1990年代から国内外のモトクロスシーンを追い続けているイラストレーター・えかきやたまさんが、レース会場で感じた熱気やライダーの声、その素顔を独自の視点で切り取る「たまレポ」をOff1.jpで連載。第一弾は、今季オーストラリア選手権への参戦を発表した中島漱也選手にインタビュー

photo/川井晴稀(@121haruki

画像1: たまレポvol.1 中島漱也、世界への第一歩・オーストラリア選手権参戦

こんにちは、あるいははじめして。モトクロス追っかけイラストレーターえかきやたまです。ご存知ない方のためにご挨拶方々簡単な自己紹介を。えかきやたまは90年代半ば、モトクロス専門誌DIRTCOOLにて「えかきやたまの追っかけレポート」というイラストレポを連載しておりました。ジャパンスーパークロス(JSX)を皮切りに、AMASX、AMAナショナルMX、全日本モトクロス、FMXを取材、イラストレポの他IAボイスレコーダーというミニインタビュー連載や幾つかのインタビュー記事に携わらせていただきました。DIRTCOOL誌の休刊と前後してモトクロスニュースサイトThe Newsmotoにて約10年「たまモト」というタイトルで全日本モトクロスを中心としたレポート&インタビュー記事を発表してきました。……といった経歴ののち、この度、活動の場をOff1.jpさんに移し全日本モトクロスを中心に取材、記事を発表させていただく運びとなりました。今までと同じく現地レポやインタビュー記事を通じて、モトクロスの面白さやライダーの素顔などをお伝えできればと思っております。すでにご存知の方もはじめましての方も何卒よろしくおねがいいたします

画像2: たまレポvol.1 中島漱也、世界への第一歩・オーストラリア選手権参戦

「来年は……オーストラリアを走ります」
中島漱也選手からその言葉を聞いたのは2025年も押し詰まった年末、MFJ MOTO AWARDSの会場でした。何年も前から「海外でレースをしたい」と熱望されていた中島選手が選んだ2026年の戦場は、オーストラリア選手権。昨年のシーズンオフに挑んだニュージーランド選手権に続いての海外選手権ですが、昨年と違うのは現地のチームに所属して開幕からフル参戦されるところ。全日本参戦のためのトレーニングではなく「AMA参戦という最終目標」に向けての最初の一歩という意味合いがあります。「自分の最終目標はAMA参戦だけど、いきなりAMAにチャレンジするのはレベル的に現実的ではないのでオーストラリアかニュージーランドでのレース経験を足がかりにしたい」という目標設定を何年も前から口にされていた中島選手の「本気の一歩」について、出発前に詳しく伺いました。

オーストラリア選手権参戦までの道のり

画像: オーストラリア選手権参戦までの道のり

たま:今年はオーストラリア選手権を走られるということで、なかなか会えなくなっちゃいますね。

中島:そうですね、しばらくは。

たま:まずは今年の体制を教えてください。クラスは?

中島:MX2クラスです。

たま:排気量が250ということですね。

中島:はい。

たま:もうずっと何年も前から海外で走りたいっておっしゃってて、以前お話を伺った時にも最終目標としてはアメリカだけどもその前にオーストラリアでワンクッションっていうのが現実的じゃないかっていう話をされていたと思います。ついに今回、その希望をヤマハが叶えてくれたということでしょうか? 

中島:そうですね。去年のシーズン最初から海外に挑戦したいっていうのはずっと言ってて、ちょうど前半戦が終わるタイミング、そのあたりから大体来シーズンの話になってくるのでその時に「来年はオーストラリアにチャレンジしたい」と伝えました。

たま:なるほど。言っても会社もすぐに「そうですか」とはいかないだろうから……じゃあチャンピオンを維持したらみたいな話になったのかしら?

中島:そうですね。はっきりと何か条件があったわけじゃなくて、その時は「検討します」みたいな形だったんですけど。多分その後のネイションズ(編集部注:年に一度行われるモトクロスの国別対抗戦「モトクロス・オブ・ネイションズ」)が大きくて。代表選手に選んでいただいて、会場にオーストラリアヤマハの方も来てて、自分の予選が終わった後すぐにミーティングの時間をとってもらうことになりました。日本のヤマハからもスタッフが来てたので、そこで初めてオーストラリアと日本のヤマハスタッフとで面談的なものをすることができて、一気に話が進んだという感じです。

たま:そっか、ネイションズに出られたってことが今回すごく大きかったってことですね?

