文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、鶴見 健
カワサキ「Z1-R」解説

Kawasaki Z1-R
総排気量:1016cc
エンジン形式:空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒
車両重量:246kg
シャープなスタイリングでZのイメージを変えた1台
900SUPER4(Z1)が切り開いたZシリーズの歴史に新風を吹き込んだモデルがこのZ1-R。強力な性能を持ったライバルたちに追い上げられていたカワサキが放った「次の一手」である。
何よりも世界を驚かせたのが、その斬新なスタイリング。優美な曲線基調だったそれまでのZ1系のフォルムから一転して、スリムでエッジの効いた角形のフォルムを採用。「R」の名の通りレーシーなイメージコンセプトで、端正なビキニカウルを装着、当時流行していたカフェレーサー風に仕立てた。
このデザインは当時さまざまな議論を呼んだが、メインターゲットであった北米からは賞賛され、後のカワサキ車のスタイリングにも大きな影響を与えることになる。
エンジンは吸排気系を一新してカワサキ初の集合マフラーも装備。90HPという高出力で、パフォーマンスも一線級だった。

流麗な曲面で構成された燃料タンクが目立った初代Z1系モデルから一転、Z1-Rのスタイリングはタンクをはじめ全身が直線基調のシャープなフォルムとなった。
カワサキ「Z1-R」ライディングポジション・足つき性
シート高:815mm
ライダーの身長・体重:176cm・62kg

スポーツイメージの濃いZ1−Rだが、意外にアップライトなポジション。ビキニカウルの効果で高速クルージングも楽だった。

カワサキ「Z1-R」各部装備・ディテール解説

Z1000Aと基本的に共通な1016cc空冷直4エンジンを搭載。4in1の集合管とVM28SSキャブレターを装着し、最高出力は83HPから90HPに向上。

Z1000Aでは左右2本出しだったマフラーだが、Z1-Rは集合管の採用によって右側1本出しになり、スポーティな雰囲気を強調。

ベースモデル・Z1000Aのフロントホイールは19インチだが、Z1-Rは18インチを採用。穴あきブレーキローターはZ1-Rだけ。

スチールパイプ製のシンプルなスイングアームにツインショックという、オーソドックスな造りのリア周り。

ビキニカウルは、クラシカルなカウルの両端をスパッと切り落としたような造形。シャープなフロントマスクが角ばったボディにマッチ。

カウル内側に埋め込まれたメーター自体は、オーソドックスなアナログ表示の丸形2連。メーター上側には警告灯や電圧計も備わる。

細長い燃料タンク形状はデザイン優先で、容量も小さく13Lとなっている。後のZ1000MkⅡのタンクとは全く異なる。

シートはスタンダードなZ系モデルのような分厚いクッションとは異なり、スリムで薄いスマートな雰囲気となっている。

タンクから続く角ばったボディラインに合わせ、テールカウルのデザインも角形にリファイン。テールランプも角形に。
カワサキ「Z1-R」主なスペック
全長×全幅×全高 | 2160×800×1295mm |
ホイールベース | 1505mm |
最低地上高 | 125mm |
シート高 | 815mm |
車両重量 | 246kg |
エンジン形式 | 空冷4ストDOHC2バルブ並列4気筒 |
総排気量 | 1016cc |
ボア×ストローク | 70×66mm |
圧縮比 | 8.7 |
最高出力 | 90HP/8000rpm |
最大トルク | 8.7kgf・m/7000rpm |
燃料タンク容量 | 13L |
変速機形式 | 5速リターン |
キャスター角 | 26.0゜ |
トレール量 | 85mm |
タイヤサイズ(前・後) | 3.50H-18・4.00H-18 |
ブレーキ形式(前・後) | Φ296mmダブルディスク・Φ290mmディスク |
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸、鶴見 健