画像: <世界耐久>ル・マン24時間はGMT94が制覇!
~ヤマハYZF-R1が1-2!TSRは5位入賞!~

トリックスター、TSRと日本のチームも参戦!

この週末は、アジア選手権の第2戦と同時に、フランス・ブガッティサーキットで2016-17年世界耐久選手権(World Endurance Championship=WEC)第2戦「ル・マン24時間耐久レース」が行なわれました。すでに何度もお伝えしている通り、WECはヨーロッパのサッカーみたいに「シーズンまたぎ」の選手権になって、いま行われているのは2016-17年シーズン。開幕戦はすでに2016年の9月に「ボルドール24時間耐久」が行なわれていて(レポートはこちら→http://www.autoby.jp/_ct/16996179)このル・マンが第2戦。

これも再三お伝えしているように、最終戦は鈴鹿8時間耐久ロードレースになりますからね。
ちなみに開幕戦のトップ6は
①スズキ・エンデュランス・レーシング・チーム
②SRCカワサキ
③トリックスターレーシング
④MACO レーシングチーム
⑤F.C.C. TSRホンダ
⑥MOTO AIN CRT

2016年WECチャンピオンチームが優勝、ランキング2位のGMT94ヤマハは序盤に2度の転倒を喫して9位フィニッシュ。ヤマハ・オーストリア・レーシング・チーム(=YART)はエンジントラブルでリタイヤしてしまいました。

開幕戦から7か月が経過したWECも、いろいろ環境が変わってきています。
まず日本のレギュラーチームでは、トリックスターレーシグ(=エヴァ初号機Webike TRICK STAR)の井筒仁康が、体調不良でル・マンへの参戦を取りやめ、出口修/エルワン・ニゴンに加え、フランス人ライダーのジュリアン・ミレットを追加招集。さらに開幕戦の時点ではF.C.C.TSRホンダのレギュラーメンバーだった渡辺一馬がチームを移籍したことで、TSRはダミアン・カドリン/グレッグ・ブラック/アルトゥロ・ティゾンのトリオに変更。

さらにこのル・マンからは、レギュラーチームであるYARTに、日本の野左根航汰が加入し、YARTは野左根/ブロック・パークス/マービン・フリッツでチーム編成。TSRに続いてYARTにもブリヂストンタイヤがタイヤを供給します。

ほかにも、WSSPレギュラーである大久保光も、フランスの名門チーム「ナショナルモト」に参加し、これで出口、野左根、大久保という日本人3人がル・マン24時間耐久に参戦することになります。ちなみにル・マンはこれが第40回大会。ボルドール24時間は80回を数え、2017年大会では鈴鹿8耐も40回目。なにかと耐久の記念イヤーです。

画像: トリックスター、TSRと日本のチームも参戦!
画像: カワサキMotoGP→LCRホンダ→プラマックDUCATI→CRTマシンアプリリアからスズキGSX-RRのテストを経て、今やカワサキ耐久チームのレギュラーのランディ

カワサキMotoGP→LCRホンダ→プラマックDUCATI→CRTマシンアプリリアからスズキGSX-RRのテストを経て、今やカワサキ耐久チームのレギュラーのランディ 

公式予選はSRCカワサキがポールポジション。ここは、元GPライダーであるランディ・ドュ・ピュニエが所属するチームで、ル・マンとボルドール24時間耐久にはとにかく強い! ドュ・ピュニエはフランス人、GPから来たスターってことで地元フランスでスゴい人気で、予選もニューレコードを記録! 2番手にYART、3番手にGMT94とヤマハYZF-R1勢が続き、SERTが6番手、FCCが7番手、ホンダエンデュランスが8番手。トリックスターは13番手ですが、24時間耐久で予選順位ってどれだけ重要なんだとw 僕も2005年にル・マンに行きましたが、最初の1時間どころか、30分で予選はほとんど関係ない順位になりますね。もちろん、前の方にいるに越したことはないんですが、ル・マン式スタートでのポールポジションと予選10番手、そう大きくは変わらないと思います。

決勝日朝のウォームアップも、SRCカワサキ→GMT94→YART→SERTの順。ホンダエンデュランスが8番手、TSRが9番手、トリックスターが10番手。このあたりが、押しも押されもせぬトップチームですね。