中島:そうですね。オーストラリアのヤマハが受け入れてくれたっていうのは現実にそれがあったと思うので……ネイションズがそういう機会に繋がったのはすごい嬉しいです。

たま:ネイションズでもいい走りをされていたし、それに対してオーストラリアのスタッフの感触が良かった、アピールできたみたいなのはあったんでしょうね。

中島:予選が終わった後にそういう機会になったので、ちょっとほっとしたというか嬉しかったです。

たま:それで張り切って走れたって言うのも?(笑)

中島:そうですね(笑)

たま:大きかったですね、それは。そういう形でネイションズの後くらいから具体的に話を進めて「じゃあ、来年はオーストラリア選手権にチャレンジしましょう」という話がヤマハから正式に来たのはいつくらいですか?

中島:正式には最終戦が終わった後、11月中旬くらいにオーストラリアのチームから契約書が届いてサインしたって感じですね。

たま:おお! ドキドキするね。

中島:いやー、そうですね、本当に。自分が目標にしてたことの第一歩だったんで、素直にめちゃくちゃ嬉しかったです!

たま:本当に、だってずっとね、長年言い続けていたことだし、そのために色々積み重ねてきて手にしたものだから、手応えとしてはものすごく「頑張って良かった」っていう気持ちじゃないかと思うんですけど。

中島:そうですね、自分の出した結果が「目標に近づく方向」に進んでくれたので、去年1年頑張った甲斐があったなと思っています。

やっとスタート地点

画像: やっとスタート地点

たま:中島選手はお幾つになられたんでしたっけ?

中島:23歳です。

たま:ギリギリだね、ギリギリで間に合ったね。

中島:そうなんです!それも日本のヤマハスタッフに伝えました。プレゼンをする時に「もう、今しかないんです!」って。

たま:海外のレース事情とかをあまり考えないと「23歳はまだ若いじゃん」って思われるかもしれないけど、これからチャレンジャーとして海外を走るっていうと20代前半がギリだから……

中島:はい。

たま:間に合ってよかったですね。

中島:予定ではもうちょっと早かったんですけど(苦笑)

たま:本当に20歳くらいだったら一番良かったんでしょうけど、でもまだ全然いけると思いますし。この話を聞いた時、正直言うと「あ、良かった間に合った!」って思ったんですよね。

中島:これが、来年、再来年ってなってきたらまた話が違うんで。

たま:どうしても、来年再来年になってくると更にその先の展望っていうのを見込むのが辛くなってくるから……

中島:本当ギリギリ…まあ、吸収力みたいなのも20代の前半と後半だと違ってくると思うんで、完成される前に向こうの世界に飛び込みたいっていうのがありました。

たま:脂が乗り始めた最初の頃だから、これからガツガツと吸収していくのが大事になりますね。

中島:はい。そうですね。

たま:いや、ほんとよかった。おばちゃん安心しました(笑)

中島:(笑)本当ジュニアの頃から見ていただいてるんで。

たま:この2〜3年ほんとに頑張ってきちんと結果を出されてたので。海外で走りたいっていう希望を口にされるライダーはわりと多いのね。海外走りたいです目標にしてますって。でも、具体的に必要なものが何かを把握して積み上げて、なおかつ自分の力を蓄えてっていうことがちゃんとできているライダーはそう多くはないように見えるんですね。中島選手はそれができている数少ない一人だと思うから。そういう意味でこれからも期待が持てるなって思ってます。

中島:そうですね。やっとスタートラインなんで、ここが。これからが厳しい戦いになると思いますけど。

たま:オーストラリア期をできるだけ早く切り上げないと、次の目標……ハードルがあるから。

中島:そうですね、まだスタートなんで。ここで満足しちゃったら、オーストラリアもうまく行かないと思っています。

たま:どうしても最初の一年は環境に慣れることで費やされる部分があるだろうから、そこから次のステップをどうするかって、そういう意味では今年は本当にチャレンジャーだし大変だと思いますけど。

中島:そうですね。気持ちはルーキーで行きます。

たま:体力的な部分とかはね、まだ全然余裕だと思うので……

中島:そうですね、そこは大丈夫だと思うので。

たま:語学的な部分はどうですか? コミュニケーションは……

中島:最近は海外に行く機会が増えているので徐々に良くなってきているというか、なんとか喰らいついてるって感じですけど、ジェイ(編集部注:ジェイ・ウイルソン:D.I.D全日本モトクロス選手権にヤマハのファクトリーチームから参戦、2023・2024年IA1クラスチャンピオン)が日本にいるので、英語で話す機会がめちゃくちゃ増えて、多少コミュニケーションが取れるようになっているんですけど。オーストラリアが決まってからは英会話にも通い始めています。

たま:やはり基礎からちゃんと学ぼう、みたいな?

