2018年に登場して以来、爆発的なヒットを続けているモンキー125。スーパーカブと並ぶホンダ自慢の伝統のブランドは、50㏄時代の愛らしさも、走る喜びも、カスタムの楽しさもそのまま受け継いで進化、これがファンの心を見事に射止めた。大きくなっても、魅力はそのまま。それがモンキーらしさなのだ。

ホンダ「モンキー125」誕生の歴史

画像: HONDA MONKEY 125 エンジン型式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒 総排気量:124㏄ 最高出力:9.4PS/7000rpm 最大トルク:1.1㎏-m/5250rpm シート高:775㎜ 車両重量:105㎏/107kg(ABS) 燃料タンク容量:5.6L タイヤサイズ(前・後):120/80-12・130/80-12 価格:40万7000円/ABS=44万円(消費税10%込)

HONDA MONKEY 125
エンジン型式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量:124㏄
最高出力:9.4PS/7000rpm
最大トルク:1.1㎏-m/5250rpm
シート高:775㎜
車両重量:105㎏/107kg(ABS)
燃料タンク容量:5.6L
タイヤサイズ(前・後):120/80-12・130/80-12
価格:40万7000円/ABS=44万円(消費税10%込)

原付二種に進化して、魅力も大きく広がった

遊び心あふれるスタイルのボディに、本格的オートバイと変わらない機能も備えるモンキーは、世界中で熱烈に愛される小さな人気車。1967年の初代市販モデル・Z50M型以来、スーパーカブ系50㏄エンジンを積んだ手軽な原付一種モデルとして進化を重ねてきた。

そして2018年、デビュー以来初の大モデルチェンジを受けて登場したのがモンキー125。伝統のスタイルは受け継ぐものの、エンジンを125cc化、原付二種にスケールアップした。合わせて車体もひと回り大きくなり、ホイールも12インチに大径化。ディスクブレーキを採用し、ABS仕様まで用意されている。これは近年の交通環境の変化の中、安心して走りを楽しむための選択。あまりにも大きな変更で、モンキーらしさが失われないかと思いきや、本来の軽快で親しみやすい乗り味はしっかり残されている。むしろ、力強さと安定感がプラスされたことで、モンキーの魅力は大きく広がったといえそうだ。

画像: 原付二種に進化して、魅力も大きく広がった

初代から変わらない、軽快な走りと愛らしさ

モンキーの歴史は非常に長い。国内向けに正式に販売されたモデルに限っても、50年以上前、1967年のZ50M型にさかのぼる。この初代モンキーの時点で、すでにスーパーカブベースのエンジンを小径ホイールを履いたコンパクトな車体に積む、という基本スタイルが完成している。

ただ、Z50Mは前後リジッドサスに5インチの小径タイヤで、当時でも実用性は限られていた。そのため1969年にフロントサスを装備しホイールも8インチとなったZ50A型になり、1974年には小さいながらも前後サスを備え、モンキーらしい軽快な乗り味を安心して楽しめるZ50J型へと進化。その完成度は高く、何度もモデルチェンジを受けながら、最終的には2017年まで、実に40年以上基本構成は受け継がれた。

そして2018年、全てを一新したモンキー125が登場したが、変わらない魅力で、さらなる歴史を紡いでいくことだろう。

画像: スケール比率から忠実に再現した車体は、50㏄モンキーがそのまま大きくなった印象。各パーツの大きさや形状にもこだわり抜いた。

スケール比率から忠実に再現した車体は、50㏄モンキーがそのまま大きくなった印象。各パーツの大きさや形状にもこだわり抜いた。

画像: 伝統の空冷SOHC2バルブ単気筒。ステップに乗せた足にエンジンが触れないよう、クランクケースにはメッキのリングガードが付く。

伝統の空冷SOHC2バルブ単気筒。ステップに乗せた足にエンジンが触れないよう、クランクケースにはメッキのリングガードが付く。

画像: 灯火類は全てLED化。ライトボディやフェンダーをクロームメッキで仕上げるのは、かつてのモンキー・リミテッドを彷彿とさせる。

灯火類は全てLED化。ライトボディやフェンダーをクロームメッキで仕上げるのは、かつてのモンキー・リミテッドを彷彿とさせる。

画像: メーターデザインもユニーク。反転表示の液晶に大きく速度計をデジタル表示し、その上にバーグラフ式の燃料計をレイアウトする

メーターデザインもユニーク。反転表示の液晶に大きく速度計をデジタル表示し、その上にバーグラフ式の燃料計をレイアウトする

ホンダ「モンキー125」ショート・インプレッション(太田安治)

