この1年は、生活の半分近くをバイクの練習に注ぎ込んできました

愛車のMT-07を颯爽と操り、須藤元気さんは取材現場に現れた。撮影時にカメラマンの指示で、何度もタイトなUターンを繰り返す姿はスムーズそのもの。しかしその滑らかなライディングは、昨年からの猛練習で身に付けたものだというから驚きである。 

そう、『モトジムカーナ』という新たなイベントを自らプロデュースするほど、現在バイクに熱中している須藤さんは、ライダーに復帰してまだ1年程なのだ。

「バイク自体は、高校生の時にも乗っていたんです。プロ格闘家になってもしばらく乗っていたんですが、万が一の事があるといけないと降りてしまって。でも昨年、TISSOT(MotoGPのオフィシャルタイムキーパーでも知られる時計ブランド)のアンバサダーをやらせて頂いて、日本グランプリのポールポジションアワードで、プレゼンターとしてロッシ選手に記念品の時計を渡したんですね。じつは最初は僕、ロッシ選手の事を知らなかったんですよ(笑)。でも外国のプレスの人達とか、周りのみんなに『(ロッシに渡せて)ラッキーだね』と言われて、スゴい人なんだと。実際に会うとすごく細くて、気さくなお兄さんだったんですけど、走りを見たら全然印象が違って、まさにレジェンドでした。そこから映像を観たり、ロッシ選手の事を調べたりするうちに、バイクって楽しそうだなと思い始めたんです」

MotoGPの生きる伝説との出会いをキッカケに、再びバイクに興味を持った須藤さん。自分もロードレースに挑戦してみようと決意してからの行動は早かった。すぐにCBR250Rを購入すると、桶川スポーツランドや筑波サーキットなど、近隣のサーキットに週の半分以上通い詰めたのだ。
「真剣に挑戦しようと思ったので、ほぼ週4くらいのペースで通ってましたね。練習量とタイムは絶対に比例する。どんなジャンルでも、やった分だけ上手くなるので、どれだけ自分自身のリソースを練習につぎ込めるかは学びの基本です。日本では、プロのロードレーサーでもサーキットを走るのは週に1〜2回だと聞いたので、僕は時間を自由に使える立場だし、週4ペースで練習していけば、ある程度は追いつけるんじゃないかと考えたんです。もともと勝負の世界で仕事していたので、出るからには勝ちたかったんですよ。やるならプロライダーになりたかったし、せめて全日本で活躍するくらいまでやりたいと思ってました」

減量に取り組み、生活の半分をバイクに費やすほどストイックに取り組んだ結果、須藤さんはサーキット走行を初めてわずか1カ月後には、CBRドリームカップの上級枠に迫るタイムを出すようになった。しかしアグレッシブに取り組むあまり、練習中にハイサイドを起こして肩を負傷。しかもそれは、須藤さんがプロデューサーを務めるダンスパフォーマンスユニット『WORLD ORDER』の年末ライブの直前だった。

「結局、ライブは腕を吊った状態でやりました(笑)。完全に鎖骨が外れちゃったんですが、痛みが少し取れたら懲りずに乗り始めて。でも、また転んで頭を打ったりしたので、『リスクが大き過ぎる』と、事務所からNGが出てしまったんですね。もちろん僕がもっとちゃんと順序を踏んで、丁寧に乗っていけば良かったんですが、始めたのが遅かったですし、時間がないからと焦りすぎてしまって…。ただバイクは乗り続けたかったので、いろいろ調べているうちに、ジムカーナの存在を知ったんです。テクニカルな競技だし、ロードレースよりケガも少ないと聞いて、まずホンダモーターサイクリストスクール(HMS)に基本の走り方を学びに行ってみたら、またハマってしまいました(笑)」

自身の性格を「ハマるとそればかりに集中してしまう」と認める須藤さんだけに、ジムカーナへの熱中ぶりも、ロードレースの時に負けず劣らずのものだった。ジムカーナ用マシンにMTー07を勧められたため、まずは大型二輪免許を取得。車輌購入後はすぐにジムカーナパンパーを装着して、HMSに通い始めた。

