレームのミドル部分。このパーツは、Rの5速を6速化する上で、クランクケースがワイドになっているのにあわせて、再設計されている。
![画像2: もっと知りたいCRF450L vol.2 「70%がレーサー、だが各所にちりばめられた公道化モディファイは∞」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/8049ad895dded0f1e0c40b616043c2a1a7802506_xlarge.jpg)
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![画像3: もっと知りたいCRF450L vol.2 「70%がレーサー、だが各所にちりばめられた公道化モディファイは∞」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/de662611f7ef273356e4877b767eb9910fb3c415_xlarge.jpg)
CRF450R
裏からみてもわかりづらいが、リブの形状などでフレームの剛性もR比で若干落としている。
![画像4: もっと知りたいCRF450L vol.2 「70%がレーサー、だが各所にちりばめられた公道化モディファイは∞」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/a6040270b09d5f5c55ee05321ea25fa7f980d5fa_xlarge.jpg)
CRF450L
![画像5: もっと知りたいCRF450L vol.2 「70%がレーサー、だが各所にちりばめられた公道化モディファイは∞」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/9c0d2200cd6c1c2003560f787441cf85070579ef_xlarge.jpg)
CRF450R
ネック部分も、剛性を落とすために変更されているパーツだ。Rには、CRF伝統のステアリングダンパーをつけられるように雌ネジがあいているが、Lにはちがうダボあとがある。CRF用ステダンは装着不可。スペック上キャスター角が異なるが、これは突き出しや、リアサスのセットによるものでネックの角度は変更無し。
![画像2: フレームは6速化にあわせてワイドに、そして剛性の適正化が随所に](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/1054f1251711cedbf37890b44a4df8c8b94ea3b7_xlarge.jpg)
エンジンマウントは、上部ハンガーを再設計して剛性を落としている。
パワーデリバリーの最適化
![画像6: もっと知りたいCRF450L vol.2 「70%がレーサー、だが各所にちりばめられた公道化モディファイは∞」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/082d4b11645e5b2dc7fc8883359d8dfac037ea94_xlarge.jpg)
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![画像7: もっと知りたいCRF450L vol.2 「70%がレーサー、だが各所にちりばめられた公道化モディファイは∞」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/f507082d14da6443dd991fb2a7fc3172a14053e4_xlarge.jpg)
CRF450L
エアクリーナボックスはまったくの新造で、箱型。Rは箱というよりカゴで、ほとんど全開放状態だ。エアクリーナ自体の大きさもひとまわり小さなものを使用している。吸気をおさえることで、トルクに振る設計。
![画像1: パワーデリバリーの最適化](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/0bfc4a910a1a5c977bac63f53b3c63d7ce40beeb_xlarge.jpg)
さらにその上に、CRF450Lは吸気の蓋がついている。トルクデリバリーだけでなく、「音量をおさえるための蓋」とのこと。レーサーの吸気音はかなりのものになるのだ。
![画像2: パワーデリバリーの最適化](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/370f3d63ac37cd9b6108df5348be6537bf32ffce_xlarge.jpg)
エンジンは、圧縮比やカムプロフィールによるところがパワーデリバリーでは影響が多い。特に圧縮比は、トレールならではのリニアさを出すために、13.5→12.0に変更されている。トラクションさせることが難しいレーサーの気むずかしさを打ち消した形だ。
![画像8: もっと知りたいCRF450L vol.2 「70%がレーサー、だが各所にちりばめられた公道化モディファイは∞」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/da388bbc952c4d0b627833205e46033e0236d6ab_xlarge.jpg)
CRF450R
![画像9: もっと知りたいCRF450L vol.2 「70%がレーサー、だが各所にちりばめられた公道化モディファイは∞」](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/905bd9f60872696b79c993e3d24175e87bd09c33_xlarge.jpg)
CRF450L
排気系は当然まったく別物で、デュアルマフラーがシングルに、排気管の太さも細いモノに変更されている。シングルマフラーの理由は、キャタライザーの効率を勘案した結果。
ここまでやるか、騒音対策
![画像1: ここまでやるか、騒音対策](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/2b28fbc643d6294b9d257035d4d09a1d19f9f3fa_xlarge.jpg)
一番驚かされたのは、こちら。言われないと絶対にわからないが、スイングアームの上部中央に黒いゴムが見えるだろうか。スイングアームの形自体は変更されていないが、この穴から発泡ウレタンが注入されておいて、チェーンがスイングアームを叩く音を小さくしている。実際、スイングアームを叩いてみると、あきらかに音が異なるのにビックリ。
![画像2: ここまでやるか、騒音対策](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/3f7879d74ad66e8b82a6e32f91b660004e3dd23f_xlarge.jpg)
テストを重ねた上、採用されたタイヤはIRCのGPシリーズ。最もロードノイズが低いという。
![画像3: ここまでやるか、騒音対策](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/fedac01a54ea0ebfa5d9fed9afce70d45e31602e_xlarge.jpg)
スプロケットにも、ゴムリングをつけて騒音抑制。
![画像4: ここまでやるか、騒音対策](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783375/rc/2018/09/07/6e3854e8d9a5092beaa1ec0c082aa4a92159280a_xlarge.jpg)
エンジンには、両側プラスチックのカバーが装着されている。これも騒音対策だ。そして、さらに涙ものなのは、フレームのアンダーパイプの間に納まったリザーバータンク。ここに水タンクがあることで、エンジンの騒音を消しに行く狙いがある。
特に、EURO4を通すための騒音対策には、舌を巻く。いま、レーサーをストリートリーガル化するということは、こういった開発陣の弛まぬ努力の積みかさねがあってこそだ。ちょっと保安部品をつければいいのではなんて、そんな甘い物ではない。この開発姿勢に、税抜き120万円の中身が、見えてきはしないだろうか。