オフロードを楽しめる、タフなトレッキングバイクとしてマニアに愛されてきたハンターカブが待望の復活を遂げたのが2020年6月。本格的な造りで大ヒットし、納車待ちが続く状況にあるが、そんなハンターカブには1960年代から続く連綿たる歴史がある。

ホンダ「CT ハンターカブ」誕生の歴史

画像: HONDA CT125 HUNTER CUB エンジン型式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒 総排気量:124㏄ 最高出力:8.8PS/7000rpm 最大トルク:1.1㎏-m/4500rpm シート高:800㎜ 車両重量:120㎏ 燃料タンク容量:5.3L タイヤサイズ(前・後):80/90-17・80/90-17 価格:44万円(消費税10%込)

HONDA CT125 HUNTER CUB

エンジン型式:空冷4ストOHC2バルブ単気筒
総排気量:124㏄
最高出力:8.8PS/7000rpm
最大トルク:1.1㎏-m/4500rpm
シート高:800㎜
車両重量:120㎏
燃料タンク容量:5.3L
タイヤサイズ(前・後):80/90-17・80/90-17
価格:44万円(消費税10%込)

各地の野山で愛された、ユニークなキャラクター

完成度抜群の実用車として世界中を席巻したスーパーカブシリーズ、そこから派生したさまざまな兄弟モデルたちの中で、一際ユニークな存在がハンターカブだ。

初代スーパーカブC100誕生からわずか3年後の1961年、スーパーカブを山中などで活用したいという要求に応え、国内向けとしてはハンターカブ55が登場。C100をベースにフロントフェンダーを取り払いキャリアを追加、オフロードタイヤを履き、悪路向けにローギアード化したモデルで、車名通り狩猟などの用途を想定していた。同様のモデルは海外にも輸出され、牧場・農家などでの業務用やレジャー用として人気となっていく。60年代半ばからはCTの名を与えられ、OHC化、排気量の拡大や副変速機の採用などの改良で実用性を向上。中でもCT110が長寿モデルとなる。

国内ではCT50、CT110が発売されたがいずれも短命。しかし後にCT110の逆輸入車が人気となり、これがCT125誕生へ繋がっていく。

画像: 各地の野山で愛された、ユニークなキャラクター

伝統ある「CTらしさ」を最新技術で見事に再現

歴代のハンターカブたちはベースモデルに当時のスーパーカブがあり、カブならではの実用車としての高い完成度・信頼性や、優れた基本性能を活かしながら、悪路に分け入るための装備やメカを追加している。その結果、スーパーカブの利便性はそのままに、タフさを要求される用途に対応する機能と、優れた道具としての美しさが際立つ「CTらしさ」が生み出されてきた。

30年以上の時を経て進化したCT125もその例に洩れず、現行スーパーカブシリーズの洗練された最新メカがベースとなっている。とはいえ、変更点は多岐にわたっており、スタイリングもかつての人気モデル CT110のスタイルを忠実に再現しながら、現代的な要素を盛り込んだものとなっている。ライダーが「CTらしさ」として求める、「旅の道具」としての機能やイメージを、最新技術をもって高いレベルで実現したことが、CT125の爆発的な人気の秘密だろう。

画像: ヒートガードが目立つアップマフラーなど「CTらしさ」あふれるスタイルだが、ディスクブレーキなど最新の機能性も融合。

ヒートガードが目立つアップマフラーなど「CTらしさ」あふれるスタイルだが、ディスクブレーキなど最新の機能性も融合。

WAVE125系のエンジンはスーパーカブC125とは異なり、独自の吸排気系による低・中速域の力強さが特徴。排気音も太いものだ。

WAVE125系のエンジンはスーパーカブC125とは異なり、独自の吸排気系による低・中速域の力強さが特徴。排気音も太いものだ。

かつてのCT110同様、シンプルなケースに収まった丸型ヘッドライトだが、し中身はLEDを採用し、十分な明るさと長い寿命を確保。

ホンダ「CT125 ハンターカブ」ショート・インプレッション(太田安治)

画像: ホンダ「CT125 ハンターカブ」ショート・インプレッション(太田安治)