「ジムカーナも上達するには練習が不可欠ですが、都内住みの僕には練習場所がなかなかないことが悩みです。ついこの間まで、HMSには本当に毎週とか、ヘタしたら週2ペースで通ってました。すぐに予約が埋まっちゃうので、予約開始日の午前0時はパソコン前で待機でしたよ(笑)。四輪と比べて二輪は、本当にちょっとしたブレーキングとか、体重移動で走りが全然変わる。リア荷重によってどう変わるのかとか、上半身には力を入れないとか、1つひとつ習っていくたびに、本当にジムカーナって奥深いなと実感しました」

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バイクの楽しさをもっと広めるためには、今まで興味をもたなかった層へのアピールが重要

急速にジムカーナの面白さにのめり込むうちに、須藤さんはジムカーナの魅力、ひいてはオートバイの魅力をもっと多くの人に知って欲しいと考えるようになった。

「この間もHMSの合宿に参加したんですが、おそらく39歳の僕が、参加者の中で最年少だったんですね。現在のライダーのメイン層で見ると、僕がまだ若手なんです。いろんな理由があると思うけど、今はなかなか若者がバイクに乗る環境がないように見えます。僕はやっぱりバイクに乗ることがすごく好きなので、好きな業界には盛り上がって欲しいじゃないですか。じゃあバイク人口を増やすにはどうしたらいいのか。それはやっぱり若者を増やすことが、これからのバイクを盛り上げるキーだと思ったんです。そこで、ナップスの望月(真裕)社長とお仕事でご一緒した時に、『自分で新しいジムカーナの大会を作りたいんです』と打ち明けたんですね」

モータースポーツにもさまざまな種類があるが、例えばロードレースを始めるには、まずレーシングスーツなど専用装具を揃えなくてはならない。公道走行不可のレーシングマシンの移動にはトランポが必要だし、チューニングや維持にもかなり費用がかかる。その点、ジムカーナはプロテクター類があればとりあえず始めることはできるし、会場まで自走も可能。周囲に迷惑をかけない配慮は必要だが、練習場所に制限もない。

「そういうジムカーナならではの敷居の低さは、新しく一般層を取り込むには強みです。ただ誤解を恐れずに言えば、これまでのジムカーナ競技には、マニアックさとか、閉鎖的なイメージがあると思うんですね。やはり新しい層に興味を持ってもらうには、誰が見てもわかりやすくて、入口を広くすることが重要だと感じたんです」

画像: バイクの楽しさをもっと広めるためには、今まで興味をもたなかった層へのアピールが重要

ジムカーナの素人もベテランも同じように輝けるイベントを

これまでにないジムカーナイベントを作りたい。そんな須藤さんの意気込みにナップスが賛同し、『モトジムカーナ』の開催は決定した。細かいルールは現在詰めている段階だが、何より重要視するのは「わかりやすさ」だ。

「ジムカーナに限らず、今のバイクイベントに必要なのは、わかりやすさだと思うんです。これまでのジムカーナは、初めて見る人にはコースが難しすぎると思うんですね。なので誰が見てもわかるコースにしたいし、理想は車輌もノーマルの範囲で、“よーいドン”でスタートする形にしたい。その方が勝敗もわかりやすく、選手同士の心理的駆け引きが出て、面白くなるはずです。もちろん、見た目的なカッコ良さも重要です。例えばゼッケンを着る競技は、どうしてもアマチュアっぽくなるんですよ。普段は僕もゼッケンをしてジムカーナをしてますが(笑)、モトジムカーナではゼッケンをなくし、よりプロフェッショナルな世界観にしようと考えています」