中島:そうですね。やっぱり環境に慣れるっていうのがまずは一番大事なんで。それにコミュニケーションがちゃんと取れないと、そこをストレスに感じて環境に慣れていけないと思っています。レースが始まるのは3月末なんですけど、1月末から出発して1〜2ヶ月くらい、準備期間を設けようと思っています(編集部注:実際にはビザの関係で2月20日出発予定)

たま:大事だと思います。あっちはあったかいし。

中島:あっちは夏なんでね。最高です。

オーストラリア選手権での体制

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たま:オーストラリア選手権は、3月末に始まって10月くらいに終わるんでしたっけ?

中島:いや、8月の最初の週で終わります。

たま:そんなに早かった?!

中島:はい、そうなんです

たま:何戦くらいあるんですか?

中島:7戦かな。

たま:じゃあ全日本と同じようなペース? いや、実質5ヶ月だからもうちょい詰まる感じですか?

中島:そうですね、2週間に1回でちょっと間が開いたりとか、スパンは全日本よりまあまあ短いですね。

たま:あとインターバルがないからね。以前、横山選手(編集部注:横山遥希:2020年IA2チャンピオン、2021年から拠点をオーストラリアに移し選手権に参戦)にお話を伺った時に、結構離れた土地で開催されることもあって、なんせ国土が広いので遠くまで行かなくてはならないこともある、みたいなことを聞きました。横山選手はご夫婦二人三脚でプライベート参戦だったから自分たちで運転していかなくちゃならなくて大変っていう話で。その辺、体制としてはどうなるの? 向こうのチームは大きいの?

中島:はい。MX2(250ccクラス)のファクトリーチームです。

たま:ファクトリーチームになるんですね! ヤマハが運営するオーストラリアヤマハのファクトリーチームみたいな形ですか?

中島:そうです。450ccと250cc、それぞれのファクトリーチームをオーストラリアヤマハが運営しています。

たま:そのオーストラリアヤマハが運営するMX2のチームに所属すると言う事ですね。

中島:はい、そうです。そのチーム(Monster Energy Yamalube ヤマハ Team/ヤマハ Australia Factory MX2 Team)で走らせてもらうので環境的にはすごい恵まれていて、マシンとか移動とかに関してもストレスない形でやらせてもらえるようになりました。

たま:チームメイトは?

中島:まだわかんないですね。

たま:1人か2人かわからないけどチームメイトはいるだろうしね。ちょうど、ジェイさんが全日本に来た時のヤマハのチーム体制みたいな。その感じに近いかもしれないですね。

中島:そうですね。そんな形で向こうのライダーと組むんだと思います。

たま:メカニックは?

中島:日本のヤマハから、伊藤(昌弘)さんが来てくれます。

たま:それはものすごく心強いじゃないですか!

中島:はい! そうなんです。

たま:ものすごく願ったり叶ったりというか……。

中島:伊藤さんをメカニックとして一緒に連れて行きたいっていうのだけは、ずっとお願いしていたんで。メカニックだけは日本の方がいいですって。

たま:そこは譲れないポイントだったんですね。伊藤さんは海外にも慣れていらっしゃるし…

中島:はい、自分が持っていないものを持ってる方なんで…

たま:メカニックからも学ぶ事が多いかもしれない。

中島:はい、結果を残すのにすごく近道になると思います。

たま:大事ですよね、とにかく近道をつくらないとね。

中島:はい、自分の場合、時間がないし、もうどれだけ近道できるかっていう感じなんで。

たま:伊藤さんには直接お願いしたんですか?

中島:会社経由でお願いして来てくれるっていう形に……。

たま:それは嬉しかったですね。

中島:伊藤さんとはネイションズも一緒に行きました。海外に慣れている方なので、その時もお願いして実現した形でした。

たま:伊藤さんは海外にいらっしゃる時の方が元気ですよね(笑)

中島:そうですね、楽しそうです(笑)

たま:あきらかに活き活きしているなと(笑)

中島:そうですね。それを見て「この人すごいな」って思って。オーストラリア行くってなったらこの人の力が必要だなって、そう思ったんです。

たま:ものすごく心強いじゃないですか。

中島:もう、怖いもんないですね!

