レトロとフューチャーを今のネオレトロモデルに表現

2014年からヨーロッパヤマハが進めている“ヤードビルト・プロジェクト”。当地ではバイクにもクルマにも共通したカスタムの文化と言うか下地となっている、「バックヤード(裏庭)で自由な発想で思う形にバイク(クルマ)をいじること」を原点に、欧州各地のビルダーがカスタムを製作するものだ。

当初はフリースタイル、ここ2、3年はひとつのテーマと対象機種が指定されていて、2020年のテーマは“バック・トゥ・ドローイングボード”(デザインスケッチへの回帰)が掲げられた。これに対して作り方も、デザイナーとビルダーがタッグを組んで製作するスタイルが採られた。そしてプラットフォーム=対象機種はヤマハ・ネオレトロのXSR700。このふたつが同年1月に提示され、9月末には4台の車両が発表された。

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あるものは’70~’80年代のレトロルックスを今流に解釈し、あるものはオーソドックスなバイクのスタイルを改めて提案する。そしてあるものは、少し先の時代にレトロに見えるレトロフューチャースタイルを造形していく。

このようにして、過去のヘリテイジ(歴史的遺産)モデルをモチーフに使ってそれを思い起こさせる。その一方で、これからのバイクデザインはどうなるかも考えさせてくれる。しかも、いずれもベースが同じ並列2気筒エンジン&スチールフレームのヤマハXSR700。一般ユーザーのカスタムへの想像を掻き立てるとともに、メーカーには新しいバイクへの刺激、そして反響が得られる。そしてビルダーとデザイナーには、自身の成果を発表し拡散できるメリットもある。そんな4車の内容を、以下で紹介しよう。

BAD WINNERS XSR700“Disruptive”

画像: BAD WINNERS XSR700“Disruptive”

ミニマル&マットカラーが作る“ジャンルの破壊者”

“ディスラプティブ”(破壊者)と名付けられたこのヤマハXSR700は、フランスのバーバラ・モーターサイクルが、ヤマハ初の4ストロークモデル、XS650(XS1)が走った'70年代アメリカンフラットトラックレースに敬意を表してデザイン。

パリのビルダー、バッドウイナーズがそれを形にした。フロントにDYMAG7本スポーク、リヤにディッシュのホイールを履き、倒立フォークや薄型ヘッドライト、角型多機能デジタルメーターでミニマルデザインを表現しつつ、マットカラーにはゴールドロゴでかつてのヤマハ“ミッドナイトスペシャル”の意匠も持ち込むなど、ジャンルの壁も破壊して未来感を表現する1台となっている。

画像: ミニマル&マットカラーが作る“ジャンルの破壊者”

Garage221 XSR700 RD350 Tribute

画像: Garage221 XSR700 RD350 Tribute

2ストツインの名車を4ストモデルで表現する

イタリア発の“RD350トリビュート”は'70年代中盤~後半のヤマハ中核モデル、空冷2ストローク並列2気筒のRD350がデザインモチーフ。ウーゴ・コッポラ(Ugo Coppola)が今のヤマハ車のパーツを活用しつつ、当時のRD純正カラーのオレンジ×ブラックを纏わせてデザイン。

これをガレージ221がビルドアップした。XSR700と共通プラットフォームを持つMT-07のステアリングまわりにXSR700のフォークブーツ、XJR1300Cのシートまわりやサイドカバーなどのパーツを組み合わせて、'60~'70年代にかけて分化していったスクランブラーとストリートバイクを改めてミックスし、21世紀の今らしい作り込みを行っている。

RUAMACHINES“700GT”

画像: RUAMACHINES“700GT”

スクランブラースタイルでロードを楽しむ

父親が持っていたヤマハXJ400('80年代初頭のヤマハ空冷直4スポーツ)に触発されたというトニー・マヌエル・オリベイラ・クエリオス。彼によるデザインを元にしたのが、このポルトガル・RUAマシンズによる“700GT”。

RUAマシンズはクエリオスさんのデザインを具体化するために'60年代末のヤマハ・スクランブラー、YR2(250cc。国内非展開)/YR3(350cc。R3として国内でも展開)を調べ、オーソドックスなバイクのルックスに、現代の芸術的な要素をミックス。

XJ400を思わせる造形のタンクカバーほか外装はすべて新作、フロントにはディッシュの17インチホイールを、リヤにはワイヤスポークの17インチホイールをそれぞれ履き、アップマフラーでまとめた。XSRの純正いちバリエーションとも思えそうな仕上がりに注目したい。

Cafe Racer Sspirit XSR700“Red Tail”

画像: Cafe Racer Sspirit XSR700“Red Tail”

往時のファクトリーカラーがまぶしいロードトラッカー

XSR700レッドテール(赤い尻尾)という名を冠したこの車両は、スペインのアレイシ・モンジュ(Alex Monge)とクラウディオ・モンジュ(Claudio Monge)のふたりがロードレースとフラットトラックレースを融合させてデザイン。これをビルダーのCRSS=Cafe Racer SSpirit(カフェレーサー・スピリット)が形にした。

外装はいったんすべて剥ぎ取った後に、トラッカースタイルで一体タイプタンク化バーとシートカウルを製作、フロントライトはゼッケンプレートに埋設。XSR700のワンボディ多機能メーターにはかつてのヤマハモデルのカバーを被せるなどして全体のスタイルを構築。特徴的なカラーリングは往年のヤマハ・ストロボラインをベースにし、ストロボラインから赤色を各部にはみ出すように流して配し、ヤマハのスポーツヘリテイジ(歴史的遺産)を見る側に残像的に見せるという要素も盛り込んでいる。

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取材協力:YAMAHA EUROPE

レポート:ヘリテイジ&レジェンズ編集部

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