2021年型でモデルチェンジされたホンダ「X-ADV」。日常の足として、軽二輪クラスのADV150に乗っている伊藤さんですが、新型X-ADVの走りっぷりに感心しきりな様子でした。
談:伊藤真一/まとめ:宮﨑 健太郎/写真:松川 忍/ モデル:Ruriko
画像1: ホンダ「X-ADV」インプレ|大幅に進化した2021年型を高速道路&オフロードで徹底テスト【伊藤真一のロングラン研究所】

伊藤真一(いとうしんいち)
1966年、宮城県生まれ。1988年ジュニアから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。以降、WGP500クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。2021年は監督としてAstemo Honda Dream SI Racingを率いてJSB1000、ST1000クラスなどに参戦!

ホンダ「X-ADV」インプレ(談・伊藤真一)

Honda X-ADV
2021年モデル

総排気量:745cc
エンジン形式:水冷4ストOHC4バルブ直列2気筒
シート高:790mm
車両重量:230kg

発売日:2021年3月25日
税込価格:132万円

技術的にすごく難しいことに挑戦し、見事に成功したモデルですね!

X-ADVを取り上げるのは、旧型が登場した2017年以来になりますね。

まず新型を試したのは高速道路ですが、一般的なバイクよりもX-ADVは走っていて疲れないですね。4輪車に乗っているみたいに快適です。エンジンが改良された新型は、旧型よりもパワーアップされており、馬力的な物足りなさがなくなりました。旧型よりレブリミットが上がり、回転の全域でトルクが出ていて、ナナハンにしては力がある、という印象でした。高速道走行では、途中でスクリーンの位置を変えて試したりしましたが、一番高い位置にセットしていると本当に楽でした。一般道を走るときは、スクリーンは低い位置にしていた方が、軽快感が出ると思います。

この連載「ロングラン研究所」のテストでは、走り出す前に必ずタイヤの空気圧をチェックするのですが、X-ADVはフロント2.50、リア2.80が指定値です。これくらい空気圧が高いと小径のタイヤが路面でポンポン跳ねるようなイメージがありますが、実際に乗ってみると全然そんな感じがしないんですよね。スポークホイールを採用しているとか、サスペンションのセッティングとか、OEMタイヤのエンベロープ特性が良いとか、足まわりの設定がちょうど良いところをついているのでしょうね。

旧型も優れたハンドリングでしたが、後ろ側で小さいものを引っ張っているような、リア15インチの「小径感」がありました。新型のタイヤサイズは旧型と一緒ですが、新型ではその「小径感」がなくなっていました。一般的なスポーツバイクに比べれば、小径であることには変わりないので、若干ロール方向の動きに軽さはありますが、リアが小径であることを強く意識することはなかったです。

画像1: ホンダ「X-ADV」インプレ(談・伊藤真一)

サスペンションはストロークのときに、どちらかと言うと吸収方向に動いていて、動きがとても滑らかです。ホイールベースは長めで、後ろ側が長いため船のような動きがします。リアが主体で、リアが沈んで前が沈んで…みたいな。でもその感覚が悪いわけではなく、乗り心地の良さに繋がっています。

特にリアサスの「ライド感」が良いですね。タイヤの空気圧からは考えられないくらい、吸収性が良かったです。なんと言えばいいのか…懐が深いと言いますか…。プロリンクのモノショックですけど、意外とレシオがフラットで、そんなに奥で硬くなったりしないですね。今回のテストではちょっと荒れた路面の林道でも走ったのですが、路面のミューが低いところって、駆動力をかけ続けないといけません。

新型X-ADVは、それがすごくやりやすかったですね。ホイールとブレーキ、そしてフォークやスイングアームなどのサスペンションは、旧型で使われているものの構成と諸元を継承しているそうですが、新型の方が良く感じてしまいました。新型はフレームが設計変更され、旧型よりも軽量化されていますが、新型フレームは旧型の印象と比べると全然ねじれもなく、柔らかすぎない、ちょうど良い剛性感がありました。操舵の遅れもなければ、リア小径独特の操舵のクセもないです。

画像: 「高速道路を走るときは、スクリーン位置を上げた方がいいですね。低いとちょっと辛いです」と伊藤さん。なおX-ADVのスクリーンは、工具を使わずに位置調整が可能です。

「高速道路を走るときは、スクリーン位置を上げた方がいいですね。低いとちょっと辛いです」と伊藤さん。なおX-ADVのスクリーンは、工具を使わずに位置調整が可能です。

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