軽量かつ理にかなったスズキ独自の冷却方式「油冷エンジン」が250ccの単気筒ロードスポーツモデルで復活。完全新設計となった新しい『油冷エンジン(SOCS)』を搭載した「ジクサーSF250」はどんなバイクなのでしょうか。

写真・文:岩瀬孝昌(編集部)

250ccフルカウルスポーツで一番軽いバイクはジクサーSF250!

画像1: 250ccフルカウルスポーツで一番軽いバイクはジクサーSF250!

2019年の東京モーターショーで新型「油冷エンジン」を搭載した250ccマシンとして発表され「GSX250R」と並ぶスズキのフルカウルスポーツとして人気を二分している「ジクサーSF250」。

しかも、カウルを装備しないネイキッドスタイルの「ジクサー250」もラインアップされ、2020年に発売されました。

近年、ますます盛り上がりを見せる250スポーツクラスのラインアップを増やすため、何かの派生モデルとして少しキャラクターを変えてリリースするならまだしも、ジクサーシリーズは完全なるニューマシン。

新しい油冷エンジンはもちろん、フレームやデザインに至るまで、完全新設計のブランニューモデルなんです。

画像: 【2021年4月20日発売】マットブラックメタリックNo.2(YKV)481,800円(税込)

【2021年4月20日発売】マットブラックメタリックNo.2(YKV)481,800円(税込)

2021年モデルは新色の「マットブラックメタリックNo.2」がニューカラーとしてラインアップされました。4月20日から発売されています。

画像2: 250ccフルカウルスポーツで一番軽いバイクはジクサーSF250!

しかし、なぜスズキは「GSX250R」がありながら、同カテゴリーとなる「ジクサーSF250」を登場させたのでしょうか?

ユーザーとしては、同じクラスで選択肢が増えるのはありがたい限りなのですが、それぞれに明確な違いがないとせっかくのキャラクターが埋もれてしまうかもしれません。

まずは、GSX250RとジクサーSF250を少し比較してみましょう。

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【GSX250R】■エンジン形式:水冷4ストロークSOHC2バルブ2気筒 ■排気量:248cc ■ボア✖️ストローク:53.5✖️55.2mm ■最高出力:24PS/8000rpm ■最大トルク:2.2kgf-m/6500rpm ■シート高:790mm ■車両重量:181kg(ABS)■タンク容量:15L ■タイヤサイズ:110/80-17・140/60-17

【GIXXER SF250】■エンジン形式:油冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒 ■排気量:249cc ■ボア✖️ストローク:76.0✖️54.9mm ■最高出力:26PS/9000rpm ■最大トルク:2.2kgf-m/7300rpm ■シート高:800mm ■車両重量:158kg ■タンク容量:12L ■タイヤサイズ:110/70-17・150/60-17

特にスズキのレーシングカラー(トリトンブルーメタリック)を身に纏ったこの2台は、見た目も瓜二つといった印象。

しかし、スペックを見比べているだけでも、それぞれのキャラクターや方向性の違いが伝わってきます。

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一番の違いはもちろんエンジン形式です。

GSX250Rは水冷2気筒エンジン、ジクサーSF250は油冷単気筒エンジンなのですが、もっと注目したいのは「最高出力」と「ボア✖️ストローク」。

GSX250Rはスクエアに近い53.5✖️55.2mmのややロングストローク設計なのに対し、ジクサーSF250は76.0✖️54.9mmのややショートストロークになっています。

もちろん2気筒、単気筒の違いでボア✖️ストローク比も異なってきますが、馬力も単気筒エンジンでありながら、ジクサーSF250の方が2馬力ほど上回っているんです。

そして、何と言っても車両重量が181kgのGSX250Rに対し、158kgと23kgも軽い!

スポーツ性だけで話をするなら、軽さっていうのは性能に大きな影響を与えます。GSX250Rっていうバイクはスポーツ性にこだわらない独自路線のバイクなので単純な比較はNGですが、それでもジクサーSF250のこの軽さはスゴいとしか言いようがありません。

ジクサーSF250はフルカウルを装着しつつも「クラス最軽量」という性能を持ったバイクなのです。

スズキ独自の冷却システム「油冷エンジン」の復活

画像1: スズキ独自の冷却システム「油冷エンジン」の復活

ジクサーSF250が国産現行車のフルカウル250スポーツモデルで最も軽い理由は、やはりエンジンが「油冷・単気筒」であることでしょう。

真夏に水道の蛇口から流れる水を両手に浴びて冷たかったのをヒントに開発されたとも言われている、スズキ独自の冷却システムが「油冷エンジン」です。

新しい油冷エンジンの仕組みをざっくり説明すると、空冷エンジンのエンジンオイル量を増やし、オイルクーラーで冷したエンジンオイルをシリンダーの周りに循環させている冷却方式。

空冷エンジンのメリットである軽さと水冷エンジンに肉薄する冷却力がある、イイとこ取りなシステムなんです。

そんなスズキの油冷エンジンの歴史は1985年に発売された「GSX-R750」にまで遡ります。

画像: スズキが市販車で世界で初めて油冷エンジンを搭載したモデル「GSX-R750」(1985年)

スズキが市販車で世界で初めて油冷エンジンを搭載したモデル「GSX-R750」(1985年)

かつてのスズキ油冷エンジンは、いわゆる「空冷フィン」も備わっていて、オイルの量を増やしつつ流速を高め、潤滑油をエンジン内で噴射させることで冷却していました。

画像2: スズキ独自の冷却システム「油冷エンジン」の復活

しかし、ジクサ250シリーズに搭載された新設計油冷エンジンには空冷フィンはなく、見た目こそ水冷エンジンのようですが、仕組みはかつての油冷エンジンと結構異なります。

水冷エンジンのラジエーターの代わりにエンジンオイルを廻らせるオイルクーラーを設け、潤滑と冷却を別回路に改良。

画像3: スズキ独自の冷却システム「油冷エンジン」の復活

燃焼室の周辺にオイルジャケットと呼ばれる、冷却用オイル経路を張り巡らせることで、熱伝達面積を拡大させています。

これにより、空冷エンジンでの冷却力不足を解消させつつ、軽量化とコンパクトさを実現。

さらにはラジエーター水の不要や、ウォータージェットも必要ないので、メンテナンス性にも優れているんです。

スズキ油冷ファンにとっても、まさに待望の復活と言えるでしょう。

(下に続きます)

スズキの「新しい油冷エンジン」の歴史が始まった

画像1: スズキの「新しい油冷エンジン」の歴史が始まった

油冷ファイナルエディションと呼ばれた「バンディット1200/S」や「GSX1400」で、途絶えてしまったかのように思われた「スズキの油冷エンジン」。

しかし、ジクサー250シリーズの登場で「スズキの新しい油冷エンジン」の歴史が始まりました。

画像2: スズキの「新しい油冷エンジン」の歴史が始まった

250ccクラスでは高回転・高出力の“パワー的”な絶対性能を追求するバイクが多い中、ジクサーSF250は『軽さ』を武器にする「進化系油冷エンジン」のバイクとして登場したのです。

次回は油冷エンジンならではの軽さを誇る、ジクサーSF250の走行性能について掘り下げます。

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