ホンダ製ネイキッドのフラッグシップモデルといえるCB1300シリーズがモデルチェンジを果たし、2021年3月に発売された。この記事では新型「CB1300SF」「CB1300SB SP」の2台を比較。伊藤真一さんは何を語るのか? ぜひ最後までお楽しみください。
語り:伊藤真一/写真:松川 忍/まとめ:宮﨑健太郎/モデル:大関さおり
画像: 伊藤真一(いとう しんいち) 1966年、宮城県生まれ。1988年ジュニアから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。以降、WGP500クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。2021年は監督として「Astemo Honda Dream SI Racing」を率いてJSB1000などに参戦。

伊藤真一(いとう しんいち)
1966年、宮城県生まれ。1988年ジュニアから国際A級に昇格と同時にHRCワークスチームに抜擢される。以降、WGP500クラスの参戦や、全日本ロードレース選手権、鈴鹿8耐で長年活躍。2021年は監督として「Astemo Honda Dream SI Racing」を率いてJSB1000などに参戦。

Honda CB1300 SUPER FOUR
総排気量:1284cc
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:780mm
車両重量:266kg

税込価格:156万2000円
発売日:2021年3月18日

Honda CB1300 SUPER BOL D'OR SP
総排気量:1284cc 
エンジン形式:水冷4ストDOHC4バルブ並列4気筒
シート高:790mm
車両重量:272kg

税込価格:税込204万6000円
発売日:2021年3月18日

ホンダ「CB1300SUPER FOUR/SUPER BOL D'OR SP」インプレ(伊藤真一)

スロットルバイワイヤの採用で、よりジェントルになった新型CB1300シリーズ

ついにCB1300SFとSBも、TBW=スロットルバイワイヤライディングモードを採用しましたね。一体どのような制御になっているのか? それが一番興味がありました。

CB1300系のTBWとライディングモードは、スーパースポーツのCBR1000RR-Rや、CBR600RRとは、かなり異なる「味付け」になっていますね。スーパースポーツ系に比べ、CB1300系のエンジンはそんなに高回転まで回りません。

大排気量が生み出す、トルクで走ることを楽しむタイプのエンジンですね。車体も鉄フレームのダブルクレードルで、ネイキッドらしいオーソドックスな車体構成なので、モデルの性格に合わせた設定だと思いました。

画像1: ホンダ「CB1300SUPER FOUR/SUPER BOL D'OR SP」インプレ(伊藤真一)

スーパースポーツ系の場合、公道では主にスタンダードを選択することが多いですが、CB1300ではスポーツを選んで走る方が自分のフィーリングには合いましたね。

スポーツの方が、スタンダードに比べるとスロットル戻し側のエンブレの効き方が弱いです。一方スタンダードの方は、もうちょっとゆっくり戻ると良いのに、と思いました。

前の型の1300はむしろエンブレが弱い印象でしたが、新型ではスロットル戻したときにかなり段差のある回転の落ち方をするので、燃料カットをしているのかもしれません。減速のときに燃料カットの制御をするのは、触媒の問題があります。

カットしないと、触媒の温度が上がって駄目になってしまうのです。エンブレの効き方は人それぞれの好みもありますが、スポーツを選択したときはエンブレの効き方がスタンダードと同じ傾向にはあるものの、スタンダードよりはガクンと落ちないので、ギクシャクせずにスムーズに乗れました。

スロットルを開けたときは、前の型のようにトルクがドンと出る感じがなくなりましたね。それはスポーツもスタンダードも同じでした。前の型よりもスムーズで、ジェントルになった印象です。

スーパースポーツ系や初代からTBWを採用していたCB1000Rに比べると、1300は市街地での移動などの普段使いやツーリングで走らせたとき、扱いやすいトルクの出し方にしているのでしょうね。TBWで低回転から高回転まで上手くつないだという印象です。

SPとスタンダードを乗り比べて改めて気づいた、スタンダードの足まわりのバランスの良さ⁉

トルクがドンと出る感じをTBWで抑えるというか、上手くつないだと言うと、バイクとして面白くなくなったと受け止める人もいると思います。

ですが、いつもこの連載でも言っているように、それは使い方の問題ですね。スロットル開ければトルクはちゃんと出るので、なかったら開けてください、という話です(笑)。

新型はHSTC(ホンダ・セレクタブル・トルク・コントロール)も新採用していますが、1300はいつ効いているのかわからなかったです。

他のスーパースポーツ系に乗っているときは、バリバリトラコンに当てて…みたいな感じになるのですが、1300ではいつ介入しているのか? という感じでした。

走らせている最中に違和感を覚えることがないので、良いことだと思います。あと印象的だったのは、ギアの精度が上がっていますね。

ニュートラルに入れやすいし、バックラッシュも少ない。アシストクラッチのフィーリングも良くなっていますし、燃費も前の型よりも向上していますね。

車体に関しては、スーパーボルドールはSP、スーパーフォアはスタンダードを試乗しましたが、足まわりの違いやカウルの有り無しでの走りの違いを、それぞれチェックすることができました。

画像: ▲2020年にCB1300SF SPに試乗している伊藤さん。

▲2020年にCB1300SF SPに試乗している伊藤さん。

SPモデルに乗るのは前の型のCB1300スーパーフォアSPを取り上げたとき以来です。前回の試乗では峠道でスーパースポーツを走らせるようなハイペースのときに、ハンドルバーを固定するホルダーのラバーマウントによって、ステアリングまわりのダイレクト感の薄れが気になりました。

ですが、今回の試乗ではラバーの存在は意識するものの、かなり締め込まれた感じがしました。

ただ、やっぱりCB1300のSPモデルは、スーパースポーツのように激しく攻めて走らせるモデルではありませんね。ハンドルをリジッドマウントではなく、振動を抑えるラバーマウントにしているのは、快適性の方を優先しているわけですから。

SPはオーリンズの前後サスペンションと、フロント側にブレンボのブレーキを採用するのが特徴です。スタンダードと比較すると、ブレーキはブレンボの方が初期タッチが良いですね。

1300は車重がありますが、SPのブレンボは峠道をガンガン攻めてもフェードするようなことは全然ありませんでした。オーリンズの前後サスは路面からの衝撃のいなし方とか、乗り心地がスタンダードよりも良いですね。

ハイペースで走らせたときに少し接地感が足りない気がしたので、アジャスターを調整してみたのですが、いろいろ細かく自分のフィーリングや走り方に合った設定に幅広く調整できることは、オーリンズを採用することの大きなメリットです。

ただ今回、SPとスタンダードの足まわりを乗り比べてみて感じたのですが、スタンダードはスタンダードでちゃんと接地感もしっかりあって、非常にバランスの良い足まわりに仕上がっていると感じました。

こだわって、サスペンションセッティングを楽しめるのがSPの魅力!

画像2: 【比較インプレ】ホンダCB1300SF・CB1300SB SP(2021年)|伊藤真一のロングラン研究所

スーパーボルドールSPで峠道を走った際、オーリンズ製サスはフロント3段ずつ、リア2段ずつコンプレッションを上げました。

その結果、自分のペースではだいぶスポーティに走れるようになりましたね。フルアジャスタブルサスの中には、設定をイジるとここは良くなるけど、ここが悪くなる…みたいな製品もありますが、このSPに採用されたオーリンズはそういうことがない。サス調整にこだわりたいタイプの方には、SPをお勧めしたいですね。

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