キッズの目標となるライダーに

画像: キッズの目標となるライダーに

たま:そうやってできるだけ環境を整えるように働きかけて、向こうでストレスを感じないでレースに集中できるようにって頑張って交渉して。

中島:そうですね。もう、多分これ以上ない環境というか。

たま:ライダーはそれができるかどうかも大事だと思うのね。漠然と行きたいなとか走りたいなじゃなくて、何が必要で向こうでレースをするためにどれだけ環境整えられるかって、その為の交渉であったり積み重ねであったりっていうのがきちんとできるのが中島選手のすごいところだと思います。

中島:ありがとうございます。

たま:漠然と受け身になってしまう人もけっこういるんですね。「誰かがやってくれるんじゃないか」とか。そうじゃなくて、ちゃんと自分で何が必要かを確かめて、確実に手に入れていけるかどうかはライダーの強さに繋がると思うので。中島選手はそのあたりをちゃんとクリアして海外に行かれるということは紹介したいです。MFJ MOTO AWARDの時におっしゃっていた、海外レースに参戦するとどうしても日本での露出が減るけど、引き続き日本のファンに応援してほしいっていうお話もね、まずこちらで紹介してその後をOff1.jpでフォローして定期的にレポを発信していけたらね、一番いい形じゃないかと思うんですが。ご自身でもSNSで発信されるでしょ?

中島:そうですね。あの、ちゃんと回数というか……忘れられないようにしたいなって思ってるんですけど。自分のSNSメインはInstagramなんですが、Xもこれから頑張ろうと思ってます。でも、自分の発信だけでは限界があると思います。海外に行くっていうのも、今のキッズの子達とかぼんやりとした目標ではあると思うんですけど、なんかこういう前例みたいなものができれば、目標への道が見えやすいと思うんです。だから、そういう話もちゃんと発信して行きたいし、向こうでレースしている時の姿を見せる事はモチベーションにもなると思うんで、そこはきっちりやっていきたいなって思っています。

たま:漱也君自身のモチベーションはもちろんだけども、海外を目指すこれからの人たちの具体的な目標として見てもらえるっていうのは役割として大きいですよね。

中島:自分も日本で育って、海外に憧れつつもそんなにバンバン結果出したりするライダーではなかったですし、とんとん拍子ではなかったと自分では思っています。正直(オーストラリア選手権への参戦が叶ったことに対しても)まだ現実味がないです。これから自分がどこまでいけるかという話もありますが、キッズ達にとっても目標となる場所に行こうとしている自分の姿は、彼らのモチベーションにも関わってくると思うので、そこはしっかり見せていければいいなと思っています。

海外へのアプローチ

たま:今、日本のモトクロスキッズの憧れというか目標は下田丈選手だと思うんですけど。

中島:はい。

たま:彼の海外レースへのアプローチは王道中の王道なんですよね。子供の頃からアメリカで走ってて、ロレッタリンを経由してAMAのチームに入ってっていう。アメリカを走るライダーとしては本当に王道だから、あれはあれですごい事なんですけど、ただ誰もができる方法ではないんですね。そういう意味では漱也君のチャレンジが順調に行って、何年先になるかわからないけれども、AMAを走って成績を残すっていう形になったとしたら、それはもう日本で頑張っているライダーが励まされるし目標になると思っていて。だからすごく頑張ってほしいなって思います。

中島:そうですね。それは自分がやりたいことでもあるし、自分のためだけじゃなく……っていう想いがあるので、頑張ります!

たま:本当にね、希望だと思うよ。

中島:ありがとうございます。

たま:もちろん下田選手はすごいライダーだし、下田選手があそこまでになるようサポートされた彼のご家族はほんとに偉大なんだけども、あのすごさは誰にでも真似できるものではないので、海外で成功するにはあの道しかないのかってなるとやっぱり心が折れてしまう人って出てくると思うんですよ。

中島:はい。

たま:でも、こうやって今、漱也君が道を切り開いていらして、それに対して「こういうアプローチもあるんだ」って思ってくれたらね、それを目標にして後に続いてくれたらね、その役割はとても大きいなって思っているので。

