7月17・18日に鈴鹿サーキットで行われた「MFJグランプリ」、当初この日程は鈴鹿8時間耐久レースでした。

延期が決定し、今年はこの真夏に鈴鹿でスプリントレースが行なわれたのです。

私は8耐には、これまで2回観戦に行ったことがあり、暑い中の観戦は大変だけど、チェッカーが振られた時の達成感や、他のレースでは味わえない感動があるのでいつも楽しみにしているのですが、今回はスプリントなので長くても16周。
あっという間に終わってしまうんです!

でも、この鈴鹿で真夏のスプリントレースってどんなバトルが観られるのか、とても楽しみにしていました。

実際に、今回もどのクラスも熱いバトルや物語があり、とても面白かったのですが、1番印象に残っているのはST1000。

画像1: ST1000クラス決勝のスタートシーン。(写真/鈴鹿サーキット)

ST1000クラス決勝のスタートシーン。(写真/鈴鹿サーキット)

この鈴鹿ラウンドが始まる前のポイントリーダーは#3 作本輝介選手。前戦レース2で優勝した時の勢いや走りは圧巻で、今回も注目して観ていたのですが、予選は5番手。
いつも決勝でメキメキっと速くなる印象なのでここからどんな追い上げをするのかとても楽しみにしていました。

同じAstemo Honda Dream SI Racingチームから参戦している#37 渡辺一馬選手にも注目していて、開幕戦のレポートでも書いたのですが、この2選手のバトルに私はいつもドキドキさせられるし、凄く刺激をもらえるので毎戦チェックしています!
今季1番楽しみにしている2選手です。

そんな渡辺選手は前戦はレース2でマシントラブルによりリタイア。今回の予選では2番手ということでフロントロースタート。

ST1000クラスは鈴鹿の前まで4戦あり、全戦優勝したライダーが違いました。
ホントにバトルが多く注目したくなる選手が多いんです!

そんな中、土曜日の予選でポールポジションをとったのが#39 岡本裕生選手。

画像: 予選記者会見後のフォトセッションでの笑顔。

予選記者会見後のフォトセッションでの笑顔。

今回初めて予選の記者会見に出席したのですが、予選はポールポジションをとった人のみがこの記者会見に出ます。
決勝は表彰台に上がった3人ですが、予選は1人だけ。岡本選手がコメントしているところをちゃんと見たのも初めてでしたが、凄く冷静に素直に考えながら話されているのが印象的でした。
「日曜日にスポーツ走行にこれて、慣れていない鈴鹿。このレースの為の練習というコンディションではなかったけど、そこで走れた事が今回繋がったと思うので、その環境を作ってくれたチームにホントに感謝しています」とチームへの感謝を最初に話されていたのです。

またST600での経験はあってもST1000での鈴鹿。しかもこの暑い中の予選という内容の話もされていて、マシンによって全然違うと話していた言葉からその大変さをとても感じました。

どうなるかホントにわからないと言いながらも、落ちついていたり。でも明日頑張るぞ!という雰囲気もあって、話している姿から気持ちが伝わりやすく、ちょっと明日の走りも期待しながら観てみようと思う記者会見でした。

決勝は日曜日の1番最後のレース。
11周という短い周回数で行われます。

画像2: ST1000クラス決勝のスタートシーン。(写真/鈴鹿サーキット)

ST1000クラス決勝のスタートシーン。(写真/鈴鹿サーキット)

スタートに向けて選手がグリッドにつく中、タイヤのフロントはハード・リアがミディアムを選んだ選手が多い中、3番グリッドスタートの#7 津田 拓也選手だけがソフトを選んだという解説が流れました。

予選の記者会見でも岡本選手は「津田選手はタイヤが減っても上手く走っているので、そこは盗んでレース後半もタイム落とさないように走りたい」と言っていたのが浮かび、津田選手の戦略も気になりました。

4番グリッドの#14 渥美心選手もいつもアグレッシブな走りをしているし、7番手スタートの#40 南本宗一郎選手も確実にポイントをとっている選手なので気になる!って、もうホントに始まる前はドキドキワクワクが止まりません。

レーススタートし、前に出たのはなんと#3 作本選手。その後に#39 岡本選手、#7津田選手という並びだったのですが、作本選手のものすごいスピード、勢いに思わず目が見開いてしまうほどでした!

