同じ空冷シングルの400ccクラスというだけで、GB350とSR400はそれぞれに違った個性を備えている。この記事では、あらゆる項目を比較していく。記事末では人気モデル投票も実施中!
文:太田安治、木川田ステラ、オートバイ編集部/写真:南 孝幸

GB350・SR400比較インプレ(太田安治)

画像1: GB350・SR400比較インプレ(太田安治)

YAMAHA SR400 FINAL EDITION

総排気量:399cc
エンジン形式:空冷4ストSOHC2バルブ単気筒
シート高:790mm
車両重量:175kg

発売日:2021年3月15日(月)
税込価格:60万5000円

Honda GB350

総排気量:348cc
エンジン形式:空冷4ストOHC単気筒
シート高:800mm
車両重量:180kg

発売日:2021年4月22日(木)
税込価格:55万円


シンプルな魅力のGB350とロマンあふれるSR400

SR400の生産終了と入れ替わるようにGB350が現れたが、これはホンダが狙ったことではない。基本設計が古いSRは環境規制強化やABS義務化などの安全基準対応が難しいうえ、一定数のファンはいても販売台数は多くない。冷たい言い方をすれば、時代に合わない存在になっていたのだ。

一方のGB350は、世界最大の二輪市場であるインドでロイヤルエンフィールドがリードする中型車のシェアを奪うことと、グローバル展開を前提にユーロ5規制を見据えて企画された。開発陣はSRを意識さえしなかっただろう。単気筒エンジンのキャラクターを際立たせたSRと、ストリートバイクとして単気筒エンジンを選択したGBでは目指している所が異なり、ライバルとはなり得ないからだ。

画像2: GB350・SR400比較インプレ(太田安治)

改めてSR400を見ると上品な美しさが際立っている。アルミの質感を強調したエンジン、クロームメッキパーツ、スポークホイール、リアのドラムブレーキ…。SR評の常套句である「オートバイらしさ」は、最新モデルのデザインや動力性能に馴染めないベテランはもちろん、若いライダーも惹き付ける。賛否両論あるキック始動も、FI化された2010年型から始動性が上がり、デコンプ操作に慣れれば女性ライダーでも確実に始動可能だ。

そんなSRに乗るとエンジンの存在を常に感じる。ピストンの往復運動、クランク、メイン、カウンターの3軸とカムシャフトといった回転運動が渾然一体となり、さらにイナーシャやフリクションがスパイスとして加わってSRエンジンの「味」を出している。

画像3: GB350・SR400比較インプレ(太田安治)

対して、GBは重めのクランクマスによるイナーシャこそ感じるが、フリクションの雑味はない。それでいて全回転域で単気筒らしさを演出しているのだから、新世代の空冷シングルに感心するばかり。懐古趣味ではなく、ストリートバイクとしてまとめられたデザインもシンプルな魅力が光っている。

普段使いならセルボタンひと押しで始動でき、発進加速がスムーズで、車体の姿勢変化も少ないGBの方が間違いなく扱いやすく、ABSとトラコンの装備も心強い。だが、非日常の世界へと誘ってくれるのは、キック始動、大きめの振動、穏やかなハンドリング、そして端正なフォルムを持つSRだ。

開発コンセプトがまったく異なるので優劣を付ける意味はない。2台を並べて眺めていると、どちらも選択できる日本のライダーは恵まれていると改めて思った。

画像4: GB350・SR400比較インプレ(太田安治)

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