かつてのCT50やCT110より一回り大きくてガッチリした印象だが、ルックスはまさにハンターカブ。C125とは違った野太い排気音もなかなかのものだ。エンジンはタイで販売されているWAVE125用がベースで、C125より低回転/高トルク型の特性。発進加速、登坂性能はC125より力強い。サスはストロークを有効に使えるソフトめのセッティング。

肉厚のシートで乗り心地は快適だし、165㎜の最低地上高で、トレッキングペースなら想像以上の走破性を発揮する。アップマフラーも出口の高さが約65㎝あり、多少の水深なら走破できそう。その作り込み、上質な仕上げを見れば、44万円という価格も納得できるはずだ。

CT125 ハンターカブの足つき性・ライディングポジション

シート高:800mm
ライダーの身長:163cm

画像: CT125 ハンターカブの足つき性・ライディングポジション

800mmのシート高で車格の割に足着き性は良くない。ただ、シート前方が空いているのでシート前側に腰をずらせば身長150㎝台のライダーでも不安なし。高めのハンドル位置でスタンディングポジションも取りやすい。

ホンダ「CT」ブランドヒストリー

カブの歴史とともに歩んだ日々

ハンターカブは1961年に登場、当時国内でも販売された。しかし大きな市場となったのはアメリカだ。ごく初期はOHVエンジンを搭載したスーパーカブC100系がベースで、エンジン、フレームやサスはそのままでオフロード向けタイヤを履かせ、ローギアード化を図ったものだった。これが、農場や林業など業務向けに需要が高まり改良が進む。

1966年にOHCの新世代カブがベースになると、オフロードでの実用性の高いバーハンドルやテレスコピックフォーク、アップフェンダーなどを備えたCT90に進化、ハンターカブらしさがここに完成する。その後、排気量拡大したCT110は2012年まで生産されることになる。

1961年 CA100T TRAIL50

画像: アメリカで販売されたC100ベースの初期モデル。レッグシールドやフォロントフェンンダーを外し、ブロックタイヤを装着。大きなリアスプロケでローギヤード化。

アメリカで販売されたC100ベースの初期モデル。レッグシールドやフォロントフェンンダーを外し、ブロックタイヤを装着。大きなリアスプロケでローギヤード化。

1962年 C105T TRAIL55

排気量55㏄のC105をベースにしてパワーアップを図ったモデル。極端に細いマフラーは、山火事を防ぐための「Down Swept」と呼ばれるもの。

1963年 CA105T TRAIL55

画像: 基本的には前年モデル同様だが、CTシリーズの象徴ともいえるヒートガードの目立つアップマフラーがこの年から初めて採用された。

基本的には前年モデル同様だが、CTシリーズの象徴ともいえるヒートガードの目立つアップマフラーがこの年から初めて採用された。

1964年 CT200 TRAIL90

画像: スーパーカブCM90の車体へパイプハンドルを装着。パワフルなC200用87㏄エンジンを組み合わせ、よりオフロード車的に進化して人気を集める。

スーパーカブCM90の車体へパイプハンドルを装着。パワフルなC200用87㏄エンジンを組み合わせ、よりオフロード車的に進化して人気を集める。

1968年 CT50

画像: 1961年以来、久々に国内向けとして販売されたCT50。50㏄ながら副変速機を装備して、ダートや急坂での走破性を高めたが、3年ほどで販売を終了。

1961年以来、久々に国内向けとして販売されたCT50。50㏄ながら副変速機を装備して、ダートや急坂での走破性を高めたが、3年ほどで販売を終了。

1969年 CT90K1

画像: テレスコピックフォークを装備し、より本格的なトレール仕様に。フレームカバーやサイドエアクリーナーなど、CT110まで受け継がれるディテールも初採用。

テレスコピックフォークを装備し、より本格的なトレール仕様に。フレームカバーやサイドエアクリーナーなど、CT110まで受け継がれるディテールも初採用。

1981年 CT110

画像: CT90から発展したCT110は1980年登場。国内では副変速機を備えない4速ミッション仕様が1981年に発売されたが、わずか2年ほどしか販売されなかった。

CT90から発展したCT110は1980年登場。国内では副変速機を備えない4速ミッション仕様が1981年に発売されたが、わずか2年ほどしか販売されなかった。

文:オートバイ編集部、太田安治/写真:南 孝幸、柴田直行

This article is a sponsored article by
''.