ストレートの速いCBR1000RR-Rに乗る#37 渡辺選手が1周目のバックストレートで3位に上がり、ホームストレートを過ぎていく頃には2番手までポジションアップ。
同じくポジションアップしたのは#14 渥美選手。

ここから作本選手はトップタイムのまま1位で逃げていくのですが、そんな中どんどんペースを上げていったのは渥美選手。
渡辺選手をスプーンでパスしてから2番手に浮上し、作本選手を上回るタイムを出して近づいていきました!

5周目では予選よりも速いタイムを叩き出し、もう実況でも「凄い速さ!」という言葉が出るほど。2人のバトルにみんなが釘付けに!!

その周の日立Astemoシケインで渥美選手が作本選手をオーバーテイク!
「わぁ!」と鳥肌が立つも、その後すぐのホームストレートで作本選手も抜き返し、バトルはどんどん熱くなっていきました。

もう外の暑さ以上の熱を感じるバトルに見ているだけで手に汗握るほど。

そんなバトルをしているとタイムは落ちるので徐々に3番手を走る#37 渡辺選手や#39 岡本選手もトップに近づいていきます。

画像: 写真/鈴鹿サーキット

写真/鈴鹿サーキット

ラスト5周となったところでトップ争いの2選手のタイムがバトルの影響もあり2:10:579まで落ち、今度は渡辺選手が2番手を走る渥美選手にしかけます。ホームストレートでは他のマシンより約10km/h速いCBR1000RR-Rの速さをいかしバックストレートで渥美選手をパス。

渥美選手も負けじと得意の第4セクターにある日立Astemoシケインで仕掛けるのですが、なんとブレーキングでアウトから抜いていき、一気に作本選手にも近づきまたトップ争いに!!

もう瞬きもする暇も与えないくらいの展開だったのですが、ラスト4周という周回のデグナーで渥美選手が転倒。それに巻き込まれた作本選手も転倒する形となり、トップ2台がリタイアに!!!

「あぁー!」と心の中で叫んでしまったのですが、バトルはこのトップ争いだけでなく、ここからまだまだチャンスがきた!勝つぞ!と聞こえてきそうな走り、熱いバトルが始まるのです。#37 渡辺選手vs #39 岡本選手のトップ争いに加え、3番手争いの#40 南本選手vs #15 伊藤勇樹選手。

ラスト3周という中で抜きつ、抜かれつ。
この暑い中でタイヤのケアもしながら、バトルをしたり、逃げたり。
最後まで目が離せない展開でした!

この熱い熱いバトルの中、優勝したのは#37 渡辺一馬選手。2位に#39 岡本選手、3位南本選手でした。

画像: ST1000クラス決勝 暫定表彰式(写真/鈴鹿サーキット)

ST1000クラス決勝 暫定表彰式(写真/鈴鹿サーキット)

画像: 左から岡本選手、渡辺選手、南本選手。 記者会見後のフォトセッションです!

左から岡本選手、渡辺選手、南本選手。
記者会見後のフォトセッションです!

渡辺選手は今季初2勝したライダーになり、ランキングもトップ!凄く嬉しそうにアウトラップ走る姿はとても印象的でした。

記者会見で渡辺選手は「前戦の筑波のリタイアが僕自身凄く悔しくて、でも僕だけではなくチーム全員が、もしかしたら僕以上に悔しい想いをしたスタッフもいたと思うんですけど、この悔しい想いをどうやってはらそうと考えてトレーニングをしたし、チームも勝たせようと頑張って、ホントに一生懸命仕事をしてくれて、、、。」と前戦の悔しさから今回チームみんなで頑張り、その感謝と嬉しい気持ちを伝えていて、その言葉や表情から凄く伝わってくるものがあり、感動してしまいました。

画像: レース後にチームの方とハグをして喜びを分かち合う渡辺選手。

レース後にチームの方とハグをして喜びを分かち合う渡辺選手。

リタイアした筑波のレースで優勝したのは作本選手。同じチームでシリーズランキングでもトップ争いをしていたり、それぞれのメカニックさんなどいろいろ想いがあるのかなとも感じる中で、こうやって一丸となって戦える事、そして「勝ちきることができて良かった」と言える渡辺選手の言葉の重さ。他のライダーの"若さ"やアグレッシブさも凄く感じたレース内容で、自分の得意な所、苦手な所もわかった上で自分のペースで走れたとも話されている内容から冷静な判断とベテランらしさ、強さも感じました。

画像: 渡辺一馬選手の記者会見の様子。

渡辺一馬選手の記者会見の様子。

あれだけの熱いレースで冷静にタイムを考えて走るってホント凄いですよね!!!