中島:日本国内では、モトクロスライダーとしてできる仕事も他の国より多いし、日本の4メーカーがあるということもあって、モトクロスで海外にっていう意識が薄いというか、日本国内で終わっちゃうことが多くて。「IAライダーを目指している人」が多いと思うんですね。そこの意識を世界に向けて広げることができれば全体のレベルも上がって、そうなってくれば他の業界からの認知というか、モトクロス自体の認知も上がってくるんじゃないかと思っています。

たま:そうですね。

中島:でも日本から海外にっていうのはすごく難しい話だと思うので、そこの大きな前例というか、そういうのは作れたらいいなと思いますね。

たま:フリースタイルライダーの東野貴行選手とか渡辺元樹選手とか、そんなにはお若くない年齢で海外にチャレンジして成功して今日に至っているのとか見ると、可能性は絶対あると思うし…

中島:そうですよね。

たま:中島選手の場合はものすごく周到に、今まで見て来た中では一番と言っていいほど周到に準備をして海外への道を手にされたライダーだと思うので。ひょっとしてあれですか? 割と準備をしっかりしないと心配なタイプの人なんですか?

中島:いやいやいや、全然。今すぐに海外に行きたい! っていう時期もありましたし。でも海外のレベルを肌で感じると、「自分がしっかり走れる環境を用意できなかったら結果を出せるわけがない」っていうのがわかったというか。海外のレベルを知ったからこそ行っただけじゃどうにもならないっていうのを身に沁みたというのはあると思います。

たま:それはやはりニュージーランド選手権を走ったりした時に学んだものなのかな?

中島:ニュージーランド参戦とかネイションズとか、そういった海外経験を積んで、甘い世界じゃないなっていうのがよりわかったかなと思います。

たま:本当にここ1〜2年が「必要なことを探って実感して、必要な準備を怠らず」っていう時期だったのかな?

中島:そうですね。そんな中で無茶なお願いをしたことも結構あったんですけど、できる限りヤマハが相談に乗ってくれて、自分の挑戦を応援してくれたので、そうした部分がすごく大きかったと感じています。伊藤さんの件とかもそうですし、自分の意思だけじゃどうにもできない問題を叶えてくれたのは本当に感謝しかないです。

たま:それだけ期待されてるっていうことでもあると思います。

その先の展望

画像: その先の展望

たま:と、オーストラリア参戦までの概要を伺ってきましたけども。「中島漱也の野望」としてはこれは第一歩じゃないですか。

中島:そうですね、第一歩ですね。

たま:「その先の視点」はどうなんでしょう?

中島:う〜ん、まずは日本に帰って来ないことですね。やっとスタートラインに立てて、「どれだけ海外に居続けられるか」っていうのが次の課題になってくると思うので。とりあえず「海外に出てレースする」っていうスタートラインに立つまでがすごく難しかったので、やっと叶ったっていう所ですけど、ここからはどれだけ残れるかという話になるので、まず目の前の目標としてはしっかり次に繋げるシーズンを送るっていうのと、オーストラリアで結果がしっかり残せれば、その上のAMAというのも一気に近づいてくると思うし、海外からの認知も増えてくると思っています。最終的にはどれだけ自分をアピールできるかというのと、それを自分の目標であるAMAに向けてどれだけ繋げていくかですね。

たま:山積みだね。

中島:遠いですね。

たま:遠いけど、ずっと「遠いな」って思ってたのに一歩を踏み出せたっていう実感は大きいでしょう?

中島:そうですね。なんかちゃんと道が見えてきたなっていう気持ちはあります。

たま:本当に道の最初の端に立ったなっていう。

中島:はい、スタートラインにやっと立ちました。

オーストラリアでの環境

たま:本当にできる限りのことをしての、これ以上はないという状態でのスタートですので、あとはもうひたすら頑張るしかないと思いますが……住環境とかはどうなの?

中島:住む所も今やっと決まって来た段階です。ブリスベンという場所にオーストラリアヤマハの会社があるんで、そこから10分以内の所にレンタルする予定です。

たま:伊藤メカと2人暮らしになるんですよね?

