日本が誇る二輪車メーカー4社は世界各地で高い評価を得ている。そして日本市場では正規販売されていない機種が海外では数多く展開されてもいる。この連載では、そんな知る人ぞ知るモデルをフィーチャー。今回は、インドで販売されているスズキ製125ccスクーターを紹介。バイクが売れまくっている国のモデル展開はすごい!
文:小松信夫

ターゲットごとに作り分け! 懐の深いインドのスクーター・ラインナップ

インドでは、それはもう凄い勢いでバイクやスクーターが売れてて、ニューモデルの年間販売予定台数が万単位だったりするという、日本では考えられない状況。だから同じクラスでも細かくモデルが作り分けられてて、面白いモデルが存在する余地が残されてるというワケで。この連載でも何回もインド産のモデルを紹介してきましたが。

画像: スズキ アヴェニス125

スズキ アヴェニス125

そんな中で、コストパフォーマンスが高くて、燃費も良くて、とにかく便利な125ccスクーターは、日本と同じくインドでも大人気で、メーカーも力を入れざるを得ない。例えばスズキはインドで125ccスクーター3モデル、全6タイプをラインナップ。ついこの間も若者をターゲットにしたニューモデルとして「アヴェニス125」が発表されたばかり。

画像: スズキ バーグマン・ストリート

スズキ バーグマン・ストリート

あと、もうすこし上の世代のユーザーを狙っているのが、ちょっと高級感を感じさせる佇まいの「バーグマン・ストリート」。この両モデルともに、スマホとのBluetooth接続が可能で、ターンバイターン式のナビ機能なんかが利用できる、多機能液晶メーターを備えた「ライドコネクトエディション」が設定されてます。

画像: SUZUKI Access125 総排気量:124.3cc エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒 シート高:780mm 車両重量:106kg

SUZUKI Access125

総排気量:124.3cc
エンジン形式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
シート高:780mm
車両重量:106kg

そしてもう1台、このモダンでフレッシュなイメージのスタイリングを持つ2モデルに対して、一転して落ち着いた佇まいというか、地味で目立たないというか、遊びのない質実な古典的スクータースタイルの「アクセス125」というのが存在してましてね。個人的にはこれが一番気になりました。

画像1: ターゲットごとに作り分け! 懐の深いインドのスクーター・ラインナップ

まあ、これが本当に清々しいくらい「アヴェニス125」や「バーグマン・ストリート」とは対照的なスタイルで…基本的なスタイリングが日本の一昔前の〝ザ・スクーター〟という感じな上に、ヘッドライトのリムをはじめ各部にメッキ仕上げのパーツを多用、ちょっぴりレトロな雰囲気。ライト自体はLEDだけどね。ボディカラーも豊富に揃ってます。

要するに「アクセス125」は、昔ながらのスクーターの時代を知ってて、「アヴェニス125」とかには違和感を感じてるであろうユーザーを狙った、オーソドックスな「父っつあんスクーター」。ちゃんとモデルごとに明確にターゲットが分けて、作り分けられてるってことですな。

画像2: ターゲットごとに作り分け! 懐の深いインドのスクーター・ラインナップ

そういう層を狙っている以上、しっかりと実用性は重視されてて。タンデムもへっちゃらな大きなサイズでフラットなシートの下には、このようにヘルメットが収まるサイズのシート下の収納スペースも確保。

画像3: ターゲットごとに作り分け! 懐の深いインドのスクーター・ラインナップ

こんな前時代的なスタイルなのに、フロントポケットには充電用のUSBポートが付いてたりもしますよ。

画像4: ターゲットごとに作り分け! 懐の深いインドのスクーター・ラインナップ

メーターもこの通りの超シンプルなアナログ表示。かろうじて距離計は液晶でデジタル表示だけど。

画像5: ターゲットごとに作り分け! 懐の深いインドのスクーター・ラインナップ

ただ、この「アクセス125」にも、多機能液晶メーター装備の「ライドコネクトエディション」が用意されてるんですよ。これはスタンダード版とはボディカラーが異なり、合わせてシートやステップフロアなどのインナーパネルの色がブラウン、ホイールもブラックアウトされていてちょっぴり高級な雰囲気かな。

画像6: ターゲットごとに作り分け! 懐の深いインドのスクーター・ラインナップ

で、メーターはこの通りフル液晶のものに置き換えられてます。これ、メーター自体も機能的にも全く「アヴェニス125」や「バーグマン・ストリート」のライドコネクトエディションと同じなんですねぇ。というかですね、薄々お分かりかとは思いますが、「アクセス125」と「バーグマン・ストリート」と「アヴェニス」は、共通のメカニズムに異なるコンセプトを与えて生まれた3つ子なのでした。

画像7: ターゲットごとに作り分け! 懐の深いインドのスクーター・ラインナップ

スペックを見ればそれは一目瞭然、信頼性と燃費に優れる125ccの空冷SEPエンジンは共通。車体を見てもF12・R10インチのホイールやフロントディスク、リアドラムのブレーキは3車共通(アクセスには前後ドラム仕様が存在)。ホイールベースは3車全く同じで、スタイリングが異なるのにその他の各部寸法や燃料タンク容量も近いということは、フレームもほぼ同じ。基本的な装備も共通だから、「ライドコネクトエディション」も各モデルにあるわけですな。

この関係はスポーツモデルでも最近増えてきたアレです、共通プラットフォームってやつ。量産効果で部品調達コストも各種経費も下がって価格を抑えられる、と。なんせこの3台、現地価格を日本円換算すると一番高い「バーグマン・ストリート ライドコネクトエディション」で約14万円、一番安い「アクセス125」のドラムブレーキ仕様だと12万円弱くらいだから。うーん、安いな。

文:小松信夫

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