純粋なモーターサイクルのEV(電動車)のみ・・・ではなく、ハイブリッド車そのほか様々な古今東西の「ローエミッション」な2輪車を紹介する連載企画。今回は2輪電気スクーターとして、国内初の型式認定取得をしたヤマテES600をご紹介します。
文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)
※この記事は「ロレンス」で2021年5月30日に公開されたものを転載しています。

2輪電気スクーターとしての市販も国内初でした

1993年6月にヤマテ工業にて生産および販売されたヤマテES600は、日本で初めて運輸省(当時)により型式認定を受けた(1993年5月)2輪電気スクーターです。

1991年度から中部電力、九州電力、そして東京アールアンドデーの3社は、共同で2輪電気スクーターの商品化について研究開発を行ってきましたが、その成果がES600でした。なおES600はホンダの2輪電動スクーター、CUV ES(シーユーヴィ イーエス)の1年先に、国産2輪電動スクーターとして市販の快挙を成し遂げたことになります。

1993年発売のヤマテES600は、1994年にグッドデザイン賞と日本産業デザイン振興会会長賞受賞を受賞しています。

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ヤマテES600は、スクーターでおなじみのユニットスイング方式で、ICE(内燃機)の代わりに定格0.58kwのDCブラシレスモーターを搭載。なお運転に必要な免許は、原付一種でした。バッテリーはメンテナンスフリーの密閉式で、シートを開けると中から取り出せるコードを家庭用100Vにつないで充電することができます。

充電時間は残量ゼロから満充電まで約8時間。1回の充電での航続距離は60km(30km/h定速走行時)で、1993年には東京-三重・鈴鹿の約500kmを走行するチャレンジが行われ、14日間で走破した記録が残っています。

フルフェイスヘルメットが入る、シート下収納スペースが与えられてました!

初期の2輪電気スクーターはシート下収納スペースを動力用バッテリー置き場に使う例が多かったですが、ES600は底がフラットで、フルフェイスヘルメットを入れても余裕があるヘルメット下収納スペースがあり、日常での実用性を追求していたのが特徴でした。

こちらは後期型のヤマテES600Ⅱです。

commons.wikimedia.org

なお1997年には、再び長距離走行チャレンジとして日本縦断が企画されており、見事45日間で約3,000kmを走破しています。

1993年当時のICE50ccスクーターはだいたい13万円くらいだったのに対し、ES600の販売価格は59万6,000円もしました。かなり高額なスクーターといえるES600ですが、近代の国産2輪EVの先駆としてその歴史的価値は高いでしょう。

ヤマテ ES600 主要諸元
型式 A-RDE24 全長×全幅×全高 1,690×680×1,010mm 軸距 1,205mm シート高 680mm 最低地上高 130mm 車両重量 117kg 乗車定員 1名 登坂能力 tanθ 0.33 一充電走行距離 60km(30km/h定速走行時)
原動機種類 DCブラシレスモーター 定格出力 0.58kW 制御方式 PWM方式 電池 専用・密閉型亜鉛蓄電池 総電圧容量 48V・30Ah 充電器 専用 2段定電流 車載形 充電電源 AC100V(単相) 5A
標準充電時間 8時間 変速機形式 無断変速
タイヤ(前・後) 専用・3.00-10-4PR サスペンション 前 ボトムリンク式サスペンション 後 ユニットスイング式
価格 59万6,000円

文:宮﨑健太郎(ロレンス編集部)

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