中島:はい、そうですね。

たま:ごはんとかちゃんと作れるの?(笑)

中島:(笑)今、練習してます。母に教わって。

たま:今はネットで調べたら色々出てくるし、インスタントとかそういうのもあるしね。

中島:でも、やってみたら楽しくて(笑)。趣味が料理になりそうです。今、得意メニューにしているのは拓夢くん(編集部注:横澤拓夢:2025年IA2クラスランキング4位)から受け継いだパスタのレシピなんですけど、トマトチーズパスタのめちゃくちゃ旨いレシピを教えてもらって。

たま:横澤くんは料理上手そうだよね。

中島:東北にいた時に作ってもらったんですけどめちゃくちゃ美味しくって。それで教えてもらったんですけど、でも、今は俺の方が上手く作れますね(笑)

たま:(笑)あまり日本食にこだわるとかはないんですか?

中島:あ、でも白米が大好きなんで、そこは(白米が)なかったら詰みますね。

たま:じゃあ炊飯器持って行ってちゃんとお米炊いて生姜焼きとか……

中島:そうですね、あっちに着いたらまず炊飯器買いに行きます! オーストラリアは今、結構日本人が多いので日本食スーパーみたいなのも充実しているらしいのであんまり苦労しなさそうです。

たま:そうやってご飯を作ったり洗濯をしたりしてお母さんの偉大さを噛み締めるがいいよ(笑)

中島:そうっすね。多分、伊藤さんに大迷惑をかけると思います(笑)

たま;そういえば昨年のニュージーランド合宿の時、じゅんじゅん(編集部注:2025年IA2クラスランキング2位の田中淳也選手)に洗濯物畳んでもらったりしてましたよね(笑)

中島:はい、そうです(笑)

たま:今回は伊藤さんがその役になるのかしら?

中島:それはまずいっすね。伊藤さんにはやってもらえない。

たま:じゅんじゅんならいいけど伊藤さんに洗濯物を畳ませるわけには(笑)

中島:それはできないです!

たま:じゃあ、頑張んなきゃ(笑)

中島:はい、頑張ります(笑)

たま:では、そんな感じでプライベートの話やなんかはSNSでどんどん発信してくださるのかな?

中島:はい、なるべく。

たま:あとは何か伝えておきたいことありますか? 例えばあちらのシーズンが終わったら全日本を走る可能性があるとかは?

中島:それはあるかもしれないですね。

たま:おお!! それについては、じゃあ、ヤマハからの正式な発表を待って…ですね。

中島:出るってなったら盛り上がってくれますかね?

たま:そら、盛り上がるよ! 絶対。クラスは?

中島:出られるならIA1がいいって思ってるんですけど。

たま:そうなったらめっちゃ盛り上がりますね! 楽しみ!…ってまだわかんないんですよね?(笑)

中島:そうですね(笑)

たま:それではこれから出発にむけて準備もトレーニングも大詰めになってくると思いますが、目標にむけてよりいっそう頑張ってください。

中島:はい。

たま:追加でお知らせがあったらいつでも連絡してくださいね(笑)

中島:はい、ありがとうございます!

お話を伺ったのは1月初旬だったんですが、この後、ビザの関係で出発が2月半ばまで延びて「気持ちは逸るけどちょっと宙ぶらりん」な状況。そんな中でもフィジカル面の充実を図るなど準備万端とのことなので、渡豪したらすぐに起動できるんじゃないでしょうか。そして2月12日、待ちに待ったチーム体制の正式発表がありました。

たま:発表になりましたね!

中島:やっと公表できました!

たま:チームメイト(昨年、MX2ランキング3位のノア・ファーガソン選手)に対しての感想を教えていただけますか?

中島:もちろん前から知ってますし、チャンピオンも狙える選手なので近くに目標がいる事はすごくありがたいです。徐々に差を詰めていきたいです!

YAMAHAのリリースによると「中島選手は3月21-22日の開幕戦から、8月1-2日に行われる最終戦までの8大会に参戦。またプログラムの一環として、9月19-20日、オーストラリアのダーウィンで行われるモトクロス世界選手権にも参戦する予定です」とのこと。「世界への道」を着実に歩んでいかれる姿を期待してしまいますね。

中島選手の渡豪によって、全日本モトクロスIA2クラスはチャンピオン不在でのシーズンを迎えます。新しいチャンピオンは誰になるのか、また中島選手に続いて海外にチャレンジする若手ライダーが出てくるのか…など興味は尽きません。海外への第一歩を踏み出した中島選手の活躍とともに、日本でのIA2クラスの動向にも注目していきたいです。

中島漱也選手SNSアカウント
Instagram:@souyanakajima
X:@souya215

写真提供:川井晴稀
Instagram:@121haruki

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