従来のジムカーナレースの主催者や、選手たちには充分な敬意を払ったうえで、あえて今までのレース形態とはまったく違うルールを採用したいと須藤さんは語る。

「正直、ジムカーナをやってきた人には『こんなのジムカーナじゃない』と言われるかもしれない。それはわかったうえで、全くの素人も、これまでジムカーナをやってきた人達も、同時に輝けるステージを作りたいんです。それはバイク業界の人間ではない、アウトサイダーな立場の僕だから挑戦できること。格闘技で言えば『Kー1』は、創設者の石井和義館長が、誰が見てもわかりやすい格闘技をコンセプトに作ったものです。だから従来と異なる3分3ラウンド制にして、ハッキリ決着が付くルールを定めた。当時は結構なブーイングがありましたが、その明快さが一般層にもウケて、Kー1ブームが起こりました。それと同じように、僕はこの大会からジムカーナブームを起こしたい。そして最終的には、MotoGPのように世界規模の大会に成長できたら嬉しいですね。その可能性は、絶対にあると思うんですよ」

目標は世界。プロ格闘家として世界の名選手達と渡り合い、引退後も自ら立ち上げた『WORLD ORDER』を世界的ユニットに成長させるなど、規格外の夢をいくつも実現してきた須藤さんだけに、その言葉には重みがある。

「バイクって、すごいポテンシャルを持つ乗り物。もっと大勢の人に乗ってもらいたいし、その楽しさが知られていないのはすごくもったいないと思います。僕がこの大会を成功させることで、今後のバイク業界の盛り上がりに、一役買えればいいなと願っています」

GENKI's BATTLE MACHINE

ジムカーナ車輌としての評価も高いMT-07。2015年には、“キングオブジムカーナ”の異名を持つ作田隆義さんが、MT-07で全国大会の『ジムカーナジャパン』で優勝を果たしている。「僕は典型的な乗るのが好きなタイプで、車輌自体にはあまり詳しくない」と語る須藤さんが、MT-07を購入した決め手は周囲の勧めだった。

「ジムカーナに向いてるマシンだとも聞きましたし、バイクとしてもすごく良く出来ていると勧められたんです。ジムカーナ車輌としてだけでなく、ツーリングにも行きたかったので、07のために大型免許を取りました。僕自身はバイクの事を全くわかっていないのですが、07に乗ってると言うと『ツウだね、バイクを知ってるね』と言われることが多いんですよ(笑)」

画像: GENKI's BATTLE MACHINE
画像: 限界まで走りとタイムを追求するジムカーナでは、転倒がつきもの。その際の車輌ダメージを最小限に抑えるバンパー(エンジンガード)はジムカーナの必需品だけに、須藤さんも車輌購入後すぐに装着したそうだ。

限界まで走りとタイムを追求するジムカーナでは、転倒がつきもの。その際の車輌ダメージを最小限に抑えるバンパー(エンジンガード)はジムカーナの必需品だけに、須藤さんも車輌購入後すぐに装着したそうだ。

画像: ジムカーナではウインカー類も破損しやすいパーツのひとつ。フェンダーレスキットによりウインカーとナンバーを車体側に近づけることで、スッキリとさせたテール周りが、スポーティな印象を高めている。

ジムカーナではウインカー類も破損しやすいパーツのひとつ。フェンダーレスキットによりウインカーとナンバーを車体側に近づけることで、スッキリとさせたテール周りが、スポーティな印象を高めている。

ナップスが提案する新しいエンターテインメントイベント!

画像1: ナップスが提案する新しいエンターテインメントイベント!

須藤元気プロデュース モトジムカーナ

須藤元気さんとナップスが組んで新たなジムカーナイベントを開催。「日本で独自に発展した競技ジムカーナは、運転能力・危機回避能力の向上、ひいては事故防止にもつながります。『モトジムカーナ』ではジムカーナの魅力を分かりやすく、カッコよく表現します!」とのことで、これまでにないバイクエンターテインメントイベントとなりそう。開催は来年の春! 愛車に乗ってジムカーナを体感しにいこう‼

〜MOTO GYMKHAN〜
日時: 2018年4月8日(日)
会場:神奈川県大磯ロングビーチ
主催:ナップス 協力:二輪ジムカーナ主催者団体協議会(JAGE)
コンテンツ内容(予定)
・ジムカーナ競技会
・試走会
・出展ブース
・トークショー etc.

画像2: ナップスが提案する新しいエンターテインメントイベント!

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