でも、そんなコメントの中で「作本選手はたぶん9秒前半くらいですよね?! 速かった」という言葉があり、凄くここは気になったポイントでした。

もし、作本選手が巻き込まれなければ、どんなレース展開になっていたのか。
あのスピードが出せて、どういう走りを最後していたのか。渡辺選手の言葉から凄く今季残りのレースの作本選手の速さ、走りが気になったし、この同じチームでの先輩・後輩バトルがより楽しみになりました!!!

2位になった岡本選手は「前半で速さがなくて、抜かれたので、後半仕掛けるためにも頑張ってついていって、最後の方は渡辺選手とバトルも出来たのですが、、、。
ラスト2周らへんで、閉めたはずの前のファスナーが開いてきて、、、焦ってなんとかしようとしたけど、(胸部)パットも最終的には落ちてしまって、、、それどころじゃなかった」と。

画像: 岡本選手の記者会見の様子。

岡本選手の記者会見の様子。

ライダーから何か落ちたなとモニターで見て思っていたけど、まさかそんな事が起こっていたとは思わずびっくりで、記者会見の雰囲気もみんな「ええー!」と思わず声が出てしまう空気に。

*この後、この事ではなくペナルティが課せられ順位が変わった為、このレースでのポイントは無くなったそうです。

画像: 南本選手の記者会見の様子。

南本選手の記者会見の様子。

3位の南本選手は「地元鈴鹿で予選はトラブルもあり、全然ダメで、決勝も前半は全然追いついていけずだったけど、後半でトップ争いにも近づけたのは良かったから次に繋げたい」と話されていたのですが、そんな南本選手の言葉の中で1番印象に残っているのが「あと2戦しかなくて、次は岡山であんまり得意じゃないんですけど、まぁ、もうそんなもの関係ないんで、最初から"ぶっ飛ばして"次こそは勝てるように頑張りたいと思います!」という力強いコメント。若手ライダーらしいなと感じたのですが、この後冷静にメーカーさんとスポンサーさんへの感謝を伝えて締めていたこのギャップに南本選手らしさやAKENO SPEEDらしさみたいなのを感じ、凄く応援したくなりました。

今回の記者会見を通して、岡本選手や南本選手の走りではわからない、この言葉の使い方や伝え方が素敵で、走りとはまた違った魅力を感じてまた推し選手が増えそうに!笑

このライダーそれぞれの個性をもっと沢山の人と共有できたらいいのに。と改めて感じたレースと記者会見でした。

でもホントに今季のST1000は熱いのであと2戦も凄く、凄く!楽しみです♪

真夏の鈴鹿でチャンピオンが決まったのがJSB1000クラス!

全日本のトップクラスがまさかの、この夏の大会でチャンピオンが決まるなんて思ってもいなかったのですが、ある意味歴史に残る瞬間だったし、それを鈴鹿で観られてよかったなと感じました。

チャンピオンを獲ったのは今季7勝し、圧倒的速さを毎回魅せていた中須賀選手。
もう今回の2レースもさすがとしか言えない走りで両レース優勝してチャンピオンを決めてしまいました。

画像: JSB1000クラスのチャンピオンを獲得した中須賀克行選手のウイニングラン。(写真/鈴鹿サーキット)

JSB1000クラスのチャンピオンを獲得した中須賀克行選手のウイニングラン。(写真/鈴鹿サーキット)

正直、レースを観ていて「また中須賀選手が勝っちゃったな」と何回も思ったことがあるし、1位以外のレースを観て楽しむこともあったのですが、今回の記者会見での中須賀選手の言葉から、ライダーとしての凄さを改めて実感しました。

中須賀選手は私が観た記者会見では、どのレースも自分は最初どこでしかけようと思って走っていて、抜いたあとも全力で逃げ、みたいに状況をわかりやすくお話されるのですが、最初からちゃんとイメージできて戦っていて、その通りにレースを運べているんだなと毎回思うんです。

でも、これがライダーのお仕事だし、いろんな声があってもそれをまっとう出来るメンタルの強さ、「自分が負けた時は引退の時だと思うけど、いつとかじゃなくて、自分のやるべき事をやって、それを追い越していくやつがでてこないといけないし、それまでは全力でやりきる!」と話されている力強い言葉から凄くパワーと王者にしか出ないオーラなどを感じ、ここまで出来るからこその、60勝あげることのできる選手なんだと感じました。

JSB1000のレースは土曜日に1レース。日曜日に1レースの2レースが行なわれたのですが、そんな中で私が印象に残っているのは#25 名越選手の走り!