画像: ホンダ「モンキー125」ショート・インプレッション(太田安治)

エンジンはベースのグロム用と同じく、低回転からトップエンドまでフラットに回転が上昇する特性。ただ、グロムと比べると高回転のパワーを少し削り、その分を中回転域に振り分けてあるようだ。リアフレームを専用設計としたことでホイールベースはグロムよりも45㎜短いが、前後のサスペンションストロークが充分に確保されているので、ギャップ通過時の落ち着きもいいし、車体もパワーに対して充分な剛性を持っている。

マニュアルクラッチの4速ミッションを駆使してスポーツライクな走りも楽しめるし、ブロックパターンのタイヤと最低地上高の高さを活かしてオフロードで遊ぶこともできそう。オーナーの夢が広がる作りだ。

モンキー125の足つき性・ライディングポジション

シート高:775mm
ライダーの身長:163cm

画像: モンキー125の足つき性・ライディングポジション

跨ったときに感じるサイズは12インチ・ミニバイクそのもの。特に小さいわけではなく、両腕や足に窮屈さはない。シートのクッションが厚く腰高な印象もあるが、足着き性は良好。乗り手の体格を選ばないのは伝統だ。

ホンダ「モンキー」ブランドヒストリー

日本が誇る愛すべき1台

モンキーのルーツは、60年代初頭にホンダの社内アイデアコンテストで、若手技術者が「できる限り小さなオートバイ」として製作したものだったという。そのアイデアが1961年に最初のモデル・Z100となる。

改良版のCZ100も含め国内では販売されなかったが、多摩テックなどを通じてその魅力は国内でも注目されるようになり、1967年の初代モンキーZ50M登場に繋がっていく。以後、ホイールの8インチ化、前後輪へのサス装着、エンジンの改良、スタイリングの変更、そして多彩な限定モデルの展開を行うが、その基本コンセプトは最新のモンキー125でも不変だ。

1961年 Z100

  モンキーの原点となった1台。エンジンは初代カブC100用ベース。当時ホンダの運営していた遊園地
 「多摩テック」で遊具として親しまれた。

1963年 CZ100

   Z100をベースに、スポーツカブ用タンクとシートを装着してよりコミカルなスタイルに変身。欧州
   などに輸出されたが国内販売はされていない。

1967年 Z50M

   国内向けに販売された最初のモデルで、「モンキー」という車名が正式に与えられたのもこの
   モデルから。タンク、シートは専用デザインに。

1970年 Z50Z

画像: 1969年に出た8インチホイールを履く改良版・Z50Aをベースに、自動車などへの搭載のため、フロントフォークをホイールごと脱着可能としたモデル。

1969年に出た8インチホイールを履く改良版・Z50Aをベースに、自動車などへの搭載のため、フロントフォークをホイールごと脱着可能としたモデル。

1974年 Z50J

  初めて前後輪共にサスペンションを採用して安定性アップ。スタイルも一新、容量を4Lに拡大した燃料
  タンクなどで実用性も高められた。

1978年 Z50J-I

     燃料タンクをティアドロップ形状で容量5Lのものに変更、鞍型シートと合わせてイメージ
     チェンジ。2007年までこの基本スタイルは継続された。

2009年

      排ガス規制への適合のためにエンジンをPGM-FI仕様に変更。同時に燃料タンクなど
      も新しくなり、Z50Jを想わせるスタイリングが復活した。

2017年

      50㏄モンキーの最終モデルで、全身クロームメッキ仕上げの特別仕様。限定500台に
      4万5000件もの購入申し込みが殺到して話題に。

文:太田安治、オートバイ編集部/写真:森 浩輔、赤松 孝

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