ホンダは2021年4月22日に新型車「GB350」を発売した。往年のシングルスポーツの名を冠してはいるが、現代に蘇ったGBは流麗なクラシック・ロードスター。果たしてその走りのテイストはどんなものなのだろうか。記事後半では、「GB350 S」とアクセサリーパーツも紹介!
文:太田安治/写真:南 孝幸/モデル:梅本まどか

ホンダ「GB350」インプレ&解説(太田安治)

画像: Honda GB350 総排気量:348cc エンジン形式:空冷4ストOHC単気筒 シート高:800mm 車両重量:180kg 発売日:2021年4月22日(木) 税込価格:55万円

Honda GB350

総排気量:348cc
エンジン形式:空冷4ストOHC単気筒
シート高:800mm
車両重量:180kg

発売日:2021年4月22日(木)
税込価格:55万円

気負わずに楽しめるストリートシングル

1970年頃のCBシリーズを彷彿させる車体デザインに、ロングストローク設定の空冷単気筒エンジン。ルックスとカタログデータからレトロ感たっぷりの「ひと癖ある」乗り味を想像していただけに、GBで走り出した途端に困惑した。古臭さなどどこにもなく、逆に新しさを感じるオートバイだったからだ。

画像1: ホンダ「GB350」インプレ&解説(太田安治)

まず意外だったのが振動の少なさ。350ccの単気筒エンジンとなれば回転数に応じて強弱の振動が出るという既成概念がまるで当てはまらず、アイドリング中に車体がブルブル震えることも、走行中に不快な振動が体に伝わって手足が痺れることもない。

それでいて、どの回転域でも単気筒らしい鼓動は一定して感じられる。低回転域で力強く、スロットルオン/オフ時も穏やかに反応するのに、高回転域(GBの場合は6000回転程度)でもイナーシャを感じさせずに軽く吹け上がる。本来は相反する特性がなぜか両立している不思議な感覚。これは振動を打ち消す2個のバランサー、重めのクランクマス、低フリクションが生んだ特性だろう。

最大トルクを3000回転で発生するだけに発進加速は楽々だ。タコメーターがないので正確な数値は判らないが、普通に加速するとシフトアップポイントは3000回転前後で、2000回転台からスロットルをワイドに開けると破裂音を含んだ「パパパパッ!」という排気サウンドを響かせる。

画像2: ホンダ「GB350」インプレ&解説(太田安治)

この純正マフラーらしからぬ排気音こそがGBの単気筒らしさを演出している。爆発ごとに路面を蹴るようなロングストローク感は僕が以前所有していたカワサキ・エストレヤ250のほうが強いほどだが、鼓動を強調した排気音が耳に入ることで「ロングストローク単気筒」を強く感じさせられるのだと思う。

早め早めにシフトアップして5速に入れ、60〜70km/hでクルージングしているときの癒やされるような感覚は、単気筒ファンではなくても惹かれるものがある。急加速でも6000回転以上まで引っ張る気にはならないので、レブリミッターも気にならない。

だが180kgの車重に20馬力のパワー、前方投影面積の大きいライディングポジションゆえに、高速道路の120km/h区間では余裕がなく、登り勾配や向かい風ではスロットル全開を余儀なくされる。むやみに追い越し車線に出ず、淡々と走行車線を進むのがGBオーナーの「作法」になるだろう。

画像3: ホンダ「GB350」インプレ&解説(太田安治)

車体剛性は思いのほか高く、ブレーキングしながらの寝かし込み、クイックな切り返しで車体がグニャつく頼りなさは皆無。ハンドルのオフセット量が大きいためダイレクト感は薄いが、素直な旋回特性で接地感も掴みやすい。高めのコーナリングスピードでも不安はなく、ステップが接地してからもさらにひと寝かしできるだけのスタビリティも備える。

GB350は単気筒ファンを狙ったマニアックモデルではなく、幅広い層のライダーが気軽に乗れるストリートバイクという印象だ。

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