当時パーツや自家再生を駆使したチャンピオン・レプリカ

ぱっと写真だけ見て、少し2ストローク時代(1970年代中盤〜2000年)の世界グランプリに興味がある人なら「イギリスのGB(Great Britain)スズキが保管する当地のヒーロー、バリー・シーン(Barry Sheene)用RG500では?」という思いが頭をよぎるかもしれない。確かにRG500のスタイル。ただ、よく見ていくと角型のアルミフレームだったり排気チャンバーが2本だったり、リヤがモノショックだったりする。

RG500はほぼ同レイアウトながらフレームは黒の鋼管製で、排気チャンバーもあと2本がシート左右から出ての計4本。リヤもレイダウンツインショックを使っていた。むしろこの車両で使われている機軸の方が新しい。そう、この車両のベースは、1983年に登場しレーサーレプリカという言葉と時代を確立したRG250Γだ。

製作者はこの世代のバイクや4輪が好きな、ごあじさん。外装はボロボロで不動だったというΓを手に入れたあたりから、バリー・シーンというライダー、そしてレーサーRGにもぐっと興味を抱いたという。しかも20代前半の若さ。車両の再生を始める一方で、これをRG500に近づくよう、資料探しとパーツ探しを行う。

画像1: 当時パーツや自家再生を駆使したチャンピオン・レプリカ

車両のモチーフは、スズキが1968年に参戦休止した後に、1974年からのWGP復帰にあたって製作したRG500=XR14。XRはスズキのファクトリーレーサーに付けられるコードネームだ。

シーンは前年の’73年にスズキGBチームに加わり、水冷3気筒のTR750でFIMフォーミュラ750のタイトルを獲得していた。XR14はGP500用にスクエアレイアウトの4気筒で開発され、投入2年目となる’75年のオランダで、シーンが自身とRG500の初優勝を遂げる。この時は#6を付けていたが、シーンがこの年2勝目を挙げるスウェーデンでは#7を付ける。ここではその仕様をカラーリングや造形を軸に再現している。TR750から引き継がれた当時の、スポンサーカラーでないスズキカラーもまばゆい。

画像2: 当時パーツや自家再生を駆使したチャンピオン・レプリカ

造形の肝となるカウルはヨーロッパ製レプリカを見つけて個人輸入し、塗装やステッカー製作は自分で行い、お父さんの助力も得てこのように完成に至った。ウインカーやミラー、ヘッドライトなど保安部品もナンバーも備えるから、公道走行も可能となっている。

RG500のスクエア4レイアウトは並列2気筒を前後配置したようなものだから、250Γの並列2気筒と幅は近しいし、全体のサイズ感も上々のバランス。こうして新緑の中に置かれていると、当時のGPシーンも彷彿させる、そんな力作となっている。

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フロントカウルやテールカウルはヨーロッパで製作・販売されているというFRP製のRGレプリカをごあじさんが見つけて個人輸入したもの。フロントの#7ゼッケンプレートはカバーで、外せばヘッドライトが露出する。当時風書体のSUZUKIロゴほか、ステッカー類は自作品だ。

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3000rpmから目盛りが刻まれたエンジン回転計などはRG250Γ純正。こうして見るとレーサー感大だ。ここではショー出展用に、純正で別体式の速度計が外されている。ハンドルはφ35mmフロントフォーク用アルミセパレートタイプをトップブリッジ下にクランプしている。

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燃料タンクもRG250Γ純正をレプリカペイント。RG250ΓはRG500が進化した水冷スクエア4のRGB500やRG-Γのレプリカとして登場したから、この辺のバランスにも違和感がない。アルミ角パイプによるフルダブルクレードルフレームもRG250Γのノーマルだ。

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RG500=XR14の形状を再現したテールカウルもヨーロッパ製レプリカ。RG500ではシートカウルサイド左右に後方2気筒のサイレンサーがある(シートレールに沿うようにチャンバーがレイアウトされ、サイレンサーが写真のXR14文字のあたりにすっと伸びている)が、違和感はない。

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2.15-16/2.15-18サイズのホイールはRG250Γ初期型(1983年)の純正で、ゴールドペイントすることで1975年のXR14(こちらは5本スポークキャストホイールで前後18インチ)の雰囲気に巧みに近づけている。フロントフォークやディスクブレーキもRG250Γ純正のままだ。

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アルミ角型スイングアームやフルフローター・リヤサス(モノショック)もRG250Γ純正でレストア。ステップはSAP(セーフティオートパーツスミダ)製のステップバックプレートによって、ノーマルのベースプレートごと後方に移動させている。

取材協力:車両オーナー・ごあじさん

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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