スズキのGSX-Sシリーズに新たに加わった俊足スポーツツアラー「GSX-S1000GT」が2022年2月17日に発売された。本格スポーツネイキッド「GSX-S1000」をベースに生まれた期待のオールラウンドツアラーだ。走行性能のインプレッションとともに各部の解説などをお伝えしよう。
文:宮崎敬一郎、オートバイ編集部/写真:赤松 孝、南 孝幸

スズキ「GSX-S1000GT」インプレ(宮崎敬一郎)

画像: SUZUKI GSX-S1000GT 総排気量:998cc エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒 シート高:810mm 車両重量:226kg 発売日:2022年2月17日 税込価格:159万5000円

SUZUKI GSX-S1000GT

総排気量:998cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:810mm
車両重量:226kg

発売日:2022年2月17日
税込価格:159万5000円

スポーツランで顔を出すGSX-RのDNA!

GSX-S1000GTはGSX-S1000のカウル付きツーリングスポーツ、GSX-S1000Fの後継モデルでグランドツーリングスポーツと言うべきモデル。現行KATANAともエンジン、フレームのベースが同じで、そのルーツはGSX-R1000だ。

先代のFに対して比べると、シャープなカウルなど外観が大きく進化。はっきりと世代の違いを感じる洗練されたスタイルになった。スポーツ性能と快適性を向上させたという足回りはセッティングを大きく見直している。

また制御系ではECMを介したエンジンマネージメント、トラクションコントロール、ABSなどの管理がより複合的に行われるようになり、スマホと連携表示、操作ができる「SUZUKI my SPIN」の導入など、明確な進化を遂げている。

画像1: スズキ「GSX-S1000GT」インプレ(宮崎敬一郎)

これらの進化は、走ってもはっきり分かる。エンジンが滑らかになっており、特に3000〜4000回転といったツーリング常用域での応答がずっとリニア。ピックアップも丁寧になり、最もシャープなレスポンスをするパワーモードの「A」にしても街中を不便なく快適に操作できる。ゴリッとしたタッチだったミッションもスムーズになったし、クイックシフターは街中の頻繁な操作にも対応。当たり前だが、これらの操作系のタッチは重要。滑らかでないと気分よく走れない。

試乗車は全くの新車ということもあって、試乗当初は乗り心地が少し硬めだったが、路面の荒れたワインディングで半日走り込むと一気に滑らかになった。そう、スズキがグランドツアラー(GT)と銘打っている割には、峠道での感触がかなりスポーティでSS的なところがある。冒頭でルーツまで遡ったのは、使い方によっては、そのルーツの面影が顔を出していたからだ。

ハンドリングは素直で、このクラスの中では軽快。それでいて、どんな高速域でもしっかりとした節度も併せ持つ。扱いやすく、SSのように身体を使った体重移動をしなくても、超高速域からでも俊敏にフットワークできるのもすばらしい。この安定性は、ツーリングスポーツの中でも群を抜いている。

画像2: スズキ「GSX-S1000GT」インプレ(宮崎敬一郎)

動力性能は申し分なく強力で、10000回転あたりを駆使して峠を走れば、立ち上がりでパワーリフトするような勢いになる。路面の荒れにもめっぽう強い。許容リーンアングルがやはりツーリングスポーツで少なめなのと、少し穏やかな旋回性で現実に戻されるが、しっかりとGSX-Rの「面影」が見える。

今回、比較用にカワサキ・ニンジャ1000SXも同行させた。ニンジャはイージーなツーリングスポーツとして専用設計された、しなやかかつ高剛性な車体。ルーツが違う。そんなバイクと比べてみても実に面白かった。

ニンジャはGTより身軽で、ハンドルをこじって勢い良く切り返そうが、その身軽さを保ったままバランスよく応える。SS的な走りをすると快適な乗り心地を生むソフトな足回りが音を上げるが、よく曲がり、クイックなフットワークを発揮する。20馬力差は歴然だがトルキーでよく粘ることで、街中や峠道でスポーツする程度なら動力性能は拮抗。だが、総じてイージーなのはニンジャだった。

画像3: スズキ「GSX-S1000GT」インプレ(宮崎敬一郎)

先達であり定番モデルのニンジャに対し、このGTは全てにおいて手応えのある走りをする。決して扱いにくいのではなく、同じように身軽だし、懐も深い。だが、160〜170km/hですらリラックスできそうな安定感と快適さは、まるでハヤブサの縮小版のよう。それに、底なしの動力性能と乗り手を飽きさせないクオリティの高いスポーツ性能も潜ませている。日本では持て余しがちな領域だが、そんな実力があることもこのGTの魅力のひとつなのだ。

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