【オートバイ2016年7月号より抜粋】

気がつけば、岡田忠之さんと伊藤真一さんの交代制コラムみたいになってきたレギュラー企画「ロングラン研究所」。今回のターゲットはCBR400R。「排気量は大きければ、大きいほど良い」と過去には発言していた伊藤さんが、果たしてどんな評価を下すのか…ご覧ください!

画像: <試乗インプレ>HONDA CBR400R (2016年・伊藤真一)

あえて選びたくなる走りの実力を備えた400㏄ロードスポーツ

CBR400Rは、前モデルが出た時には乗る機会がなくて、今回が初めての試乗だったんです。あえて前情報も仕入れず乗ったんですが、コレ、いいですね。「400㏄で充分だよね」と思わせてくれるというか。普通二輪免許だから400を選ぶんじゃなくて、乗れる排気量に制限はなくても、この400を選びたいって気持ちになります。

以前このページに出た時に、自分の好みを「排気量があればあるほどいいタイプ」だと言いましたが、CBR400Rには物足りなさを感じなかった。理由は、おそらくエンジンがツインだからじゃないかな。4気筒の400って、エンジンが常に回っている感じがして、ちょっと疲れるじゃないですか。低速だとギクシャクしてしまうことも多い。でも、このツインエンジンは大らかなトルク特性だし、4発に比べてフリクション感も少なくて、走っていて疲れない。昔の400は、大型バイクと比べると物足りなく感じるモデルが多かったけど、今の400は、街乗りや一般道の峠がメインなら、こっちの方がいいかもって感じる完成度なんですね。

イージーに乗れるところも魅力です。アクセルワークに神経質になる必要がないし、いま何速で走ってるだとか、回転数を合わせてだとか、そういうことをあまり気にしないでも、快適に走ることができる。細かいことはあまり考えず、「ここの景色がキレイだな〜」とか楽しみながら乗れるバイクです。その割にはトルクも出てるし、走らせれば充分に速い。乗り味も、鉄フレームのせいなのか、アルミフレームの硬質な振動とはちょっと違っていいですね。鉄とアルミだと、吸収する衝撃の周波数が違うので当然ですけど。

画像: あえて選びたくなる走りの実力を備えた400㏄ロードスポーツ

褒めてばかりだとウソ臭く思われそうなので…

なんと言うか、突出して優れている部分があるというよりも、全体のバランスがとても優れているバイクです。その意味では非常に「ちょうどいい」。今回の試乗では、高速道路はあまり使わずに、街中だったり、タイトめのワインディングをメインに走りましたけど、そういうツーリングにはまさにピッタリじゃないでしょうか。46PSと馬力も充分だし、試してないけど、たぶんサーキットだったら180㎞/h近くまで普通に出るはず。燃費もいいし、あまり高速を使わないなら、一番ラクなバイクですよ。

褒めてばかりで、ウソ臭く思われても困るので(笑)、強いて気になるところを挙げれば、サスペンションの動きにもう少し節度が欲しいな、とか、ミッションのタッチがもう一歩良くなればいいのに、という若干の要望はあります。あくまで、僕個人の意見ですけどね。ただ、69万円台〜という価格設定で、これだけのクオリティが実現できたのは凄いことだと思う。前傾すぎず、ネイキッドに近い感覚で乗れるボジションも快適ですし、ABS付きモデルもちゃんと用意されています。僕は特にフロントカウルの形状が気に入りましたが、デザイン的にも、乗り手の所有感を満足させる見た目に仕上がっていると思います。

これだけ軽くて、ちゃんと走らせれば速いバイクとなれば、正直、峠でのツーリングなら誰にも負ける気がしませんね。なんだか、このページに出るたびに勝ち負けの話をしてますけど、実際には絶対に勝負しちゃダメですよ(笑)。でも、1000㏄のバイクを持て余すくらいなら、絶対にCBR400Rの方が速いはずですよ。たとえば僕の地元の蔵王に行って、山の一番下からよーいドンで競ったら、このバイクが一番速いと断言できる。それくらい、軽さだったり、扱いやすさというのは、一般の峠道を走る上ではアドバンテージになるんですよ。…念のために言っときます。あくまで例えですからね。

画像: 褒めてばかりだとウソ臭く思われそうなので…

でも普通のライダーで、現在のリッターバイクを峠で扱いきれる人は、まずいません。狭いワインディングともなれば、ちょっと足りないくらいがちょうどいい。走るステージにもよるけど、高速道路がメインのツーリング以外は、大型バイクよりもCBR400Rの方が絶対にラクだし、安全に、かつスムーズに走れると思いますよ。

