スロットルやブレーキ操作は同じ、構造もオートバイに似てるのに、バイクとは全く異なるサイドカーの運転。バイクのようでバイクではない。クルマのようでクルマではない。そんなサイドカーならではの操作方法と、挙動変化について紹介しよう。実は、まっすぐ走らせるだけでも難しいんですよ!
文:山口銀次郎/写真:柴田直行/モデル:葉月美優/車両協力:ウラルジャパン

サイドカー特有の挙動を知ろう

1輪駆動時は、オートバイには見られない挙動変化をするのがサイドカーである。この挙動変化を理解し掌握することが、サイドカーを操る上での醍醐味と言えるだろう。

また、一人乗りやパッセンジャー乗車、はたまたタンデムライダー追加で3人乗りといったこともできるが、それぞれで異なる挙動変化をみせるのも奥が深い。また、サスペンションやショックの設定、タイヤのチョイスで性格や挙動もガラリと変わるので、好みにあったベストなセッティングを出そうと思うと奥が深く、キリがないのである。

それでは、いわゆるアクセル操作、加速減速で異なるサイドカーの挙動を説明しよう(右側にサイドカーがある前提で)。

アクセルON時、つまり加速時は単車側が前に出ようとして、サイドカーが重りになってしまうので右側へ曲がってしまう。

逆に、アクセルOFF時、減速時は単車側に制動力が発生し、サイドカーは慣性で前に進んでしまおうとするので左側へ曲がってしまう。

そのため通常走行時は、一定のエンジン出力で走行するというのは難しく、常に加減速を繰り返しているもので、直線であったとしてもハンドルにて補正し続けなければならないのだ。逆にその特性を活かして、ターンのきっかけ作りに役立てると、余計な腕力を必要とせずにスマートな操縦ができる。

サイドカーはバンクをさせず行きたい方向へハンドルを切る

パイプハンドルにセットされた右側のアクセラレータースロットルグリップやフロントブレーキレバー、そして左側のクラッチレバーなどの操作部分はオートバイそのままのサイドカー。

サイドカーとオートバイとの違いは、バンクをさせずにターンするということ。この動きは四輪のクルマと同じなので、オートバイと同じ操作をしつつクルマのような操縦をすることが必要になる。

なので、クルマしか乗ったことのない人は、オートバイの操作部品に慣れることが第一段階になる。バンクさせて曲がるオートバイと異なるので、向きを変えたい方向へしっかりハンドルを切ることが重要。

単純だが、しっかりハンドルを切って押さえる力が必要で、身体全体でバランスさせながら操るのではなく、ハンドルへの入力に集中することがコツとなる。

真っ直ぐ走るだけでも技術がいる

画像: 真っ直ぐ走るだけでも技術がいる

オートバイはエンジン回転や速度を一定に保っても、路面との抵抗などにより微細な加減速を繰り返しているもの。抵抗物とも言えるサイドカーがあれば尚更のこと。

直線とはいえ、常にハンドルへの入力(当て舵ともいう)が必要なので、難なく真っ直ぐ走れるようになれば、サイドカー乗りとして一人前と呼べるでしょう。ちなみに、速度が増せば増すほど、その挙動は大きくなるということも付け加えておこう。

左右で曲がり方が異なる、コーナリングのコツ

画像1: 左右で曲がり方が異なる、コーナリングのコツ

サイドカーが外側にある場合の曲がり方

外側にサイドカーがある場合は、比較的安心してターンが可能だろう。サイドカーが補助輪の役目をしてくれるので、外にかかる横Gから車体を支えてくれる。ターンするコーナーに対して速度が付きすぎたりすると後輪が浮いてしまうが、そうなると加減速でのコントロールが不能になってしまうので、節度を持ったコーナーへのアプローチを心掛けたい。

画像2: 左右で曲がり方が異なる、コーナリングのコツ

特に気を付けるべきはサイドカーが内側にある場合

サイドカーが内側になるターンでは、外側に支えがないために、加減速や速度超過でサイドカーが簡単に浮いてしまい、対応できないでいると転覆(ひっくり返ること)してしまう。なので、サイドカー側に重りとなる人や物があると、コーナリングが断然スムーズになる。上級者になると、リアタイヤを滑らせてサイドカーを浮かせずに鋭いターンが可能。

慣れてくると側車を忘れがち、視覚に注意

画像: 慣れてくると側車を忘れがち、視覚に注意

サイドカーの運転に慣れてくると、つい忘れがちになるのが側輪の存在。モデルによってはサイドカーにタイヤがビルドインされているものもあるが、大半はサイドカーの脇に張り出した状態で側輪がセットされる。この側輪は、ライダー目線でやや右側へ視線をずらしても視界に入らないことで、その存在が忘れがちになり障害物に当ててしまうこともあるので気を付けたい。

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