シーズン最高の激闘続々!

2022年の全日本ロードレースが終了しました。第54回MFJグランプリは、木曜の事前走行からずっと晴天に恵まれ、日曜の全レース終了までずっと晴れ! こんなレースもなかなか珍しいです。
すでに前振りのアップでお知らせしたように、JSB1000とJP250クラスを除く全3クラスのチャンピオンが決まる、この一戦。これも前振りでお伝えしたように、この時期のレースっていうのは、気温が抑えめで路面温度が上がらず、マシンにとってはいちばん気象条件が良く、タイムが出やすいレース。さらにこれが最終戦というわけでもないでしょうが、全クラスともヒリヒリするようなレースが展開されました。中の人、今年いちばん見ごたえがあった、面白いレースでした!

「引く勇気」を実践した尾野がV2

画像: 上原と木内のプラスワン軍団を従える#1尾野 勝ちを狙いたい、でもチャンピオンのほうが重要!

上原と木内のプラスワン軍団を従える#1尾野 勝ちを狙いたい、でもチャンピオンのほうが重要!

ファーストマッチはJ-GP3クラス。これは、ここまでランキングトップの尾野弘樹(P.MU 7Cゲイルスピード)と上原大樹(チームプラスワン)によるチャンピオン争い。ポールポジションからスタートした木内尚汰(チームプラスワン)を含め、この3人のトップ争いが展開されましたが、上原が優勝しても、尾野は9位に入ればチャンピオン決定、というレースでした。
それでも尾野は大事に行きつつも攻めのレースを続け、この3台が僅差のトップ争い。するとレース中盤に転倒者が発生し、レースは赤旗中断から仕切り直し。今度は周回数5周という超スプリントレースで、またも上原、尾野、木内の3人がトップ争いを展開し、上原が徐々に2番手以下を引き離して今シーズン2勝目! 尾野は木内を最終ラップのシケインからフィニッシュラインまでのストレートで仕留め、2位フィニッシュで2年連続チャンピオンを決めたレースとなりました。
「この3人のレースだっていうのはわかっていました。ここまで何度も、こういうときに無理してチャンスを逃がしてきたので、2位でOK、ってのを実行できたのがうれしいです」(尾野)

画像: 若手をねじ伏せて2連覇を達成した尾野。速い強いだけじゃない、レースの組み立てが上手い王者

若手をねじ伏せて2連覇を達成した尾野。速い強いだけじゃない、レースの組み立てが上手い王者

ベテランを振り切って19歳が初戴冠

画像: 序盤、トップに立った#2小山 #3荒川、#7伊達が続く

序盤、トップに立った#2小山 #3荒川、#7伊達が続く

ST600クラスは、ランキングトップの荒川晃大(モトバムHONDA)と小山知良(日本郵便ホンダドリームTP)の一騎討ち。ただしこちらも小山が勝っても、荒川は6位に入ればOK。コースレコードを更新してポールポジションを奪取した荒川は絶好調、と思いきや「予選タイムは無理やり出したタイムで、決勝のペースはちょっと心配なんです」という。
決勝レースは、予選2番手スタートの小山のホールショットでスタート。2番手あたりからのレースとなった荒川は、序盤すぐに小山をかわすものの、心配していた通り、そのまま独走に持ち込めない苦しい展開。そこに、國井勇輝(SDGモータースポーツRTハルクプロ)、長尾健吾(TBBチームけんけんYTch L8)、井手翔太(アケノスピードヤマハ)が加わり、長尾が転倒する中、井手がレースをリード。
レース中盤からは井手が2番手以下を引き離しにかかり、小山、荒川、國井が2番手争いの中、國井とのバトルを制した小山が2位、3位に國井が続き、荒川は4位で自身初のチャンピオンを獲得しました!
「最後は表彰台で終わりたかったんですけど、大好きな鈴鹿でマシンをうまくまとめきれませんでした。でも最後までチャンピオン争いができて、チャンピオンになれてうれしい。チームのみんなに少し恩返しできたかなー」(荒川)

画像: 昨シーズンは埜口、小山に敗れた荒川がリベンジ!もうすぐハタチの王者誕生!

