バイクは、一人でフラッとどこにでも行ける乗り物だ。自由気ままに走れば、気分をリフレッシュしてくれる。そんなバイクに乗りたくて、これから免許を取りたいと考えている方が、この記事に辿り着いたのではないだろうか。
 
さて本題に入るが、バイクを運転できる免許は1種類ではない。それぞれのバイクに合わせた免許が必要となり、排気量の大きさで決まってくる。50cc未満の原付なら普通自動車免許を取得すると付帯してくるが、それ以外は自力で取得するしかない。
 
ここでは、バイク免許の種類と特徴について解説し、併せて取得方法と費用をお伝えする。
 
今後、複数台のバイクを乗り継いでいく方も出てくるだろう。将来的にどんなバイクに乗るかを想定し、自分に必要な免許を取るようにしよう。
文:小泉嘉史
画像2: 【バイク免許の種類別ガイド】免許別の乗れるバイクと取得費用について解説!

バイク免許は7種類もある

バイクを運転するには免許証が必要だが、バイクの排気量ごとやクラッチの有無により運転できる免許の種類が7種類ある。

そこで憧れのバイクに乗るには、バイクにあった免許を取得する必要があるが、それぞれ制限があるため、ライフスタイルなども考慮に入れた免許選び(バイク選び)がポイントだ。そのバイク免許の種類は、以下の7つになる。

  • ①原動機付自転車免許
  • ②普通自動二輪車免許(小型)
  • ③普通自動二輪車免許(小型・AT限定)
  • ④普通自動二輪車免許
  • ⑤普通自動二輪車免許(AT限定)
  • ⑥大型自動二輪車免許
  • ⑦大型自動二輪車免許(AT限定)

①原動機付自転車免許

所得可能年齢16歳以上
運転できるバイク50cc未満
最高速度30km/h
二人乗り不可
高速道路の乗り入れ不可
画像: ヤマハ「ビーノ」 原動機付自転車免許で運転できるバイクの一例

ヤマハ「ビーノ」
原動機付自転車免許で運転できるバイクの一例

原動機付自転車免許とは、一般に原付免許と呼ばれる免許だ。16歳以上で取得が可能となり、運転免許試験場で試験を受けて原付講習を受けることになる。

また、普通自動車免許を取得すると、原付を運転する資格も与えられるため、新たに原付免許試験を受ける必要はない。

原付免許では、運転できるバイクは50cc未満に限られる。また、最高速度は30km/h以下と決まっているほか、高速道路の乗り入れや2人乗りもできない。

このようなことから、原付は遠出には向いていない。つまり自転車より便利な、近場を移動する乗り物という位置付けだ。しかし原付免許の取得は、日常で使うのであれば手軽でコスパの高い免許と言える。


②普通自動二輪車免許(小型)

所得可能年齢16歳以上
運転できるバイク125cc未満
二人乗り免許取得から1年後一般道のみ可
高速道路の乗り入れ不可
画像: スズキ「GSX-R125 ABS」 普通自動二輪車免許(小型)で運転できるバイクの一例

スズキ「GSX-R125 ABS」
普通自動二輪車免許(小型)で運転できるバイクの一例

小型二輪免許証で運転できるバイクは、125cc未満までのバイクが運転できる免許で、16歳から取得が可能だ。

通称「原付二種」とも呼ばれ、原付との違いは免許取得1年後から一般道路のみ2人乗りが可能となる点と、最高速度が60km/hまで引き上げられる。ただし、高速道路は入れないので注意が必要だ。つまり、一般道路では普通二輪や自動車と同条件での走行が可能となり、行動範囲が広がる。

小型二輪免許は、原付二種と呼ばれるため、原付免許で運転できそうな気もするが、法律上走行方法が変わることや、バイクの運動性能が大きく上がるため、免許取得には実技試験が必要となる。

もちろん、学科も原付免許と異なるので、原付免許を持っていても新たに学科試験が必要だが、普通自動車免許があれば学科試験は免除される。


③普通自動二輪車免許(小型・AT限定)

所得可能年齢16歳以上
運転できるバイク125cc未満
二人乗り免許取得から1年後一般道のみ可
高速道路の乗り入れ不可
画像: ホンダ「PCX」 普通自動二輪車免許(小型・AT限定)で運転できるバイクの一例

ホンダ「PCX」
普通自動二輪車免許(小型・AT限定)で運転できるバイクの一例

スクーターには、50cc未満の原付バイクのほかに、50ccを超えて125cc未満にも多くのラインナップがある。そこで、125cc未満のスクーターを運転するのに必要なのがAT小型限定二輪免許だ。基本は小型二輪免許と同じ条件で、16歳以上になれば取得可能だ。