景色を眺めながらトコトコ楽しみたくなる

海外向けモデルは500㏄だそうなので、そちらも試乗してみたくなりましたけど、400でも500でも、ちょうどいい乗りやすさは変わらない気がします。さすがに、高速を使ってガンガン飛ばすようなロングツーリングはちょっと厳しいけど、それ以外で不足を感じる場面はないと思いますよ。一般道だと、1000㏄以上の方がむしろ使いづらかったりする。だって1速から3速くらいしか使わないんですもんね。普段、高速ツーリングや長距離が多いという人でも、たまにはひとりで、自分のペースでゆっくり下道を走ったりしたくなる時ってあるじゃないですか。そういう時に、CBR400Rは本当に最高のバイクだと思う。軽く高速を流すくらいなら充分なパワーがあるし、一般道を走る時は、ずっと6速に入れたままでもトコトコ走れちゃう(笑)。その意味では、買い物バイクにしても違和感ないでしょうし、タフに使えそうだから、毎日乗るような用途にもいいんじゃないかな?

FTRとかCRF250Lとか、街中で構えずに乗れる250㏄と同じ感覚で乗れて、それでいて、400という排気量以上の速さもある。足着きの良さや軽さも含めて、本当に乗りやすいから、奥さんだとか、彼女に乗せるにもちょうどいいバイクだと思います。それで、たまに自分も借りて、ってできたら最高ですね(笑)。

画像: エンジンも含めて全体として良く出来ているバイクだと評する伊藤さん。「構えないで乗れるし、速い。400というより、600っぽさがあるツインエンジンだと思います」

エンジンも含めて全体として良く出来ているバイクだと評する伊藤さん。「構えないで乗れるし、速い。400というより、600っぽさがあるツインエンジンだと思います」

画像: テール周りやチェーンカバーなどにカーボン調のグラフィックを採用。「各部の処理も丁寧で、『ここがちょっとかっこ悪い』と思うようなアラがないのがいいですね」

テール周りやチェーンカバーなどにカーボン調のグラフィックを採用。「各部の処理も丁寧で、『ここがちょっとかっこ悪い』と思うようなアラがないのがいいですね」

画像: 車輌全体の中でも特に「フロントカウルのデザインがかっこいいですね」と顔周りのフォルムを高評価。LEDデュアルヘッドライトの夜間視認性を試したかった、とも。

車輌全体の中でも特に「フロントカウルのデザインがかっこいいですね」と顔周りのフォルムを高評価。LEDデュアルヘッドライトの夜間視認性を試したかった、とも。

■RIDING POSITION
シャープな見た目とは裏腹に、快適性を重視した乗車姿勢!

画像1: ■RIDING  POSITION シャープな見た目とは裏腹に、快適性を重視した乗車姿勢!
画像2: ■RIDING  POSITION シャープな見た目とは裏腹に、快適性を重視した乗車姿勢!

僕はある程度身長がデカい(179cm)ので、窮屈に感じるかなとも思ったんですが、ちょうどいいポジションでしたね。おそらく、400㏄にしてはちょっと大きく感じるサイズ感にして、所有感を満たすというか、大型バイクと比較しても見劣りしないようにしているんじゃないかな。ステップ位置も高すぎす低すぎず、ハンドル位置も結構後ろに引いてあるように感じたので、僕より背が低い人でも乗りやすいはず。スボーツモデルですが、見た目の印象よりも前傾が緩やかな自然なポジションで、長時間乗っても疲れにくいと思いますよ。

HONDA CBR400R 主要諸元

画像: HONDA CBR400R 主要諸元

全長×全幅×全高 2080×750×1145㎜
ホイールベース 1410㎜
シート高 785㎜
エンジン形式 水冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
総排気量 399㏄
ボア×ストローク 67.0×56.6㎜
圧縮比 11.0
最高出力 46PS/9500rpm
最大トルク 3.8kg-m/7500rpm
燃料タンク容量 16ℓ
変速機形式 6段リターン
キャスター角 25゜30′
トレール量 102㎜
タイヤサイズ(前・後) 120/70ZR17・160/60ZR17
ブレーキ形式(前・後) φ320㎜ディスク・φ240㎜ディスク
価格 69万9840円〜

■テスター
伊藤真一(いとうしんいち)
'66年宮城県生まれ。'88年ノービスから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。以降WGP500クラスの参戦や全日本選手権で長年活躍。現在はメーカーの契約ライダーとして市販車、レーサーを問わずマシン開発に携わるほか、レーシングライダーの若手育成にも取り組んでいる。

撮影:松川忍  まとめ:齋藤ハルコ
取材協力/ホンダモーターサイクルジャパン

オートバイ 2016年7月号 [雑誌]

モーターマガジン社 (2016-06-01)
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