朝のうちに霧雨が降ったというブガッティサーキットは、15時のスタート時刻の頃には薄曇り、気温10~15度くらいのコンディションでのスタートとなりました。

画像: 決勝では予選より速いタイムで走り続け、43歳と知られるや、チームメイトからKINGの称号を得たという出口 もうトリックスターには欠かせない存在です

決勝では予選より速いタイムで走り続け、43歳と知られるや、チームメイトからKINGの称号を得たという出口 もうトリックスターには欠かせない存在です

レース序盤からYARTとGMT94がレースを支配

レース序盤は、ポールシッターのSRCカワサキとYARTが飛び出しました。ホールショットはYART、SERT、TSRが好スタート、SRCカワサキはややスタートに出遅れますが、すぐに2番手に浮上。YARTが2番手以下を引き離し始めますが、ここでセーフティカーが介入し、ポジション取りはリセット。解除後には予選4番手からスタートしたTECMAS BMW、そしてSRCカワサキがトップに浮上。現地レポートでは「まるでMotoGPのようなハイペース」と形容されるほどで、ドュ・ピュニエはこの時間帯で4年ぶりにレコードを破るファステストラップ、1分36秒408をマークしています。そして1回目のピットストップが終わるころにYARTがトップに浮上。このあたりから、YARTがレースをコントロールしていくんですね。

3時間経過の頃に、トリックスターが転倒! ニゴンの走行中に、急なライン変更をした周回遅れマシンに前をふさがれたようで、マシンはピットに戻したものの、ここでニゴンが鎖骨を骨折! うーむ、暗雲。2番手を走行していたSRCカワサキも転倒し、これでレースはYARTが独走を始め、2番手にGMT94、3番手にSERT。TSRはずっと、5~6番手を走行しています。

8時間を経過した頃、24時間耐久では順位に応じてボーナスポイントが付与されます。8時間経過と言えば、鈴鹿8耐が1レース終わる頃ですよ、なのに24時間耐久ではまだまだレースタイムの1/3! YART→GMT94とファクトリーサポートのヤマハがレースをリードし、やや離れてSRCカワサキが3番手まで浮上。4番手にSSTクラスのヤマハ・ビルテイル・エクスペリエンス、5番手にTSR、6番手に、この時間帯に2度のオーバーランを喫したSERT。この頃、コースにオイルが出て2度目のセーフティカーが介入しました。

この頃にはもうサーキットは夜の時間帯。24時間耐久となると、この時間帯に大きな順位変動はなく、また視界が良くなってくる頃まで淡々と進んでいくことが多いですね。レースペースはキープ、順位を落とさないように走り、マシンをいたわる走行、といった感じになります。この時間帯、怖いのはマシントラブルと路面のオイルや汚れが見えないことによる転倒です。フランスの空が白み始めるのは朝7時過ぎ。24時間耐久のヤマ場です。

面白いことに、観客席もこの時間帯はがらーんとしちゃうんですよね。サーキット敷地内に張ったテント、駐車場の車で仮眠を取ったり、地元のファンは1回ウチ帰る、なんてこともあるみたい。僕が行った時には、サーキット敷地に移動遊園地があって、暗くなってからはそっちの方がにぎわってました(笑)。きっと今年もあったんだろうな、移動遊園地。
メディアセンターも半分くらいが仮眠スペースになって、床にゴロゴロ、デカい外人が寝ていたりします。ここ、交代制の取材チームはいいけどね、責任感持ってずっと起きてる、なんてメディアスタッフは、あとあと苦しむことになるんです(笑)。

画像: 夜のブガッティサーキット 後ろの光はピットビル? 移動遊園地?

夜のブガッティサーキット 後ろの光はピットビル? 移動遊園地?

画像: YARTのパークス 2000年ごろ、モリワキVTR1000で全日本ロードレースを走っていましたね

YARTのパークス 2000年ごろ、モリワキVTR1000で全日本ロードレースを走っていましたね

画像: 派手な活躍こそなかったものの、終わってみれば4位のSERT マシンはまだR1000L6 新型投入はまだ先、ですね 耐久チャンピオンにとっては最新型のパフォーマンスより慣れ親しんだモデルの信頼性のほうが大切!

派手な活躍こそなかったものの、終わってみれば4位のSERT マシンはまだR1000L6 新型投入はまだ先、ですね 耐久チャンピオンにとっては最新型のパフォーマンスより慣れ親しんだモデルの信頼性のほうが大切!