スクーターはギアチェンジが不要とあって、繊細な操作が必要なクラッチを必要としないことから、古くから人気がある。そこで、50cc越え125cc未満のクラッチがないスクーターを運転したい人向けの免許と言える。

このAT小型限定二輪免許を取得すれば、手軽に50cc超え125cc未満のスクーターで2人乗りが一般道路でできるが、AT限定なので、クラッチ操作があるバイクは運転できない。

ホンダのカブシリーズは一見、MT車に見えるがクラッチレバーがなく、この免許で運転可能だ。


④普通自動二輪車免許

所得可能年齢16歳以上
運転できるバイク400cc未満
最高速度60km/h
二人乗り免許取得から1年後で一般道可。高速道路は20歳以上かつ免許取得後3年経過後から。
高速道路の乗り入れ可能
画像: カワサキ「Ninja400」 普通自動二輪車免許で運転できるバイクの一例

カワサキ「Ninja400」
普通自動二輪車免許で運転できるバイクの一例

400cc未満のバイクを運転できるのが普通二輪免許で、中型免許や中型バイク免許とも呼ばれていることから、通称「中免(ちゅうめん)」と呼ばれることも多い。16歳以上で取得が可能で高速道路も走行可能だ。

2人乗りに関しては、一般道路は取得後1年後から可能となるが、高速道路に関しては厳しい規定があり、20歳未満や取得後3年未満は高速道路を2人乗りできない。また、首都高速道路の一部エリアなど2人乗りが禁止されている高速道路もあるので注意は必要だ。

参考:首都高速道路における自動二輪車の二人乗り規制について 警視庁

400ccまでの排気量のバイクは、種類も一段と多くなり人気の免許だ。本格的にバイクでツーリングを楽しむならこの免許からだろう。


⑤普通自動二輪車免許(AT限定)

所得可能年齢16歳以上
運転できるバイク400cc未満
二人乗り免許取得から1年後で一般道可。高速道路は20歳以上かつ免許取得後3年経過後から。
高速道路の乗り入れ可能
画像: スズキ「バーグマン400 ABS」 普通自動二輪車免許(AT限定)で運転できるバイクの一例

スズキ「バーグマン400 ABS」
普通自動二輪車免許(AT限定)で運転できるバイクの一例

AT限定普通二輪免許は、400ccまでのクラッチ操作がないバイクを運転できる。

AT限定普通二輪免許は2005年から始まった。2000年代はビッグスクーター・ブームで、250cc~400ccのスクーターが人気を博していた。現在では150ccクラスのスクーターも人気で、この免許で乗れるバイクの選択肢は増えてきている。

また近年は、この免許で乗れる電動バイクも増加中だ。ただし、電動バイクも大型バイク並みにハイパワーを持つ定格出力20kW越えのモデルには乗れない。


⑥大型自動二輪車免許

所得可能年齢18歳以上
運転できるバイク排気量の上限なし
二人乗り免許取得から1年後で一般道可(小型、普通含む)。高速道路は20歳以上かつ免許取得後3年経過後から。
高速道路の乗り入れ可能
画像: ヤマハ「XSR900 ABS」 大型自動二輪車免許で運転できるバイクの一例

ヤマハ「XSR900 ABS」
大型自動二輪車免許で運転できるバイクの一例

大型二輪免許は、18歳以上でなければ取得できない免許証。この免許を取得すれば、排気量の上限に関係なくバイクを運転できるのでバイク免許の花形だ。当然、高速道路走行も2人乗りも条件を満たせば可能だ。

かつてAT限定が存在する前は、バイク免許は中型限定とか小型限定といった免許だった。中型限定は今の普通二輪免許に相当するが、この中型限定の限定を外すための免許が限定解除と呼ばれていた。普通二輪免許を当時中型限定免許と呼んでいたことから、今でもそれを略して中免と呼ぶのは当時の名残と言えるだろう。

そして、当時は自動車学校では限定解除の教習はなく、一発試験と呼ばれる方法により試験場で取得するしかなかった。それゆえに、当時の大型バイクを乗るライダーは、羨望の眼差しで見られていたように思える。

現在は、自動車学校に行けば大型二輪免許の取得が可能だが、自動車学校の中には普通二輪免許を持っていないと入校を断る学校もある。理由は、バイクの基本の扱い方を知らないと、大型バイクはまともに触れないからだ。この点には注意しておこう。


⑦大型自動二輪車免許(AT限定)

所得可能年齢18歳以上
運転できるバイク排気量の上限なし(2019年12月1日の法改正から)
二人乗り免許取得から1年後で一般道可(小型、普通含む)。高速道路は20歳以上かつ免許取得後3年経過後から。
高速道路の乗り入れ可能
画像: ホンダ「レブル1100 DCT」 大型自動二輪車免許(AT限定)で運転できるバイクの一例

