2022年、カワサキのZブランドは誕生50周年を迎えた。その歴史とゆかりの深い人物はいま何を思うのだろうか。ドレミコレクションの武 浩さんもそのひとりだ。
まとめ:オートバイ編集部/写真:海保 研(フォトスペースRS)/取材協力:ドレミコレクション

1台でも多くの絶版Zが残るように「この小さい部品が手に入らない……」ってところをフォローしていきたい

画像: 武 浩 (たけ ひろし) 一般小売流通業のサラリーマンから一転、絶版車を手直しして展示・販売するカフェが評判を呼び、単身アメリカで絶版車を買い付け→輸入販売業を経てドレミコレクションを設立。クラシックマグホイールのリプロダクション、カワサキ車の純正パーツ再生産やカスタムパーツ販売をはじめ、CB1100改TypeRのコンプリート製作と販売でも大きな話題を呼んだ。

武 浩 (たけ ひろし)

一般小売流通業のサラリーマンから一転、絶版車を手直しして展示・販売するカフェが評判を呼び、単身アメリカで絶版車を買い付け→輸入販売業を経てドレミコレクションを設立。クラシックマグホイールのリプロダクション、カワサキ車の純正パーツ再生産やカスタムパーツ販売をはじめ、CB1100改TypeRのコンプリート製作と販売でも大きな話題を呼んだ。

派手なカスタムパーツより、純正リプロのビス1本

Z1発売から、とうとう50年。Zに乗り「続ける」のに一番大事なものは、情熱や時間、資金はもちろん、きちんとZがZであるための補修パーツだ。乗っていれば不調にもなる、壊れることもある工業製品、いつでも完調で乗るための絶対条件だ。

「僕がこの世界に足を踏み入れたのが、1988年ごろ。最初は、自分が乗るために750SSの不動車を買ってきて、こつこつとレストアしたのが始まりです」というのは、カワサキZ系をメインに、カスタムや純正リプロパーツを作り続ける、ドレミコレクションの代表、武浩さん。

武さんは当時「自分のバイクを置いておける」カフェを経営。その車両を買いたい、という声が多かったため、単身アメリカへ。現地で買い付けては整備する日々だ。

「自分用のバイクを仕入れて、レストアして乗ろうと思ったら買われちゃう、の繰り返し(笑)。そのへんから、整備士の免許を取って絶版車販売をスタートしたんです」

販売業は徐々に定着。少しずつスペアパーツやストックも増え始めた頃、阪神淡路大震災が起こってしまう。武さんの持つストックがほぼダメージを受けてしまった。

「純正の消耗部品なんか、すごく困りました。それで業者を探してリプロダクションです。絶版車カスタムも流行っていた時期だったんですが、カスタムパーツよりまずは純正部品だろう、って」

ガスケットやキャブレターのインナーキット、サイズ違いのタペット調整用シムにカムシャフトメタル。外装パーツセットにシートなど、チューニングじゃない、乗り続けるための整備に絶対必要なものばかりだ。その数ざっと2000アイテム。

「誕生50年にもなる歴史的名車ですよ。それなのに、その時期に流行るカスタムしちゃうってどうなのよ、って考えたんです。トヨタ2000GT、ランボルギーニミウラを改造するかぁ?って」

クラシックZを大事にするあまり、現行モデルZ900RSをZ1スタイルに、ZEPHYRシリーズをFXスタイルに、というカスタムも提案。これが今、生産が追い付かないほどの大人気!

「Zを50年乗って来れたように、ZEPHYRだってZ900RSだって、この先50年乗って欲しいじゃないですか。空冷Zシリーズの次はニンジャもそろそろ純正パーツに困り始めていますから、そこもフォローしたいですね。だから900ニンジャ用の鉄タンクも作るし、Zの50周年記念には、また何度目かのZ1ノーマルシートを作っています。作るたびにきちんとグレードアップしていますよ」

純正部品をリプロダクションするにも、ノーマルより高品質に、より長持ちする部品にこだわりまくる。絶版車の部品がメーカー廃盤になった、なんて話はよく聞くけれど、Zにはドレミがある。Zのオーナーは幸せ者だ。

画像: 2017年の東京モーターショーでZ900RSが初登場したときに、同時に壇上にディスプレイされたドレミ仕様Z1スタイルのZ900RS。国内はもちろん、海外でも大反響を巻き起こした。

2017年の東京モーターショーでZ900RSが初登場したときに、同時に壇上にディスプレイされたドレミ仕様Z1スタイルのZ900RS。国内はもちろん、海外でも大反響を巻き起こした。

画像: 超人気パーツとなっている、現行Z900RS用のZ1スタイルのメッキ4本マフラー。長さやハネ上げの角度なども少しずつ変え、より完成度を上げ続けている。

超人気パーツとなっている、現行Z900RS用のZ1スタイルのメッキ4本マフラー。長さやハネ上げの角度なども少しずつ変え、より完成度を上げ続けている。

画像: モノサスのZ900RSを2本ショックに見せているのは、まさかのマフラーステー。ノーマル1本出しマフラー用ステーとしても発売されている。

モノサスのZ900RSを2本ショックに見せているのは、まさかのマフラーステー。ノーマル1本出しマフラー用ステーとしても発売されている。

画像: やはり現在の人気はZ900RS用のZ1スタイルパーツ。カスタムパーツでありながら、Z1オーナーも補修パーツとしてその作り込みを認めてしまうという逆転現象も起きている。

やはり現在の人気はZ900RS用のZ1スタイルパーツ。カスタムパーツでありながら、Z1オーナーも補修パーツとしてその作り込みを認めてしまうという逆転現象も起きている。

画像: 岡山県倉敷市にある本社ショールーム。東京にも営業所を持つ。

岡山県倉敷市にある本社ショールーム。東京にも営業所を持つ。

まとめ:オートバイ編集部/写真:海保 研(フォトスペースRS)/取材協力:ドレミコレクション

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