レースでは、朝5時ごろ、15時間経過頃にSRCカワサキが緊急ピットイン。電気系のトラブルを修復する間、TSRが3番手に浮上します。トップは変わらずYART、同一周回でGMT94が食らいつき、3番手にTSR、4番手にSERT。たとえば朝7時に夜が明けるとすると、ゴールまであと鈴鹿8耐の1回分です。やっぱ24時間耐久ってスゲー。

日曜の午前、19時間経過の頃には、もうひとつレースレコードが破られます。今年は雨に降られていないこともあって、19時間経過の周回数が679周となったことで、2010年に記録された668周をオーバー! さらに、この時点でトップのYARTとGMT94の間隔は7秒で、2005年に記録されたトップと2位の僅差記録、20秒459を破りそうだ、とオフィシャルニュースが出されました。ち、ちょっと気が早いけどね(笑)。

そして、レースのハイライトが残り4時間ごろ。トップの周回数が720周を数える頃、2番手を走っていたGMT94のマイク・ディ・メリオが、トップを走っていたYARTの野左根をとらえ、ついにトップが交代します。しかし、ディ・メリオが野左根を追いかけている時、ちょうど前方にいたトリックスターのマシンに追突し、なんとこの時のライダーは出口だったんですね、出口はハネ飛ばされて転倒! ディ・メリオは「やっちゃった」って感じで、ごーめん、とヒョイと左手を上げて走行を続けますが、これ、まさか転ばせたなんて思っていなかったんでしょう。このシーンは危険走行として審議の対象になりますが、結局ペナルティはなし。うーむ、故意じゃなかったとしても、ライドスルーとかレースタイムに1分加算なんてペナがあっても良さそうでしたけどなぁ……。

トリックスターは10番手を走っていたのに、マシン修復で12番手までポジションをダウンしました! ニゴンも鎖骨骨折を押して走っているのに、出口まで転ばされて……。出口に大きなけががなかったのが幸いでした。てゆーか、マシン修復でポジションふたつしか落とさないって!

画像: 野左根vsディ・メリオ この攻防でトップが入れ替わりました

野左根vsディ・メリオ この攻防でトップが入れ替わりました

レースはいよいよ終盤――と言っても残り3~4時間あるんですけどね。鈴鹿8耐ならあと半分の、ヤマ場の時間帯です。トップに浮上したGMT94を追うYARTですが、残念ながらペースが上がらず、その差は開くばかり。夜間走行中、ずっと40~50秒後方につけていたGMT94が、残り3時間ごろには40~50秒差でトップを走っています。

結局、レースはこのままフィニッシュ。勝ったのは860周を走り切ったGMT94ヤマハ、2位にYARTが入ってヤマハYZF-R1が1-2フィニッシュ! ヤマハがル・マンに勝ったのは、09年のYART、05年のGMT94以来で、トップと2位の差は記録更新で19秒819! 24時間で20秒も差がないの? ス、スゴいレベルのレースだったのがわかりますね。

3位に12周差で、転倒&電気系トラブル修復のロスタイムがあったSRCカワサキが入り、その45秒差に開幕戦ボルドールを制したSERT、5位にTSRが入りました。ボルドールで3位入賞を果たしたトリックスターは12位フィニッシュ。2度の転倒にめげず、シリーズランキングにも重要な、走り切ったことに意義がありますね。

画像: ピットアウトするGMT94 ボルドールでは、転倒→マシントラブルと散々だっただけに、この半年で大きく戦闘力を上げてきました!

ピットアウトするGMT94 ボルドールでは、転倒→マシントラブルと散々だっただけに、この半年で大きく戦闘力を上げてきました!

画像: GMT94のダビデ・チェカ ご存じカルロス・チェカの弟さん

GMT94のダビデ・チェカ ご存じカルロス・チェカの弟さん

画像: MotoGP→moto2→WSBKと主戦場を変えてきたニッコロ・カネパ

MotoGP→moto2→WSBKと主戦場を変えてきたニッコロ・カネパ

画像: 左からカネパ、チェカ、ディ・メリオ ディ・メリオは08年GP125チャンピオン、そうそうたるメンバーですね

左からカネパ、チェカ、ディ・メリオ ディ・メリオは08年GP125チャンピオン、そうそうたるメンバーですね

最終結果は以下の通り。
■2016-17 EWC 第2戦 ル・マン24時間耐久レース
①GMT94ヤマハ   860周
②YART       860周
③SRCカワサキ    848周
④SERT       848周
⑤TSRホンダ     843周
⑥Tatiビジャーレスレーシングカワサキ  837周
⑫トリックスター   821周

これでシリーズランキングは
①SERT ②SRCカワサキ ③GMT94 ④TSR ⑤YART ⑥MACO Raingヤマハ ⑦トリックスターというオーダー。次戦はEWC第3戦ドイツ・オシャースレーベン8時間耐久は5月20日に決勝! 第4戦スロバキア8時間耐久を6月24日にはさんで、最終戦・鈴鹿8時間耐久がいつもの7月末・7/30に行なわれます!
各チーム、コメントなど入ってきましたら、RacingAUTOBYのフェイスブックででもお伝えしていきます!

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