ホンダ「レブル1100 DCT」
大型自動二輪車免許(AT限定)で運転できるバイクの一例

AT限定大型二輪免許を取得すると、排気量無制限でクラッチ操作がない大型バイクが運転できる。取得年齢は、大型二輪免許と同じ18歳以上となる。

かつてAT限定大型二輪免許は、排気量制限が650cc未満であったが、2019年12月1日の道路交通法一部改正で排気量制限がなくなり、リッターマシンもATであれば運転できる。また、ホンダのDCT(デュアルクラッチトランスミッション)仕様車やヤマハのYCC-S(ヤマハ電子制御シフト)のように自動変速機を採用しているモデルも運転できるようになった。

大型二輪免許と基本は同じなので、2人乗りや高速道路走行が可能で、AT普通二輪免許では運転できなかった20kWを超える電動バイクも運転できることから、人気のバイク免許だ。

画像4: 【バイク免許の種類別ガイド】免許別の乗れるバイクと取得費用について解説!

バイク免許の取得方法と費用

バイク免許の取得方法は、原付免許を除くと教習所で教習してから試験に臨む方法と、独学で試験に臨む一発試験なる方法の2種類だ。

初期費用は一発試験が安いが、必ず1回で試験に合格するとは限らず、トータルの出費で比較すると、個人の技量にもよるので一概にどちらが得なのかは判断できない。

ただし、以前免許を取得しており、何らかの問題で免許がなくなった方が一発試験をすると、何も知らない方より合格までの道のりは短いだろう。


教習所で取得するのが簡単確実

原付免許の場合は普通自動車免許を取得すると一緒に付いてくる。また原付免許は、学科試験と適性検査、そして3時間の講習を受ければ交付される。しかしそれ以外は、学科試験のほかに技能試験があるので、教習所でしっかり教わってから取得したほうが簡単確実だ。

教習所では、交通法規と交通マナーを学ぶ学科教習と、教習所のコースを使って実際にバイクの運転方法を学ぶ技能教習がある。これらは、取得しようとする免許の種類で変わることに加え、すでに所有する免許の種類でも変わってくる。

バイクの免許試験の難関は、学科試験よりも技能試験だ。バイクの様々な運転技術が試されるだけでなく、決められた時間の中でコースを的確に運転する必要があるからだ。そのため、教習所に通うと技能試験に必要な技術を身につけられるので、一発試験より大幅に有利になる。

教習所の魅力は、卒業試験に合格すると、免許センターでの実技試験が免除されることだ。実技試験はコースを覚える必要があるため、走り慣れたコースの教習所のほうが技能試験に合格する確率は高くなるだろう。初めてのコースは、人によっては緊張して実力が十分発揮できない可能性があるからだ。


費用は所有している免許の種類で変わる

バイクの免許取得費用は、すでに所有している免許の種類で変わる。例えば、多くの方が所有する普通自動車免許保持者が普通二輪免許を取得する場合では、学科が一部免除になるので安くなる。

一番安く取得できるのは原付免許だ。筆記試験と講習のみで1万円あれば免許が取得できる。ただし原付免許を持っていても、それ以上の排気量のバイクが乗れる免許取得には、免許が全くない場合と同じ扱いになる。つまり、原付免許だけでは他の免許取得にほぼメリットはない。

バイク免許取得費用で変わってくるのは、学科教習が殆どだ。そこで、学科教習を済ませている免許を取得していると費用が安くなる。下記の表は所得費用のおおまかな目安だ。

免許の種類普通自動車免許所持者免許なし/原付免許のみ
小型二輪免許約7万円~8万円前後約11万円~13万円前後
AT小型限定二輪免許約6万円~7万円前後約10万円~12万円前後
普通二輪免許約9万円~10万円前後約13万円~17万円前後
AT普通限定二輪免許約8万円~9万円前後約11万円~15万円前後
大型二輪免許約12万円~18万円前後約23万円~25万円前後
AT大型限定二輪免許約12万円~14万円前後約19万円~20万円前後

教習所によって費用が変わるので実際の金額は教習所で確認してほしい。

バイク免許は、大型二輪免許(AT含む)を除いて16歳で取得できるが、18歳になると普通自動車免許を多くの方が取得する。そして、この普通自動車免許を所持していると、学科教習が免除されるので安くなるということだ。


安く済ませるには合宿免許もある

教習費用は、かなり高額になる。そこで、少しでも安く教習費用を済ませたいなら合宿免許という方法もある。合宿免許とは、決められた短期集中のスケージュールで免許を取得するシステムだ。

教習費用や検定料だけでなく、宿泊費や食費まで含めて、通常で取得する費用より安く、しかも取得までの日数が短い。

ただし、まとまって休めなければ合宿免許は難しい。夏休みなどは人気の時期なので料金が通常より高い。また、夏休みは開いている日程が少ないといったこともある。しかし、通常の免許取得より安いことには間違いないので、日程が合えば利用する価値はある。

画像6: 【バイク免許の種類別ガイド】免許別の乗れるバイクと取得費用について解説!

