最高出力80馬力!! というスペックに注目が集まっている電動モトクロッサー「スタルク・ヴォルグ」は、2022年秋からデリバリー開始が予定されています。先日、スペイン北東部では2週間以上にわたる試乗会が開催され、世界各国から50名以上のメディア関係者が集い、最新の電動モトクロッサーの実力を評価しました。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2022年6月12日に公開されたものを転載しています。

試乗会場は、騒音問題で閉鎖されたバルセロナのモトクロスコースでした

ベルギーのJ.マルテンスが世界モトクロスGP500ccクラスで、英国のJ.スミス(BSA、1965年)以来の"4ストローク車による最高峰クラス王者"に輝いたのは1993年のこと。その後モトクロスの世界では、4ストローク化への流れが加速することになりました。

90年代以降の2ストロークから4ストロークへというトレンドは、排ガス問題由来の環境規制対策に頭を痛めていた各メーカーにとって、ある意味助け船的なところもありました。しかし皮肉にも、4ストローク化は「騒音」という新たな環境問題と生み出すことになりました。近接騒音測定値が同じでも、2ストロークより排気音が遠くまで届く特性を持つ4ストロークの車両が増加したことにより、今まで騒音への苦情が出なかった地域からも、苦情の声が上がるようになったのです。

画像: スタルク・ヴォルグのメディア試乗会場となった、スペイン・バルセロナの「MXゴルフ」。電動モトクロッサーの比較対象として、カワサキ、ホンダ、ヤマハ、KTM、ハスクバーナ、ガスガスのICE(内燃機関)搭載車が用意されていました。 starkfuture.com

スタルク・ヴォルグのメディア試乗会場となった、スペイン・バルセロナの「MXゴルフ」。電動モトクロッサーの比較対象として、カワサキ、ホンダ、ヤマハ、KTM、ハスクバーナ、ガスガスのICE(内燃機関)搭載車が用意されていました。

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電動モトクロッサー「スタルク・ヴォルグ」のメディア向け試乗会場となった、スペイン・バルセロナの「MXゴルフ」は、騒音問題によって一時閉鎖を強いられることになったモトクロスコースのひとつです。近年、欧州で多くのオフロードモデルが走る場所を失っているのは主に"排ガス"の方の環境問題が理由ですが、"騒音"の方の環境問題で使えなくなったコースを電動モトクロッサーの試乗会の舞台に選ぶのは、電動車ならではの静粛性の高さのアピール手段として優れた戦略といえるでしょう。

画像: メディア試乗会に持ち込まれたのは、スタルク・ヴォルグの後期型プロトタイプです。ちなみにその車名は、スウェーデン語で「強い狼」を意味します。 starkfuture.com

メディア試乗会に持ち込まれたのは、スタルク・ヴォルグの後期型プロトタイプです。ちなみにその車名は、スウェーデン語で「強い狼」を意味します。

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注文予約は1万1,000台超え!! 世界が熱い注目の視線を注ぐ1台!!

2023年型として、2022年11月からデリバリー開始が予定されているスタルク・ヴォルグの価格は、スタンダードの60馬力版が11,900ドル≒159万9,540円で、80馬力版の"アルファ"はプラス1,000ドルとなっています。余談ですが過去記事で紹介したときよりも急速に円安が進んだために、日本人的にはずいぶん高価になってしまったように感じてしまいます(涙)。

なお注文予約時には100ドルのデポジット(預かり保証金)が必要ですが、すでに1万1,000台以上の数を受注しているとのこと! そんな注目の電動モトクロッサーの試乗会には50名以上の世界各国のメディア関係者が集まりました。残念ながら、日本から参加のメディアはなかったようです・・・。

画像: スノーホワイトのカラーリングがスペインの陽光の下に映えるスタルク・ヴォルグ。前後サスペンションはKYB製で、前後ブレーキにはブレンボ製品を採用。なおバイクスタンドには、チャージャーが組み込まれております。 starkfuture.com

スノーホワイトのカラーリングがスペインの陽光の下に映えるスタルク・ヴォルグ。前後サスペンションはKYB製で、前後ブレーキにはブレンボ製品を採用。なおバイクスタンドには、チャージャーが組み込まれております。

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「これは適切なゲームチェンジャーです。 これまでに乗ったどのダートバイクよりも反応が良いです」とは、英国DirtHubから派遣された現役プロレーサーのディラン・ウッドコックのコメントです。彼は 「速くて、思っていたよりもずっと良い。パワーに慣れたら、このマシンの限界に挑戦してみたい。2ストロークのコーナリングと4ストロークのパワーを併せ持つ、2ストロークと4ストロークのいいとこ取りをしたようなマシンだ。1周目で惚れ込んでしまったよ」とも述べています。

画像: スタルク・ヴォルグでジャンプするD.ウッドコック。彼のほかにも、セドリック・スベイラスやマーティン・バーなど、スーパークロスや世界モトクロスGPでのキャリアを持つライダーが、試乗会には参加していました。 starkfuture.com

スタルク・ヴォルグでジャンプするD.ウッドコック。彼のほかにも、セドリック・スベイラスやマーティン・バーなど、スーパークロスや世界モトクロスGPでのキャリアを持つライダーが、試乗会には参加していました。

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ジプシーテイルズ(オーストラリア):「スタルク・ヴォルグをひと言で表すとしたら、それは未来的です…私たちがこれに乗り、どこへ行くのか想像してみてください」
LeBig USA(フランス):「我々のスポーツにターンオーバーが起ころうとしている...そしてスタルクはこれを実現するものだ」
エンデューロ21(英国):「私たちは60馬力バージョンに乗りましたが、これは80馬力にすることもできます…しかし、80馬力は必要ないのは確かです!」
ラストスポーツ(英国):「楽しいです、もっと楽しいというか、思っていた以上に楽しく、そして今まで乗ったモトクロスバイクの中で最高のハンドリングのモトクロスバイクです」
スワップモト(米国):「このバイクは、その新しさゆえに並外れたものです。スペインには少し懐疑的な気持ちで来ましたが、ヴォルグは我々の期待をはるかに超えていました。 シンプルなバイクで、乗りやすく、うまく乗れる。大きな反響を呼ぶと思います」
インセラ(イタリア):「技術的にこれほどのものは見たことがなく、このようなバイクが市場に出ることは正直にいって歴史的な日だと思います」

ご紹介する動画は、公式YouTubeチャンネルにアップされたメディア試乗会の様子を収録したものです。当然? 各ライダーのコメントは英語ですが、YouTubeの字幕機能を使うと基本的にわかりやすい英語ですので、そのコメント内容が理解できると思います。

欧州圏のモトクロスとトライアルの分野では、電動車と内燃機関搭載車の「ガチ勝負」が可能な環境が着々と整備されつつありますが、日本にもこの潮流は定着することになるのでしょうか? 期待したいです。

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

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