80年代、時代はレーサーレプリカブームへと突入し、マシン開発はロードレースとは切り離せないものとなっていた。ヤマハがTZR250を発売し2ストロークレプリカの状況を一変させる中、レーサーレプリカの開発に着手していたホンダが生み出したのが「NSR250R」(MC16)。今なお高い人気を持ち続ける公道レーサー「NSR」の歴史はここから始まった。

市販レーサーと同時開発されたレプリカを超えたレプリカ!

画像: Honda NSR250R[MC16] 1986 総排気量:249cc エンジン形式:水冷2ストケースリードバルブ90度V型2気筒 車両重量:141kg 当時価格:55万9000円

Honda NSR250R[MC16] 1986

総排気量:249cc
エンジン形式:水冷2ストケースリードバルブ90度V型2気筒
車両重量:141kg

当時価格:55万9000円

レプリカの域を超えた公道レーサー時代の幕開け

80年代から90年代にかけてレーサーレプリカブーム期のマシン開発はロードレースと切っても切れない関係にあった。2スト250cc、4スト400ccの市販車をベースにしたプロダクションレースが人気で、この2カテゴリーが混走となる耐久レースなどでは、パワーに勝る4スト400ccが有利な状態が長く続いていた。

その状況を変えたのが、1985年11月に登場したヤマハTZR250だった。ホンダは1985年から市販レーサーRS250Rの販売を開始していたが、実は、その1987年モデルと同時進行で一般市販車の開発を進める手法を導入。そして、1986年10月にNSR250Rの市販を開始した。

RS250RやワークスNSR250Rとそっくりな出で立ちで登場した2ストローク250のNEWモデル、NSR250R。

画像: レプリカの域を超えた公道レーサー時代の幕開け

ULF(ウルトラ・ライト・フレーム)と名付けられたアルミツインチューブフレームに搭載されたエンジンは、吸気にクランクケースリードバルブを採用した完全新設計の水冷90度Vツインで、ATACからさらに一歩進んだ排気デバイスRCバルブやレスポンスに優れるフラットバルブキャブレターを採用。ある回転域から一気に力を増すのではなく、中回転域から比較的フラットにトルクが立ち上がる、新しい感覚のパワー特性を実現していた。

画像1: ホンダ「NSR250R」(MC16)歴史解説|公道レーサー時代の幕開け、レプリカを超えるレプリカの登場

エンジンは完全新設計水冷90度Vツイン。キャブレターはエンジン後方に平行に配置され、前後バンク共に前方排気となった。エンジン回転数に応じて排気タイミングを変更するRCバルブを装備した。

画像2: ホンダ「NSR250R」(MC16)歴史解説|公道レーサー時代の幕開け、レプリカを超えるレプリカの登場

車体は、スリムなエンジン幅を活かし、さらに、エンジン自体をもフレームの一部とした設計。ホンダ独自の「目の字」断面構造をもつアルミフレームの採用とあいまって、軽量・高剛性、低シート高(750mm)を実現している。

Honda NSR250R[MC16] 主なスペック

全長×全幅×全高2035×705×1105mm
ホイールベース1360mm
最低地上高135mm
シート高750mm
車両重量141kg
エンジン形式水冷2ストケースリードバルブ90度V型2気筒
総排気量249cc
ボア×ストローク54.0×54.5mm
圧縮比6.2
最高出力45PS/9500rpm
最大トルク3.6kgf・m/8500rpm
燃料タンク容量16L
変速機形式6速リターン
タイヤサイズ(前・後)100/80-17 52H・130/70-18 63H
ブレーキ形式(前・後)ダブルディスク・シングルディスク
当時価格55万9000円

※この記事は月刊『オートバイ』2021年6月号別冊付録「RIDE」の特集から一部抜粋し、再構成して掲載しています。当特集のスタッフ 文:安藤佳正、宮﨑健太郎/写真:赤松 孝、松川 忍、南 孝幸、森 浩輔/撮影協力:ホンダコレクションホール

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