レース1では2位になり、JSB1000クラスでは初表彰台に!!!

画像: JSB1000クラス、レース1の名越選手。(写真/鈴鹿サーキット)

JSB1000クラス、レース1の名越選手。(写真/鈴鹿サーキット)

画像: JSB1000クラス、レース1の表彰台。(写真/鈴鹿サーキット)

JSB1000クラス、レース1の表彰台。(写真/鈴鹿サーキット)

今季私は開幕戦のもてぎ、鈴鹿の2&4を現地観戦し、あとはYouTubeの配信で観ていたのですが、ルーキーイヤーの名越選手に注目していました。
これまでは中々上手くいかず、リタイアしてしまったり、やっぱりルーキーの年はいろいろと難しいんだろうなと応援しながら観ていたんです。
でもこの鈴鹿のレースは目が離せなくなるくらい攻めた走りを魅せていて、凄くかっこよかったのです!

レース1はセーフティーカーが入る場面もあったのですが、冷静にでもアグレッシブにどんどんオーバーテイクしていき、ラスト4周というところで2番手になり、そこから逃げきり2位に。

レース2も3番手スタートから最初は6番手まで落ちてしまったのですが、そこから4番手まで上がり、3位争いをしたりと名越選手の走りに釘付けでした!

レース2は表彰台には1歩届かず、4位という結果に。

画像: 名越選手の記者会見後のフォトセッションでピースサイン。

名越選手の記者会見後のフォトセッションでピースサイン。

レース1の記者会見では「前半戦は苦戦してきて、フラストレーションが溜まる中、チームとともにマシンと自分のライディングを詰めてきて、今までタイヤを上手く使えなかった所が課題だったけど、今回この時期の鈴鹿ということで温度があるなら自然と潰れてくれる中で、ウィーク入ってから感触も良く、表彰台は狙えると思っていました。今までは単独走行が多かったけど、今回はグリップのあるうちに前に出て沢山のライダーと集団で走ることで、そこから学んで、、、。」とルーキーらしい、謙虚さと2位で走りながらとにかく情報を集めながら、感じながら走っていたんだなと名越選手らしい落ち着いたコメントに、あんなスピードでこんなに考えて走っていたことに、改めてライダーの走りの深さ、凄さを感じました。

今回のJSB1000とST1000には解説で渡辺一樹選手がコメントされていて、「中須賀選手はコンパクトに走るラインなので、中須賀選手にとっては鈴鹿サーキットは5.821kmじゃないと思います」や「8耐は繋げる意識だけど、スプリントは抜かないといけない」などライダーだから言える言葉や説明と、好スタートをきった#10 加賀山選手をみて「さすが!」と思わず出る視聴者目線の言葉もあり、凄く面白かったのです。

画像: JSB1000クラス、レース2。(写真/鈴鹿サーキット)

JSB1000クラス、レース2。(写真/鈴鹿サーキット)

渡辺一樹選手の走りも観たかった気持ちもありますが、こうして解説を聞きながら観ることが出来て、楽しかったです♪

まだまだ書きたりない熱いバトルも沢山あって、ホントに見応えのあるレースだったので気になった方は是非MFJ Liveチャンネルでチェックしてみて下さいね!

実は今回は客席から観ることができず、メディアセンターからモニターとホームストレートを通過するマシンの音を聴きながらの観戦でした。

画像: メディアセンターでパシャリ。 暑い中の熱いレースでしたが、涼しい環境でした。笑

メディアセンターでパシャリ。
暑い中の熱いレースでしたが、涼しい環境でした。笑

モニターからでも伝わる熱い走り!
また中々夏に観ることのできない鈴鹿のスプリントレースは、凄く印象強い内容だったなと感じました。

JSB1000はチャンピオンが決まってしまいましたが、ベテラン選手に挑むルーキー選手や、ST1000の熱いバトル。
今回は書けませんでしたがST600の戦略バトルもホントに面白かったので、今季あと2戦もどうなるか凄く楽しみです( › ·̮ ‹ )♪

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