ランキングトップ小椋が……!

カタルニアGPから2週間のインターバルを経て行なわれたフランスGP。ル・マン、ブガッティサーキットは寒かったみたいですね。フランスは、日本の同緯度地域でいうと北海道より北だったりしますから、さらに降ったり止んだりの天候で、ライダーたちがグリッドで上着を羽織っていたり手袋していたりと、かなり寒いグランプリだったみたいです。
全15戦で行なわれる2020年のグランプリは、この第10戦からいよいよ終盤戦です。フランスGPからアラゴンで2戦の3連戦、1週空いてバレンシア2戦、ポルティマオの3連戦でシーズンが終了となります。

画像: 下位に沈んでしまった小椋アイ この2戦、辛抱のレース

下位に沈んでしまった小椋アイ この2戦、辛抱のレース

さてオープニングレースのMoto3は、前戦カタルニアで、小椋藍(ホンダTeamアジア)がついにランキングトップに浮上! ここから仕切り直しでチャンピオン争いも佳境!と言いたい所ですが、昨年、キャリア初の予選フロントローを獲得したコースだというのに、藍いまひとつ調子が出ません。

「カタルニアは、ちょっと寒いコンディションに苦戦しました。ここのサーキットは昨年、いいフィーリングがあったんですが、今年は、初日に雨に降られて転倒、予選でもQ2で転んでしまいました。17番手スタートですが、フィーリングは徐々に良くなってきました」と藍。

レースは序盤からアルバート・アレナス(アスパー)、ハウミ・マシア(レオパードレーシング)、トニ・アルボリーノ(Rivacoldスナイパー)、セレスティノ・ビエッティ(SKYレーシングVR46)ら、ランキング上位のライダーがレースをリードするなか、肝心のランキングトップ藍は、6列目スタートから順位を落とし、25番手あたりからの追い上げ。Moto3はここから、10台くらいのトップグループができつつ、少し間を開けてセカンドグループ、という展開になることが多いんですが、今回もレース中盤あたりまでに12台くらいがひとつのグループ、この中に調子上向きの佐々木歩夢(レッドブルKTM TECH3)がきちんとつけ、小椋は後方グループの中に埋もれてしまいます。

画像: 小椋に代わってフランスGPで光ったのは71佐々木アユム ラストスパートの一発スピードが欲しかった!

小椋に代わってフランスGPで光ったのは71佐々木アユム ラストスパートの一発スピードが欲しかった!

画像: こんな展開ファンタスティック! いつものMoto3です(※写真はカタルニアGP)

こんな展開ファンタスティック! いつものMoto3です(※写真はカタルニアGP)

前戦カタルニアでは不発に終わったものの、藍といえば恐るべき追い上げの名手。しかし、今回はなかなかリーダーボードに「OGU」の名前が上がってこない! 藍、早く! 藍、早く!とじれったい思いをしながら、同時に歩夢のラストスパートも待っている中、レースはついに終盤へ。マシア、アルボリーノ、アレナス、ビエッティがトップ争いをする中、藍はようやっとじりじりポジションをアップ。それでも、ようやくポイント圏内に入ってくるくらいのポジション。
結局、レース終盤に転倒も出たことで、藍は9位でフィニッシュ! レースはビエッティ→アルボリーノ→アレナスの順でフィニッシュし、これでランキング上位は
①アレナス 135P ②小椋 129P ③ビエッティ119P ④アルボリーノ 115P ⑤ジョン・マクフィ 98P このあたりがチャンピオンシップコンテンダーでしょうか。

調子を取り戻しつつあった歩夢は、ようやく順位も追いついてきて6位フィニッシュ!
「カタルニア以来、ちょっとリズムを崩してしまっています。でも、今日のレースはいったん25番手まで落ちながら9位フィニッシュと悪くはありませんでしたが、トップ集団と戦えないまま終わってしまいました。フィーリングは少しずつ戻っているし、カタルニアよりよかった。でも、少しずつすぎます、またトップ争いがしたい。次のアラゴンは好きなコースなので、成績がいい悪いは別にして、またトップ争いに戻りたいです」(小椋)

藍、あと5レース! 最後までがんばれいっ! 藍も歩夢もまず1勝! ケガからの復帰レースで、またも転倒でレースを終えた竜生は2勝目を目指すんだ!

レース開始直後、ロッシがまさかの…!

