HMSI(ホンダ モーターサイクル アンド スクーター インディア)は、巨大市場であるインドに電動スクーターを2024年3月までに投入する計画を明らかにしました。まず第一弾は人気のICE(内燃機関)スクーター「アクティバ」の電動版となり、続いての第二弾ではバッテリー交換式のモデルをリリースする・・・という構想になっているそうです。すでに先にこの分野の開拓をインドでスタートしているGogoro+ヒーロー・モトコープ勢と、熾烈な覇権争いが繰り広げられることになるのでしょうか?
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2023年1月26日に公開されたものを一部編集し転載しています。

まずは手堅く、ICEモデルの人気作を電動化・・・?

インド自動車工業会(SIAM)が昨年発表した統計によると、2021年度(2021年4月~2022年3月)のインド2輪車国内販売台数は1,346万6,412台でした。そんな巨大市場のスクーターセグメントにおいて、本田技研工業の100%子会社であるHMSIは56%シェアを有するトップメーカーです。

HTオートデスクおよびビジネス トゥディ ベータの1月24日の報道によると、HMSIの最新モデル「アクティバ 6G H-スマート」発表の場で、HMSIのマネージングディレクターで社長兼CEOの尾形淳史氏は2024年3月までに最初の電動モデルを発売する予定であることを明かしました。

画像: 2023年モデルの新型アクティバ。アンサーバック、スマートロック、スマートスタート、スマートセーフ(イモビライザー)機能を備えるスマートキーシステムを採用しています。搭載するエンジンは4ストローク109.51ccの単気筒です。 www.honda2wheelersindia.com

2023年モデルの新型アクティバ。アンサーバック、スマートロック、スマートスタート、スマートセーフ(イモビライザー)機能を備えるスマートキーシステムを採用しています。搭載するエンジンは4ストローク109.51ccの単気筒です。

www.honda2wheelersindia.com

2024年3月リリース予定の電動スクーター第一弾は、コストを抑えるためにモーターとバッテリーは現地で調達。そしてコンビブレーキシステムなど車体関係のパーツは、ICE版アクティバとその多くを共用することになる予定とのことです。この方針を採用することで、ICE版も電動版も同じ工場で生産することが可能になるわけです。

第二弾が登場するころには、SBMCの規格も決まっている・・・ハズ?

また尾形氏によると、電動版アクティバを発売した後、第二弾として登場する電動スクーターは交換式バッテリーを採用する予定のようです。気になる充電インフラですが、HMSIのインド全土の約6,000店舗を利用して交換ステーションを設置する予定とのこと。ちなみに第一弾と第二弾の間は、それほどの時間はかからないとのことですので、早ければ2024年夏〜秋にはリリースされているのかもしれません?

画像: 今年、ホンダ初の欧州向け電動モデルとしてリリース予定の「EM1 e:」は交換式バッテリー=ホンダ モバイル パワー パック e:を1個搭載。最高速度は45km/hで、1回の充電での航続距離(WMTCモード)は40km以上です。駆動方式は、後輪ハブモーターになっています。インド市場向け電動スクーター第二弾は、このEM1 e:のようなモデルになるのでしょうか? www.autoby.jp

今年、ホンダ初の欧州向け電動モデルとしてリリース予定の「EM1 e:」は交換式バッテリー=ホンダ モバイル パワー パック e:を1個搭載。最高速度は45km/hで、1回の充電での航続距離(WMTCモード)は40km以上です。駆動方式は、後輪ハブモーターになっています。インド市場向け電動スクーター第二弾は、このEM1 e:のようなモデルになるのでしょうか?

www.autoby.jp

巨大市場のインドでは、すでに台湾のGogoroが2021年春に交換式バッテリープラットフォーム展開について、インド大手のヒーロー・モトコープと提携したことを公表しています。そして今年1月17日に、Gogoroはインドの自動車部品メーカーであるベルライズ・インダストリーズと50:50のパートナーシップを結び、インド・マハラシュトラ州のバッテリー交換網整備を行うことを明らかにしています。

インド最大の商業・産業の中心地のひとつである同州は、約1億2000万人の人口を擁します。GogoroのCEOであるホラス・ルークは、同州のスケールは現在の台湾のステーション網の4倍のポテンシャルがあり、台湾の約12,200箇所のステーション数から推察して、マハラシュトラ州では約5万箇所を設置できるだろうと見込んでいます。

画像: Gogoroとベルライズは、マハラシュトラ州政府との契約によって8年間で約25億米ドルを投資し、州全体にエネルギーインフラを構築する計画を立てています。この協定は、スイス・ダボスの世界経済フォーラムの「マハラシュトラパビリオン」で署名されました。 www.gogoro.com

Gogoroとベルライズは、マハラシュトラ州政府との契約によって8年間で約25億米ドルを投資し、州全体にエネルギーインフラを構築する計画を立てています。この協定は、スイス・ダボスの世界経済フォーラムの「マハラシュトラパビリオン」で署名されました。

www.gogoro.com

規模的にはインド全土の6,000店舗を利用したHMSIの交換ステーション網は、Gogoro勢のマハシュトラ州の計画の前にはとっても小さく思えてしまうのですが・・・。ともあれ何事も現時点ではまだはじまっていることではないので、この先のことはどうなるのかはわかりません。

HMSIは当然? 欧州コンソーシアムこと、SBMC=スワッパブル・バッテリー・モーターサイクル・コンソーシアムでの採用も期待される「ホンダ モバイル パワー パック e:」を使ってインド市場向け電動スクーター第二弾を開発すると思いますが・・・。

ひとつ確かなのは1〜2年の間に、インドを舞台にして熾烈な両陣営の「交換式バッテリー大戦」の勃発は避けられないであろうことです。巨大市場を舞台とした今後の両陣営の動向に、注目したいですね。

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

This article is a sponsored article by
''.