遠くまで乗るためのチューブレス化が原点

カスタムという楽しみと言葉がバイク界に認知されてきた1990年代中盤。このカワサキZ1R-llはその当時各地で増えていたカスタム系ツーリングクラブのひとつ、ランブルフィッシュの中村さんが手がけたプライベートカスタムだ。足まわりの変更など、今のカスタムにもつながる思想が見て取れるが、この車両では当時流行したワイドタイヤ化が目的ではなかった。

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「チューブタイヤでしたから、チューブレスにしたかったんですよ。遠くまでガンガン乗るから、パンクとかがいやだったんです。あの頃はまだ17インチ車から流用するなんて発想もなくて、“Zに合うチューブレスのホイールを”って探したんです。それでホイールが見つかっても、今度は当たり前ですけど、ブレーキキャリパーが付かない。だからキャリパーサポートを作るんですがここからが大変。

今みたいに普通にNCマシニングがあるわけでもないですし、材料も分からない。だから合いそうな厚みと強度がありそうなアルミ板を探して、手加工。普段もひたすら街行くバイクを見てて、合いそうなパーツを見かけると、ぐるぐる見回してメモして部品番号調べて頼んで……って、そんなことの繰り返しでしたよ。

エンジンもオイルを冷やそうとラインを外出ししてますが、それができてもゴツかったり、重さとかデメリットもありました。こうした手探りで、失敗も多かったんですよ。でもそれらの経験を整理して、改めてきちんと数値などを合わせてパーツを作ると、メリットがぐっと大きくなる。そんな学びの頃でしたね」と、中村さん。

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そう、中村さんはその後ACサンクチュアリーを開き、車両探しから依頼するオーダーコンプリートカスタムのRCM(ラディカル・コンストラクション・マニュファクチャーの略)を数多く送り出していく、ACサンクチュアリーの代表だ。そのルーツが、この車両にあったのだ。

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回転計は電気式に、ハンドルは好みでセパレートに。ヘッドライトステーはゼファー(400)流用とアルミ板の組み合わせで作ったもの。

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セトラブ13段コアクーラーで冷やされたオイルを2系統に分け、エンジン内部を通らず直接ヘッドに流れる外回しラインで熱対策した。

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ワイセコ製ピストンで[純正値:1015→]1105cc仕様に。ヨシムラST-2カム/バルブスプリング/強化カムチェーンを組み、キャブはミクニ製だ。

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フロントフォークはSTD同径のφ36mmモリワキKYB。この時点でフレームへの追加工を予定していて、それに合う高剛性フォークを探していたという。

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リヤはスイングアームがOVERアルミでサスがヨシムラKYBのTTF-1用。前後ホイールはマグネシウム鋳造品のPVMエレクトロン。ステップも懐かしのタロッティを装着した。

取材協力:ACサンクチュアリー(SANCTUARY本店)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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