カタナへの憧れとTOTへの興味が生んだ1台

現役の全日本スーパーバイクライダー、加賀山就臣選手率いるチームカガヤマが、TOT=テイスト・オブ・ツクバ・ハーキュリーズクラス出場のために2018年に作り上げたカタナ、カガヤマ カタナ1000R。写真はその原点となる通称“1号機”だが、細部を書き連ねるよりも、加賀山さんによるコンセプトを紹介した方がよく分かるだろう。

画像1: カタナへの憧れとTOTへの興味が生んだ1台

「皆さん知っての通り、僕はレーシングライダーとしてのキャリアをずっとスズキで過ごしてきました。その上に僕は、スズキファンなんです。カタナは、ずっと憧れのモデルでした」と加賀山さん。TOTの存在も以前から知っていて、空冷エンジンに鉄パイプフレーム、2本サスのマシンが筑波サーキットを1分00秒レベルで走るシーンにド肝を抜かれていた。

「“うわぁ、あのマシンでこのタイムで走るか!”って、現役のライダーみんな驚いてますよ! TOT、いつか出てみたいなあって、ずっと思っていたんです。

ただ、スズキのマシンでTOTに出るとなると、選択肢がなかなかないんですね。でも、カタナで出たかったし、(国際級ライダーの)僕が出られるのはハーキュリーズクラスだけなので、これは空冷カタナの鉄パイプフレームに今のGSX-R1000のエンジンを積もう、それしかないな、と。フレームのメインパートは空冷カタナから使うことにして、エンジンマウントとスイングアームピボットをオリジナルで作って、完成に至ったんです。それが1号機」

画像2: カタナへの憧れとTOTへの興味が生んだ1台

走るだけならば、エンジンを用意し、フレームに積めば形にはなる。けれど、そこから勝てるレベルへとセッティングを詰め、ハーキュリーズクラスの表彰台常連たちを打ち負かすマシンを作らなければならない。

「僕はレーシングライダーである以前に、スズキのテストライダー出身です。だからプロデビュー前はずっとマシン開発の勉強をしてきたと言っていいくらい。TOT用のマシンを起こしていくのには、実はその経験が生きたんです」

そうだ。加賀山さんにはそのマシン作りという経験があった。その経験から、カタナとGSX-Rのハイブリッドマシンをものにし、デビューウインを飾る。出走後には加賀山さんは「出てみたかったレースだけど、いざ出てみたらとんでもないツワモノだらけ。ちょっとのミスも許されない、ハーキュリーズはキツいレースです」とも。

カタナへの憧れ、そしてTOTへの興味。さらにそこに加賀山さんのテストライダーとしてのマシン作りの経験が組み合わさってできたのが、カガヤマ カタナ1000Rだったのだ。

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ノーマルカタナルックの市販カウルにノーマルスクリーンを備え、カタナらしさを作り出す。市販のFRPタンクをカットしてタンクカバーとし、長さはそのままにヘッドパイプ側の幅を広げた。タンク本体はアルミ製のインナー式。フロントカウル下のリップフィンはノーマル。

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ハンドルはセパレートで左右マスターはブレンボ。スイッチ類は2018年TOT時には制御マップ切り替え用などの別体スイッチも備えていたが、結局使わなかったため外し、撮影時は一般的な構成に。メーターはAIM、ブレーキレバーのリモートアジャスターも装備する。

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サイドカバーはカタナ用ノーマルでシングルシートをセット。ここでは見えないが「よりカタナっぽくしよう」とテールレンズの装着をレース直前に決め、Webでその手配を呼びかけたところ、“カタナの兄貴”的存在、オオノスピード・大野代表が送ってくれたものを装着したという。

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エンジンは2012年式GSX-R1000(L2)のノーマル。「次回参戦時には燃料供給をFIからTMRキャブレターに変更することも予定している」と2018年の1号機製作当時から加賀山さんは話していて、それが'20年3号機ではツインショックとともにKATANA1000Rに具体化した。

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鉄フレームは空冷カタナを元にした上で、写真で分かるようにエンジンハンガー部やスイングアームピボット部を新作してエンジン/足まわり、アルミ製シートレールをそれぞれ接続。ステップキットやエンジンスライダーはベビーフェイス製を装着。

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フロントまわりもエンジン同様にそっくりGSX-R1000用を移植。フロントフォークにはオーリンズインナーキットを組み、ブレーキまわりはブレンボCNC・4ピストンキャリパー+ブレンボディスクの組み合わせ。各部のボルトはベータチタニウム製64チタンに変更されている。

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リヤサスはモノサスだが、CBR600RR用をベースにオリジナルレバー比で製作したユニットプロリンクとした。リヤショックはオーリンズ、スイングアームはカーボン製カバーで覆われている。リヤブレーキキャリパーはブレンボCNC 2ピストンでホイールはMAGTANを履く。

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左出しのエキゾーストがよく分かるカット。この後作られた2号機では片持ちプロアーム化したが、その際にも同様のレイアウトを採った。

取材協力:ライドウィン(チームカガヤマ)

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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