一発試験で取得する方法もある

一発試験は、免許センターなどの試験場で学科と技能試験を直接受ける方法だ。この方法なら教習費用は一切かからず、検定料だけの負担でいい。

一発試験を受けるには、試験内容を熟知してなければ難しい。学科試験を受けるなら、どのような試験が出るのか事前に試験勉強できるが、実技試験はバイクを運転した経験がないと難しい。

そこで、一発試験を受けるなら、ランクアップとして試すと良いだろう。普通二輪免許を持っていて、普段から乗っていればバイクの扱いには慣れているので、大型二輪免許の試験に臨む場合も何も知らないよりは受かる確率が高い。

一発試験を受ける前によく下調べをすることも大切だ。例えばYouTubeなどを使い試験会場を検索すると試験内容が出てくる場合がある。どのようなコースでどのような試験なのか調べてから一発試験に臨むようにすると有利だろう。合格するには技能試験の全てを知ることが第一歩だから、リサーチは入念にして損はない。


費用は抑えられるが合格は至難の業

一発試験は、各地域にある免許センターや運転免許試験場に問い合わせることから始める。そこで受験日の日程を確認して、いざ試験会場に向かうことになるだろう。しかし技能試験はかなり厳しく、よほどのことがなければ1回で合格できない。

一発試験にかかる費用は、受験料2,600円、試験車使用料1,450円、免許証交付料2,050円。そして、合格すると取得時講習受講料として大型二輪免許で16,650円、普通二輪免許で16,200円が必要だ。つまり大型普通二輪免許ならトータルで22,750円、普通二輪免許で22,300円が必要となる。

しかも、合格しないと受験料と試験車使用料はその都度徴収されることになる。つまり、1回5,500円かかるので、10回受けると55,000円かかることになり、普通二輪免許は教習所に通ったほうが安かったなんてことになりかねない。

一発試験を受ける場合、技術がしっかり身に付いていても試験内容や流れを熟知している必要がある。また試験内容や流れを熟知していても、緊張するようでは技術を出し切れないだろう。つまり一発試験は努力も必要だが、本番に強い強靭な精神力も必要だ。


大型二輪免許は体力も必要

大型二輪免許は、バイクを運転する技術だけでは合格は難しい。というのも、大型二種免許では、大型バイクを引き回せる体力が問われるからだ。教習所でコツは教えるが、体力だけは自分の力で何とかするしかないため、合格には体力アップの筋トレもしておいたほうが良い人もいるかもしれない。

大型バイクは、車重が200kgを超えるものばかりだ。この重いバイクを引き回す体力が必要になる。また、バイクはバランスを取りながら走行させる乗り物だ。コーナリング時の加重移動として体重のかけ方も重要なほか、発進や加速時にも体に大きな力が加わる。つまり、バイクの車体は人間の体であり、クルマのボディに相当するのだ。

教習所では、これらの一連の流れをしっかりと教え込む。しかし、どんなに教え込まれても体力がなければ、どうにもできないこともあるだろう。特に試験では、倒れたバイクを起こしてバイクの押し歩きや停止を行った後、一本橋にチャレンジする。すでに押し歩きで体力を使っていると、一本橋でバイクを押さえ込むことが難しいほど体力が奪われている。

つまり二輪免許は、走行させる技術があれば良いわけではない。バイクが自走できなければ押して歩く必要があり、転倒していれば起こす必要がある。これが大型バイクになるほど体力がなければきついということだ。

大型バイクに憧れを持つ人も多いと思うが、こうした扱いについても十分に考慮して、自分が乗るかどうか決めたほうが良い。

まとめ

画像: まとめ

バイクの免許は、排気量ごとに種類が決められている。そしてクラッチ操作が必要ないAT限定免許も、原付を除いた全てのバイク免許に設定がある。

まずは、どの免許を取るのかを考えるよりも、どのバイクに乗りたいか考えてみてはいかがだろうか。そうすれば、そのバイクに乗れる運転免許が見つかるはずだ。

以前に比べて大型二輪免許のハードルが低くなり、教習所に通えばほぼ取得できるだろう。しかもクラッチなしのAT車も数多く普及し始めた今なら、AT限定でも十分楽しめる。もしMT車に乗りたいなら、限定解除試験を受ければ良い。

最初から難しい免許に挑むのも良いが、何事も慌てずにステップアップすれば、安全にバイクを楽しむことが可能だ。

文:小泉嘉史

画像8: 【バイク免許の種類別ガイド】免許別の乗れるバイクと取得費用について解説!

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