昨今の原付二種クラスでは珍しく日本での製造が行われている現行「スーパーカブ110」。60年以上の歴史を持つ名車中の名車は、あらゆる用途で使われ、いまも昔も愛され続けている。この記事では、2020年に二輪車灯火器基準に関する法規対応を施した最新モデルを解説する。
文:太田安治、オートバイ編集部/写真:南 孝幸/モデル:木川田ステラ

ホンダ「スーパーカブ110」インプレ・解説(太田安治)

Honda SUPER CUB 110
総排気量:109cc
エンジン形式:空冷4ストOHC単気筒
シート高:735mm
車両重量:99kg
メーカー希望小売価格:28万500円(税込)

60年以上の歴史が物語る高い完成度と安心感

誕生60周年、累計生産台数1億台突破、新型登場と国内生産回帰など、スーパーカブ関連のトピックはいつも大きな話題となる。これはスーパーカブが誕生以来60年以上世界中で愛され続けている証明だ。

現在五十歳代以上のライダーなら、一度はスーパーカブに乗ったことがあるだろう。通勤通学に買い物、営業回りや配達など、1958年の登場以来、庶民の生活に寄り添って大ヒットした乗り物だけに、身近にあって当たり前の存在。初めてのオートバイがスーパーカブという人も多いと思う。

ただ、実用モデルだけに野暮ったく見えたのも事実。1960年代の学生はスポーツモデルで学校に乗り付けることがカッコイイとされていたし、1970年代からはレジャーモデルやスクーターが台頭して、趣味性とは無縁なスーパーカブは働くバイクのイメージが強まり、若いライダーとの接点は減っていった。

▲二輪車灯火器基準に関する法規対応を施したテールランプを2020年6月に採用、あわせてリアウインカーの位置も変更された。

1980年代の空前のバイクブームで、スポーツモデルは一気に高性能化したが、スーパーカブはそうした時流に影響されず、完成度を追求。1990年代に入ると高性能バイクに対するアンチテーゼとして、スーパーカブを洒落たストリートバイクとして扱うライダーが増え、1997年には前後ホイールを14インチにしたリトルカブが人気を博した。

1990年代に入ると国内需要の減少が顕著になる一方、東南アジアでの販売台数は右肩上がり。そこで2009年型の110から部品の半数以上をタイから輸入して熊本製作所で組み立てる手法を取り、2012年からは生産を中国工場に移管した。現行型から再び熊本生産となったが、これは製造、流通のコストを見直した結果。新型スーパーカブが再びメイドインジャパンとなり、往年のルックスも取り戻したことを喜ぶファンは多いだろう。

僕は学生時代、90ccモデルで配達のアルバイトをしていたし、派生モデルにも乗っているので、遠心クラッチのロータリー式ミッションに違和感はなく、久々だったが乗り慣れた感覚。ホンダの開発陣が細かな改良を積み重ねているのだが、ライディングポジションも加速感もハンドリングも、すべてが僕の覚えている「スーパーカブ」のままで、不思議な安心感に包まれる。

▲スーパーカブらしいスタイルは健在。試乗車のボディカラーはパールフラッシュイエロー。パーソナルユースをイメージした、2020年6月から加わった新色だ。写真のライダーは木川田ステラ。

110はパワーに充分な余裕があり、市街地で交通の流れをリードすることも簡単だし、急な上り坂でも失速するようなことはない。荒れた路面や段差での安定感は小径ホイールのスクーターとは比べものにならないほど高く、車重バランスが後輪側に寄っているスクーターとは違うニュートラルなハンドリングで渋滞路も軽快に走れるし、接地感も伝わってくる。「働くバイク」と呼ぶにはもったいない扱いやすさだ。

日本のライダーなら、ホンダを世界的企業に押し上げたスーパーカブに一度は乗って欲しい。登場以来60年以上も基本設計が変わっていない理由が判るはずだ。

This article is a sponsored article by
''.