画像: スタート直後の1コーナークリアあたり この直後に……↓

スタート直後の1コーナークリアあたり この直後に……↓

画像: ロッシ、単独で転倒してしまいます 1周目の1~2コーナーで姿を消すなんて…

ロッシ、単独で転倒してしまいます 1周目の1~2コーナーで姿を消すなんて…

F1ドイツGPとの同日開催ということで、レース順がいつものMoto3→Moto2→MotoGPから、Moto3の後にMotoGPが行なわれたブガッティサーキット。しかしMoto3終わり、MotoGPクラスの開始直前に雨が降ってのウェットレース! 決勝は雨のレースとなりました。

スタートで飛び出したのは、お久しぶりのカル・クラッチロウ(LCRホンダCASTROL)。それでもホールショットを奪ったのはジャック・ミラー(プラマックドゥカティ)で、ファビオ・クアルタラロ(ペトロナスヤマハ)が1コーナーで前に出る中、なんとバレンティーノ・ロッシ(モンスターヤマハ)が単独転倒! あぁぁぁ、ロッシこれでミザノ02→カタルニアに続く3戦連続ノーポイントです! ル・マンは得意なコースだったのにー!

画像: トップを走るペトルッチを先頭に、デスモセディチGPがTOP3を独占!

トップを走るペトルッチを先頭に、デスモセディチGPがTOP3を独占!

画像: デスモ3台の後方にぴたりとつけるリンスのGSX-RR

デスモ3台の後方にぴたりとつけるリンスのGSX-RR

レース序盤をリードしたのはミラーとダニロ・ペトルッチ&アンドレア・ドビツィオーゾのドゥカティファクトリーデュオ。なんとドゥカティが1-2-3という最高の出だしを見せました。
ドゥカティの3台を追うのはクアルタラロ、ポル・エスパルガロ(レッドブルKTMファクトリー)、アレックス・リンス(TeamスズキECSTAR)、クラッチロウ、ブラッドリ・スミス(アプリリア)の面々。チャンピオンシップでクアルタラロを追うTeamスズキのジョアン・ミルは、あわやロッシの転倒に巻き込まれるところで回避して大きくポジションを落としていました。予選13番手の中上貴晶(LCRホンダIDEMITSU)はジャンプアップもないけれど、着実に周回を重ねている印象でした。

画像: ストレートスピードにまさる43デスモセディチをブレーキングとコーナーで追い詰める42GSX-RR

ストレートスピードにまさる43デスモセディチをブレーキングとコーナーで追い詰める42GSX-RR

レースは中盤にかけて、リンスがトップ3台に追いつくムーブを見せる中、17周目あたりでついにドゥカティ3台に割って入ります。トップ4台の中ではリンスがいちばんペースがいい、と思われつつ、リンスはペトルッチ追撃に2番手まで浮上しますが、なんとここで単独転倒! うわぁぁ、もったいない! スズキGSX-RR、ここまで3戦連続で表彰台に立っていたのに!

これでレースはまたもドゥカティ3台の優勝争いと思ったら、リンス転倒の前にミラーがマシントラブルでリタイヤしていて、これでポジションはペトルッチ→ドビツィオーゾのドゥカティファクトリー2台に、3番手にはなんとアレックス・マルケス(レプソルホンダ)が浮上! マルケスは、絶対王者のお兄ちゃんが開幕戦で負傷してそのまま欠場を続けていて、アレックスはここまで8位フィニッシュが最上位! しかし、雨のル・マンで着々と上位に上がってきましたね。着々と順位を上げてきたと言えばタカも同じで、ラスト5周の時点で6番手です。アレックスに負けんなよー、と思ったんですが……。

画像: レース終盤、04ドビツィオーゾに迫り、抜き去る73マルケス

レース終盤、04ドビツィオーゾに迫り、抜き去る73マルケス

レース終盤はおなじみドビツィオーゾvsマルケスの戦い(ただしマルケスは弟)で、いかにもタイヤが苦しそうなドビツィオーゾをマルケスがパス! ドビツィオーゾはさらに後方エスパルガロにまでかわされてフィニッシュ! 結局ペトルッチがドゥカティに初のル・マン優勝をプレゼントし、マルケス、エスパルガロの順でフィニッシュ! 表彰台に、ドゥカティ→ホンダ→KTMと3つのマニュファクチャーが昇りましたね。ヤマハとスズキどうした!

画像: 2番手に浮上して、残りはペトルッチのみ!のマルケス しかし届かず! 初表彰台が初優勝なんて快挙はなりませんでした

2番手に浮上して、残りはペトルッチのみ!のマルケス しかし届かず! 初表彰台が初優勝なんて快挙はなりませんでした

ペトルッチはキャリア2勝目、マルケスはシーズン初表彰台、エスパルガロも3度目の表彰台と、チャンピオンシップに大きな変動はなし。ランキングトップのクアルタラロは9位、2位ミルは11位、3位ビニャーレスは10位と、ドビツィオーゾがビニャーレスをかわしてランキング3位に上がってきました。皮肉にも、来シーズンにファクトリーチームを放出されるドビツィオーゾとペトルッチが1勝ずつを上げるという、ドゥカティいつもの様式美も披露してしまいましたね。

これでランキングは①クアルタラロ 115P ②ミル 105P ③ドビツィオーゾ 97P ④ビニャーレス 96P ⑤タカ中上 81P ⑥フランコ・モルビデリ 77P
となっています。ここまで9戦を終えて、全戦でポイントを獲得しているのはタカただひとりです!

