軽二輪クラスの貴重なトレールモデル・カワサキ「KLX230」。新たに登場した「KLX230S」は、シート高を大幅に下げた派生機種だ。街乗りからオフロードまで、幅広い層のライダーが気軽に楽しめる一台となっている。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、赤松 孝

カワサキ「KLX230S」インプレ(太田安治)

画像: Kawasaki KLX230 S 総排気量:232cc エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒 シート高:830mm 車両重量:136kg 発売日:2022年2月1日 税込価格:50万6000円

Kawasaki KLX230 S

総排気量:232cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:830mm
車両重量:136kg

発売日:2022年2月1日 
税込価格:50万6000円

数値以上の足つき性が絶大な安心感を生む

250ccクラスのオフロードモデルは、本格的なダート走行からSUV感覚のストリートライディングまで、幅広い用途に使われる。軽量な車体と低回転から扱いやすい特性のエンジンを組み合わせているのでエントリーユーザーにもお勧め、と言いたいところだが、ネックとなるのが足つき性の悪さ。

オフロード走破性を高めるために前後に大径タイヤを履かせ、サスペンションストローク量と最低地上高を大きく取るほどにシート高は高くなってしまうからだ。実際、オフロードでのパフォーマンスを追求したKLX230のシート高は885mmと高く、身長160cm台のライダーだと不安になる状況が多かった。

そこで前後サスペンションのストローク量を減らし、シート高を55mmも下げたのがKLX230S。車名が似ているので間違いやすいが、新たに「S」が登場したことで従来のKLX230は国内販売を止めている。

画像1: カワサキ「KLX230S」インプレ(太田安治)

830mmというシート高は足つきの良さが高く評価されているヤマハのセロー250ホンダCRF250Lと同じだが、KLX230Sはライダーが跨がったときの沈み込み量が大きめで実際の足つき性は数値以上に良好。足場の悪い場所でも安心感が高く、ガレ場や泥濘地の走破時は両足を着きながら進めるという大きな利点も生んでいる。引き換えに大きなギャップを勢いよく超えるときはサスペンションストロークに余裕がないが、林道ツーリングのペースなら不満のない衝撃吸収力と動きの良さを見せる。

エンジンは排気量232ccで19馬力を発揮。数値的にはCRFの24馬力より20%ほど低いものの、低回転域から力強く加速し、トップエンドまで重ったるさが一切なく伸びていく特性と車重の軽さによって非力さは微塵も感じない。どの回転域でもスロットル操作に忠実に反応してダート走行でのパワースライドコントロールもやりやすい。

画像2: カワサキ「KLX230S」インプレ(太田安治)

高速走行時はオフ車特有のフラフラ感が少なく、意外なほど高い安定性を見せる。だが120km/hでリミッターが介入し、アップライトなポジションは風圧をダイレクトに受けるので快適速度は100km/h以下。細身で硬めのシートも尻の痛みを誘うから、長時間の高速道路走行はお勧めしない。

ざっくり言えば、このKLX230Sは足つき性がセローと同等でダートでの扱いやすさはCRFと同等といったところ。トータルな悪路走破性の高さがKLX230S最大の魅力だ。

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