昨シーズンは埜口、小山に敗れた荒川がリベンジ!もうすぐハタチの王者誕生!

激闘を制した渡辺がV2!

画像: レース中盤までは#3南本がレースをリードするものの、終盤はホンダ3台の争いに

レース中盤までは#3南本がレースをリードするものの、終盤はホンダ3台の争いに

ST1000クラスは、渡辺一馬(AstemoホンダドリームSIレーシング)と國峰啄磨(TOHOレーシング)が同ポイント、ランキング3位の高橋裕紀(日本郵便ホンダドリームTP)にもチャンスがあるという一戦で、渡辺と國峰は勝った方がチャンピオン、ふたりが5位以下に沈んで高橋が勝ったらチャンピオン、という中での決勝レースとなりました。
レースは6番手スタートの高橋と國峰が並ぶようにホールショット、後方に南本宗一郎(アケノスピードヤマハ)、豊島 怜(ドッグファイトレーシングヤマハ)、渡辺が続くスタート。序盤から南本が主導権を握るが、レース中盤から國峰、渡辺がトップに立ち、3番手の南本をかわした高橋も加わっての、チャンピオンの可能性がある3人が大バトル! 一時離れたと思われた高橋がトップ2人に迫ると、國峰、そして渡辺がかわるがわるレースをリードし、渡辺も一時2番手に、しかし國峰も巻き返してトップ渡辺に迫る走りを見せ、最後の最後に國峰を抑えきった渡辺が4連勝を達成してチャンピオンを獲得! 最後の最後まで渡辺にアタックした國峰は0秒374及ばず2位フィニッシュ。高橋が3位に入り、この順でのランキングとなりました。
「シンドいレースでした! スタートで少し失敗して、気を抜くと抜かれるし、うまく組み立てないと最後にトップでゴールできないと思ったので、位置取りをずっと考えながらのレースでした。もう1回やれ、って言われたらイヤですけど(笑)楽しかったし、このチームで2連覇を達成できたことは誇りに思います」(渡辺)

画像: 終盤、トップに出てレースを引っ張る#1渡辺に#10高橋、#29國峰がくらいつく!

終盤、トップに出てレースを引っ張る#1渡辺に#10高橋、#29國峰がくらいつく!

画像: オートポリスで2連勝、岡山、そして最終戦・鈴鹿と4連勝でV2を獲得した渡辺

オートポリスで2連勝、岡山、そして最終戦・鈴鹿と4連勝でV2を獲得した渡辺

JSBクラスは中須賀3戦全勝で21~22年無敗記録達成!

画像: 23連勝を達成した中須賀。シケインスタンドはごらんの入りでしたが大歓声でした!

23連勝を達成した中須賀。シケインスタンドはごらんの入りでしたが大歓声でした!

前戦・岡山大会で2年連続11回目のチャンピオンを決めた中須賀克行(ヤマハファクトリーレーシング)が、21-22年全戦全勝をかけた最終戦は、土日2日間かけての史上初の3レース制。
土曜のレース1では、濱原颯道(ホンダドリームRT桜井ホンダ)、岩田 悟(チームATJ)の好スタートで始まり、岡本裕生(ヤマハファクトリーレーシング)、渡辺一樹(ヨシムラスズキRIDEWIN)に続いて中須賀は5~6番手あたりからのスタート。
この中から渡辺、中須賀がポジションを上げ、ここに亀井雄大(ホンダ鈴鹿レーシング)、清成龍一(TOHOレーシング)が続く中、清成が亀井をパスして3番手に上がると、渡辺と中須賀が何度か順位を入れ替えながらのトップ争いを演じ、レース終盤には中須賀が渡辺以下を引き離す独走態勢! 中須賀、渡辺、清成の順でフィニッシュし、中須賀これで21連勝をマーク!

画像: レース1のスタートシーン。#2濱原が好スタートを見せます!

レース1のスタートシーン。#2濱原が好スタートを見せます!

画像: レース2は#3清成のロケットスタートで幕開け!

レース2は#3清成のロケットスタートで幕開け!

