日本が誇る二輪車メーカー4社は世界各地で高い評価を得ている。そして日本市場では正規販売されていない機種が海外では数多く展開されてもいる。この連載では、そんな知る人ぞ知るモデルをフィーチャー。今回は中国で展開されている五羊ホンダ・CB190シリーズにフォーカス!
文:小松信夫

中国の五羊ホンダが販売する「CB190」シリーズ

この間はインドとアフリカが最後のローカルモデルの楽園みたいなこと書いてましたが、私、コロっと中国のことを忘れておりました。世界最大の14億人という人口を抱えるこの国は、もはやローカルといえない途方もない市場規模。だからこそ、独自の進化を許すだけの余裕がある訳ですが。

画像1: 中国の五羊ホンダが販売する「CB190」シリーズ

今回取り上げたいのは、ホンダの中国における二輪車生産・販売合弁会社である五羊ホンダが生産・販売している「CB190シリーズ」。このシリーズには「CB190SS」「CB190X」「CB190R暴锋眼」というバリエーションが揃ってます。

画像2: 中国の五羊ホンダが販売する「CB190」シリーズ

五羊ホンダは、輸入モデルとして「CB400X」や「CB400F」といった2気筒CB400系や、日本で販売されているレブルやCB250Rの300cc仕様の「CM300」「CB300R」、スクーターの「NSS350」という、いわゆる中型モデルを扱っている。これらの価格はだいたい3〜5万人民元前後(現在のレートで約50〜85万円に相当)。富裕層はともかく、一般的な中国人ライダーにとって、これはちょっと高級な存在らしい。

画像3: 中国の五羊ホンダが販売する「CB190」シリーズ

価格帯的に考えて、東南アジアなどと同じく、中国で人気のあるのは200〜125ccクラスということのようだ。五羊ホンダも力を入れていて、中でも注目されている最上級モデルが「CB190シリーズ」ということになる。その価格設定(参考価格)は、最も高い「CB190SS」で1万6980人民元、「CB190X」が1万6680人民元、「CB190R暴锋眼」だと1万6180人民元。どれもほぼ30万円前後、中型モデルたちより大分お手頃価格となっているようで。

画像4: 中国の五羊ホンダが販売する「CB190」シリーズ

「CB190シリーズ」のこの価格は、インドのホーネット2.0や、前々回紹介したXR190Lなどに搭載されているものと同系列の、扱いやすく経済的なPGM-FI仕様の184cc空冷単気筒エンジンをはじめ、幅広く採用されている基本的なメカニズムを共用することで実現。しかしスタイルも機能も、3車3様の個性的なモデルに仕立てられているのが面白い。

画像: 五羊ホンダCB190SS

五羊ホンダCB190SS

「CB190SS」はCBシリーズの伝統と現代的なディテールをミックスしたような、洗練されたモダン・カフェレーサースタイルが特徴。

画像5: 中国の五羊ホンダが販売する「CB190」シリーズ

ヘッドライトはLEDを採用し、フロントフォークは倒立だが、前後ホイールはスポークと、巧みに新旧のディテールを合体。各部の質感も高く、中国でも「CB300R」が販売されている新世代CB系とも一味違った、魅力的なルックスに心惹かれる人も多いだろう。

画像: 五羊ホンダCB190X

五羊ホンダCB190X

「CB190X」は個性的なフロントマスクなど、中国でも販売されている「CB400X」をそのまま縮小したような軽量クロスオーバー・ツアラー。

画像6: 中国の五羊ホンダが販売する「CB190」シリーズ

快適性重視のツアラーらしく防風効果を重視したスクリーンやハンドガードを装備し、パニアケースやトップケースもオプション設定されている。フロントフォークはシリーズで唯一の正立フォーク。

画像: 五羊ホンダCB190R暴锋眼

五羊ホンダCB190R暴锋眼

「CB190R暴锋眼」は、〝暴锋眼〟という漢字ネーミングのインパクトが強烈。直訳すると「ストームフロントアイ」となるが、これはシリーズ屈指のスポーティなイメージの、シャープでアグレッシブなスーパーネイキッド的スタイル、その特徴的なフロントマスクのことだろうか。

画像7: 中国の五羊ホンダが販売する「CB190」シリーズ

斬新なスタイルに加え、レプソルカラーをはじめとするスポーティなカラーバリエーション、ゴールド仕上げの倒立フォークなど、若いライダーの心を掴むディテール満載だ。

中国には「新大洲ホンダ」もあり、似たような機種を展開

ややこしいのは、この「CB190シリーズ」と基本的に同じメカニズムを採用しながら、やはりホンダと合弁している新大洲ホンダが生産する「CBF190シリーズ」の存在。しかも同じような3タイプをラインナップしているというね。

画像: 新大洲ホンダCBF190R

新大洲ホンダCBF190R

五羊ホンダの「暴锋眼」は新大洲ホンダの「CBF190R」と、カラーリング以外はほぼ同じに見える。新大洲から供給されてるということか?

画像: 新大洲ホンダCBF190TR

新大洲ホンダCBF190TR

ネイキッドの「CBF190TR」は、クラシカルさを強調した五羊のネイキッド「CB190SS」とは別物。ちょっと「CB300R」寄りなモダンな雰囲気だ。

画像: 新大洲ホンダCBF190X

新大洲ホンダCBF190X

五羊の「CB190X」に相当するクロスオーバーモデルの「CBF190X」は、同じように見えていろいろ違うところがある…この辺の五羊と新大洲の住み分けというのが、どうも判然としないんです。完全に統一した方が良さそうな気もしますが、歴史的経緯とか大人の事情とか、大陸国家的なイロイロがあるんですかねぇ。

文:小松信夫

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