レーサーを持っていなくても、速く走ることができなくても、レースに挑戦することはできます。モトクロスやエンデューロなど様々な競技があるなか、比較的参加しやすいのはクロスカントリーと呼ばれるもの。現在、WEXやJNCCが大人気で超楽しいですよ。

初心者でも出られるクロスカントリー、その名は「WEX」

「WEX」とは「WEEKEND CROSS COUNTRY」の略称で、週末にオフロードバイクを楽しむサンデーライダーを対象に、初心者から中級者まで気軽に楽しむことができるクロスカントリーレースです。以下は主催しているJNCC(JAPAN NATIONAL CROSS COUNTRY)のホームページから抜粋したWEXの説明文です。

JNCCジュニアXC(クロスカントリー)WEX は 大自然の中で行われる「モーターサイクルXC」の醍醐味を多くの方に知っていただこうと、入門者から中級者までを対象に不公平感が生じないよう工夫された「40ミニッツ」「90ミニッツ」「120ミニッツ」の3レースに、誰もが主役になれる 23 のクラスを用意し開催される老若男女が楽しめるニューウェーブな「競技志向 XC選手権」です。

オフロードバイク歴4ヶ月がWR250Rで出場してみた

WEXを初レースに選んだのは千々岩優輝さん。YAMAHAのWR250Rで、1月に林道デビューを果たしたばかりの正真正銘の「初心者」です。

WEX EAST Rd.2
5月4日
長野県ワイルドクロスパークGAIA

画像: 千々岩優輝さん

千々岩優輝さん

なぜWEXを選んだのか

「いつも練習している河川敷で出会った人や、Twitterで知り合った人に「初めて出るならWEXがいいよ」と教えてもらいました。時期的にもゴールデンウィークの真ん中で都合がよく、友人たちと相乗りで行くことで、交通費も抑えることができると思ったからです。あとレースの動画もインターネットにいっぱいアップされていて、コースや会場の雰囲気を知ることができたので、安心して挑戦できました!」

と、千々岩さん。FacebookやTwitterでは、レース参戦の情報がたくさん転がっています。JNCCの公式ページも、忘れずチェック。
https://www.facebook.com/jncc.jp/

画像1: なぜWEXを選んだのか

積極的にSNSを活用すれば、初参加でもこれだけの仲間とレースを楽しむことができました。

画像2: なぜWEXを選んだのか

そして、レースの楽しみといえば「前夜祭」。レースは朝早くからスタートするため、前夜に会場に入り、みんなでキャンプをすることが多いです。そこで美味しい料理やお酒を楽しみながら翌日のレースに思いを馳せ、語り合う時間は何ものにも代えがたいモノ。

レース前に準備したこと

画像1: レース前に準備したこと

バイクを積載できる車を持っていない千々岩さん。練習では公道走行可能なタイヤを使っていたけど、公道不可のオフロードタイヤに変えました。タイヤは河川敷で知り合った人にレースに出る話をしたら譲ってくれた中古のIRC VE-33を逆履きで使用。

画像2: レース前に準備したこと

ニーグリップを補助してくれるフレームガードは、タイヤチューブで自作。レーサーに乗らせてもらった時に樹脂製のパーツがついていて、ニーグリップのしやすさに驚き、作ってしまったとのこと。見た目はイマイチだけど、効果は抜群。

画像3: レース前に準備したこと

ハードエンデューロに出る人には常識なスタックベルト。初心者向けのWEXには不要な代物ですが、雨予報だったことと、初出場で不安なため装着したといいます。こちらも腰に巻くベルトを切って自作したものだそう。

画像4: レース前に準備したこと

雨の時に泥がブーツの隙間から入ると不快になりライディングに集中できなくなります。こちらも同行したレースの先輩たちからアドバイスをもらい、サランラップで泥の侵入を防止。定番のプチテクニック。

画像5: レース前に準備したこと

レースに出たことがない人は、すごい速度で走るような印象を持っているかも知れませんが、実際には決してそんなことはありません。むしろ速度域は公道よりも遅く、100km/hどころか40km/hも出せないところがほとんど。

※全日本モトクロスのトップですら、平均速度は50km/hに満たないことが多いのです

トレールバイクのギア比は高速道路や国道で走ることを考慮しているため、全体的に想定速度が高く、もっと低速で力が欲しいという場面が多くなります。特に上りでは、速度を乗せられない初心者にとって、極低速で走れる1速が欲しいところ。今回は純正で前13丁・後43丁のスプロケットを、前12丁・後48丁に変更しました。かなり思い切った変更ですが、おかげで加速がよくなり走りやすくなったとのこと。

※もちろんスプロケットの丁数は変更しなくともレースに参加することはできます。もし変更する場合でも後ろを2丁増やす程度が普通です

画像6: レース前に準備したこと

また、転倒時に故障しやすく、重量もあるヘッドライト、リアフェンダー、ウインカー、ホーン、ETC車載機、ミラー、タンデムステップ、ナンバープレートを外し、背中には2Lのペットボトルを入れたバッグを背負い、チューブで吸えるように。さらに当日は気温も上昇したことから、熱中症対策としてハンドルには塩タブレットを貼り付けて走りました。

「もっとうまく走れたんじゃないか」

画像: 「もっとうまく走れたんじゃないか」

「今回は90分間のレースにエントリーしましたが、90分続けて走るのは初めてでした。レースに出ると決めてから、休まず30分間走り続ける練習を1日3セットして、体力をつけてきました。おかげで体力は最後まで持ったのですが、腕上がりがひどくて、最後の方はまともに走れませんでした。
いつも練習している河川敷では森の中が多いので、レースでもウッズはうまく走ることができたと思うのですが、モトクロスコースでいっぱい抜かれてしまいました。結果は「90テーピングFL」クラス5台中4位。90分総合では162台中143位という成績でした。
終わってみると「もっとうまく走れたんじゃないか」と悔しい思いでいっぱいです。特にモトクロスコースで、普通のコーナーの走り方がまったくわからず、次のレースに向けての課題が見つかったと思っています」

「もう次のレースに出たくて、ウズウズしています」

画像: 「もう次のレースに出たくて、ウズウズしています」

「とにかく、たくさんの仲間と一緒に参加できたのが楽しかったです。現地に向かうまでの車の中はまるで同級生と一緒に遠足に行く前のテンションで、前夜祭でみんなとカンパイして美味しい料理を食べて語り合うのも最高でした。
レースの結果は悔しいものでしたが、速い人も無茶な抜き方はせず、キレイに抜いていってくれましたし、僕がモトクロスコースで転んでばかりいたら、マーシャルの小林雅裕選手が先導してくれて、その後ろをついて走ったら驚くほど楽に走ることができました。
初レースが終わったばかりだというのに、もう次のレースに出たくて、ウズウズしています。次のレースは9月16日にWEX勝沼(山梨県)、しっかり練習してクラスで半分を目標に、挑戦してみたいと思っています」

初レースで見事完走、レースを楽しみ尽くした千々岩さん。「次のレースは?」と聞くと当たり前のように「WEX勝沼ですかね!」と嬉しそうに話してくれました。

このようにレーサーではなくても、オフロード歴が短くても、気軽に仲間と楽しく走り、充実した時間と達成感を得ることができるのが「WEX」です。参加しているうちに成績が上がり、自信がついてきたらクラスをあげたり、より本格的なクロスカントリーレース「JNCC」に挑戦してみるのもいいでしょう。
もしこの記事を読んでくださっているあなたも「レース出てみたいなぁ」と思ったらSNSやコースで仲間を探してみてください。きっとあなたの力になってくれるはずですよ。

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