日曜に行なわれた、周回数12周のレース2では、清成がロケットダッシュを見せて序盤からレースをリード。中須賀、榎戸育寛(SDGモータースポーツRTハルクプロ)、作本輝介(AstemoホンダドリームSIレーシング)が続く中、やはり中須賀が3周目にトップに浮上すると、これを渡辺が追うレース1と同じような展開。3位争いから抜けだしてトップふたりを追ったのは岡本でしたが、岡本の転倒で清成が3番手に浮上し、レース1と同じ顔触れでの表彰台となりました。
これで中須賀22連勝! 誰が先に出ても、誰かが追い上げても中須賀には勝てない――そんな絶望感漂うレース3は、中須賀のライバルたちが奮起。これで22年シーズン最終戦、簡単に全勝を許さないという「打倒・中須賀」勢が光ったレースになりました。

画像: レース1は渡辺との一騎討ちを制して優勝!

レース1は渡辺との一騎討ちを制して優勝!

画像: レース2では清成、渡辺を下して22連勝!

レース2では清成、渡辺を下して22連勝!

画像: レース3では#6亀井が「止まらない!中須賀さんごめんなさい!」とシケインで中須賀&渡辺をねじ伏せてトップを走るサプライズ!

レース3では#6亀井が「止まらない!中須賀さんごめんなさい!」とシケインで中須賀&渡辺をねじ伏せてトップを走るサプライズ!

画像: 渡辺も「止まらない!中須賀さんゴメン!」とシケインでトップに浮上!

渡辺も「止まらない!中須賀さんゴメン!」とシケインでトップに浮上!

レースは濱原が好スタートを見せますが、渡辺、岩田、作本といったメンバーに中須賀が割って入ってのレース序盤は、この中から亀井がスパートし、渡辺、中須賀をかわしてトップに浮上。渡辺と中須賀が激しく2番手争いをする間、まず中須賀が亀井をかわしてトップに浮上すると、今度は渡辺が中須賀をかわしてトップに浮上! このバトル、何度もシケインで展開されて、スタンド席は大歓声になってました!
終盤には渡辺と中須賀がバトルするなか、渡辺がシケインで中須賀を制して最終ラップへ。ついに絶対王者陥落か--と思われたものの、ヘアピンでわずかにラインを外した渡辺を中須賀がパス! 最後の最後まで中須賀を追った渡辺だったが届かず、これで中須賀は21年シーズン開幕戦からの連勝を「23」に伸ばして2年連続全勝でシリーズチャンピオンを獲得! いや、強かった、速かった!

画像: それでも中須賀はこの土日で3連勝!あらためてチャンピオンフラッグとチャンピオンタンクトップを鈴鹿でお披露目しました

それでも中須賀はこの土日で3連勝!あらためてチャンピオンフラッグとチャンピオンタンクトップを鈴鹿でお披露目しました

今年も絶対王者は健在、しかし新たに中須賀のチームメイトとなった岡本や、21年世界耐久チャンピオンチームからの刺客・渡辺、それにプライベートチームながら何度もサプライズを見せた亀井と濱原、シーズン開幕直前のケガさえなければ、の清成がじりじりと迫った22年シーズンでした。

画像: 「レース3はキツかった!でもそれ以上に楽しかった!」と絶対王者 誰がこの男を倒すのか!

「レース3はキツかった!でもそれ以上に楽しかった!」と絶対王者 誰がこの男を倒すのか!

新しい時代を迎えそうな23年シーズン

これで全日本ロードレースの22年シーズンは終了! 
JSB1000クラスは絶対王者健在! ST1000とJ-GP3クラスではV2チャンピオンが誕生し、ST600はヤングライオンが初タイトルを獲得したシーズンになりました。
改めて紹介しますが、23年からカーボンニュートラル燃料がJSB1000クラスに導入されることが決定し、日本のロードレースも新しい時代を迎えそうです。

それでは、シーズンオフの間には、いろいろ振り返り企画でもやりましょう! 
まずはMFJグランプリの「After the FLAG」Webオートバイのナマ配信(アーカイブもある=あとでも見られるよ)https://www.youtube.com/watch?v=_Ej69A6sVoY
もお楽しみください♪

写真・文責/中村浩史

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