画像: 徐々にポジションを上げて5位も視野に入った30タカ中上ですが、5ザルコにかわされてしまいます

徐々にポジションを上げて5位も視野に入った30タカ中上ですが、5ザルコにかわされてしまいます

「難しいレースでした。レースに向けて準備していたんですが、開始直前に雨が降って、数分後には路面がフルウェットになりましたね。とにかく完走できたことがいちばん! いいペースで走れて、後半は路面が乾き始める中、トップグループにかなり近づきました。まだまだ十分じゃないけど、レース終盤はかなりスピードを見せられましたね。次はアラゴン2連戦、いまランキング5位っていうのもヤル気が出ますね」とはタカ中上。

タカはこのレース、雨のFP1で17番手スタートすると、ドライのFP2で3番手、土曜のFP3では19番手となるも、FP4で7番手、予選は13番手でしたが、決勝日朝のウォームアップでは一時トップタイムをマークしながら9番手と、何かをつかみかけてトライして、という段階に見えますね。それでも、セッションによってはコンスタントにトップ5くらいのタイムが出ているので、マシンのベースセッティングが定まって来たのかな、という感じ。アラゴン2連戦、特に2レース目に注目すると面白そうです!

モト2 哲はどうした?

ラストレースとなったMoto2では、日本期待の開幕戦ウィナー、長島哲太(レッドブルKTM-AJO)がちょっと不調のトンネルの中。前戦カタルニアを終えてランキングは6位と、ランキングトップまで78ポイントもの大差をつけられてしまっています。
レース結果も、オーストリア02で4位に入ったのを最後に、リタイヤ→23位→12位と一体どうしちゃった?なポジション。

画像: テツのそばにはP-UP! トンネルを抜け出すキッカケが欲しい

テツのそばにはP-UP! トンネルを抜け出すキッカケが欲しい

このフランスでも、7列目21番スタートと、後ろから数えた方が早いくらい。哲の走りはこんなもんじゃありません! レースでも、スタートでジャンプアップできず、25番手あたりまで落ちながら、レース前半は順調にポジションアップ、20番手あたりまで追い上げたんですが、そのペースが続かず、一進一退の後、なんとか完走を果たし、21位でフィニッシュ! ノーポイントですが、ところどころウェットパッチの残るブガッティサーキットを走り切りました。

「ふがいないレースをしてしまってチームにもファンのみなさんにも謝らなきゃ。このレースは僕らにとって難しくて実力を発揮できなかったけど、トップグループでレースできる力はあると思っています。今は頭をちょっとリセットして、開幕の頃のいいフィーリングを取り戻したい。次のアラゴンでも、いつものように全力で頑張れば、きっと前進できると思っています」と長島。

画像: 得意とするロングランでのハイペースも発揮できずにいるテツ いまは辛抱の時!

得意とするロングランでのハイペースも発揮できずにいるテツ いまは辛抱の時!

せっかくランキングトップに立ったのに、そのリードを守れなかったMoto3の小椋に、ホンダ最上位をマルケスに明け渡しちゃった中上、さらに不調のトンネルをなかなか脱せない長島と、日本のファンにはちょっとカリカリしちゃうフランスGPでしたが、Race must go on! 今週末にはもう次のアラゴンGPです! 気合い入れ直していこう!

※MotoGP第10戦 フランスGP正式結果※
10/11 決勝レース inフランス ル・マン
□Moto3
1 セレスティノ・ビエッティ  SKYレーシングVR46
2 トニ・アルボリーノ     Rivacoldスナイパー
3 アルバート・アレナス    アスパーチーム
4 ハウミ・マシア       レオパードレーシング
5 アンドレア・ミーニョ    SKYレーシングVR46
6 佐々木 歩夢        レッドブルKTM TECH3
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9 小椋 藍          ホンダTeamアジア

□Moto2
1 サム・ロウズ        マークVDS
2 レミー・ガードナー     ストップandゴー
3 マルコ・ベッツェッキ    SKYレーシングVR46
4 アウグスト・フェルナンデス マークVDS
5 トマス・ルティ       リキモリIntactGP
――――――――――――――――――――
21 長島哲太          レッドブルKTM-Ajo

□MotoGP
1 ダニロ・ペトルッチ     ドゥカティTeam
2 アレックス・マルケス    レプソルホンダ
3 ポル・エスパルガロ     レッドブルKTMファクトリー
4 アンドレア・ドビツィオーゾ ドゥカティTeam
5 ヨハン・ザルコ       エスポンソラマレーシング
――――――――――――――――――――
7 中上貴晶          LCRホンダIDEMITSU

写真/motogp.com MICHELIN 文責/中村浩史

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