油冷でも変わらぬ基本を外さないように手をかける

1978年から始まった鈴鹿8時間耐久ロードレース。その8耐が3回目を迎えた’80年に、第1回の優勝コンストラクターであるヨシムラが送り込んだGS1000R。この車両は、その’80GS1000Rをモチーフに仕立てたレプリカ・カスタムだ。ベース車両は油冷エンジンを鉄フレームに積んだスズキGS1200SS。これ自体がすでにGS1000Rモチーフではあったが、手を入れたブライトロジックではさらに全体の雰囲気を大きく高めた。

同店では1995年の創業以来、多くの車両を手がけてきていて、’70年代末のGS750/1000からGSX1100Sカタナに、油冷/水冷のGSX-Rシリーズ(750/1000/1100)、ハヤブサ…。機種もさることながらバリエーションも多彩に、多くのヨシムラレーサー・レプリカも作ってきた。そこには代表の竹中さんが初代GSX-R750登場時から全日本選手権やAMAスーパーバイクといったレースにヨシムラメカニックとして携わってきたことも大きいだろう。当時の本物がどんなパーツを、どんな理由から使っていたのか。どう作って、どう装着してきたのか。中には、時間を主とした制約の中で作られたものもあった。そんなレーサーの、ライダーが速く走れることという作りを熟知しているのだ。

一方でストリートにその形をフィードバックするとともに、そこで必要な機能にも目を配るというのが、同店らしいところだ。「当時の油冷を初め、最先端を走るレーサーは限界を探るためにいろいろ試したりしているわけです。でも、レーサーでもストリート車でも、どうするとバイクとしてきちんと動くか。それをしっかり考えて、作業に反映する。これが一番大事なんですよ」という竹中さんのシンプルな言葉には、それが現れている。

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GS1200SSの場合でも、鉄フレームに2本ショック、油冷エンジンと、どこもがシンプルで剛健な作り。逆に言えば、シンプルだからこそ、竹中さんの言うような内容をしっかりやりたい、やれば効果が出るということになる。そこをクリアした上で、当時を彷彿させる外装やタンク、ホイールまわりにブレーキをチョイス。これらのパーツにしても、今供給できる新品を、合目的で選びつつ、全体の雰囲気を壊さないようにしている。こうした、内からと外からの両面で確実な目と手が入り、まったくの破綻がなく仕上がっているわけだ。

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フロントカウルやタンクカバー&インナータンク、シートカウルは刀鍛冶によるFRP製キットで、装着に当たってはキットの指定位置でなく、ブライトロジックで現車に合わせて位置決めした上でステー類を起こし直して装着。ここが一番大変だったと竹中さんは言う。

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大型のアナログ回転計を中央付近に置くメーターまわりはGS1200SSのノーマルだが、GS1000Rに近い雰囲気を醸し出している。左右マスターシリンダーはブレンボRCSで、ウインカーもレーサーの雰囲気を保ちつつストリートでしっかり機能する小型タイプを装着した。

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耐久レーサーとして装着義務のあるテールランプ(この車両ではブレーキランプとしても機能)やブリーザーホースの見せ方も現車そのままだ。ND(日本電装)やフロントのRKステッカーは当時の写真を元に起こしたもので、こうした細かい部分の再現にも配慮している。

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油冷のDOHC4バルブ1156ccエンジンはGS1200SSのノーマルで、シリンダーヘッドカバーやクランクケースカバー類の結晶塗装は車両オーナー自身が手がけている。オイルキャッチタンクはヨシムラ。フレームまわりもGS1200SSのノーマルで、GS1000Rにもよく似ている。

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キャブレターはGS1200SSなど油冷にも好相性のヨシムラミクニTMR-MJNで、ここにもGS1000Rのミクニ丸ボディキャブレターの雰囲気も持たせる。

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マフラーは社外4-1+アルミサイレンサーで、GS1000Rの4-1スチール+アルミモナカサイレンサーのオールつや消し黒仕様を再現した。

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フロントフォークはGS1200SSの純正φ43mmで、フロントブレーキキャリパーは当時を彷彿させるAP・CP2696キャリパーを、GS1000R同様にボトムケース前側にリーディングマウント。ブレーキディスクにはフローティングピンやインナーの形状も近いサンスター・ネオクラシックをチョイス。

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リヤブレーキキャリパーもAP製対向2ピストンのCP2696だが、GS1000R同様のトルクロッド下引き仕様+キャリパー上マウントのキャリパーサポートを製作。スイングアームもGS1200SS純正に下スタビを追加した。「この辺を極力元車両に合わせるのが大変でした」と竹中さん。

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ホイールはGS1000Rと同じ形状のダイマグ3本スポークで、GS1000Rの前後18インチに対してGS1200SSノーマルに同じ3.50-17/5.50-17インチを履かせた。リヤショックはアダプターを介してレイダウン装着。タイヤも当時のダンロップをオマージュして同社のロードスマート。

取材協力:ブライトロジック

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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