8月末のル・マン24時間耐久<https://www.autoby.jp/_ct/17388849>に続き、今週末はポルトガル・エストリルで2019-20世界耐久選手権の最終戦、エストリル12時間耐久が行なわれました。ル・マンでF.C.C.TSRホンダFranceがフルポイントウィン(=8時間/16時間経過時点の加算ポイントもレース結果も1位)を飾ったことで、TSRホンダがランキングをドンと上げての最終戦です。

最終戦を前に、チャンピオンシップポイントは、主要5メーカーがズラッと出揃って
①スズキエンデュランス(SERT)127P
②TSRホンダ    87P
③YARTヤマハ    82P
④BMWモトラッド  82P
⑤SRCカワサキ   80P
という順。

ランキングトップのSERTと2位TSRの差は40P。あれ?これじゃ優勝しても届かないんじゃないの?と思うなかれ、ポジションボーナス、さらに最終戦ってことで獲得ポイントは150%(35P×150%=52.5P)となり、予選上位5チームまでに与えられる予選ポイント(ポールポジションで5P)、8時間経過時の10位以内のチームに与えられるポジションボーナス(この時点でのトップチームに10P)を獲ってレースに勝つと、最大67.5ポイントが加算されます。計算上はトップ5チームすべてにワールドチャンピオンの可能性があるんです。

画像: ル・マン、このエストリルと、トラブルさえなければ……のスピードを見せたYARTヤマハ

ル・マン、このエストリルと、トラブルさえなければ……のスピードを見せたYARTヤマハ

画像: ポールポジションはYART でもこの後、ポールポジションのYZF-R1はエンジンかからないんです……

ポールポジションはYART でもこの後、ポールポジションのYZF-R1はエンジンかからないんです……

公式予選は、ル・マンでは開始2時間あたりで転倒を喫し、フィニッシュまでに4位まで追い上げたYARTヤマハがポールポジション。2番手にTSR、3番手にBMWモトラッド、4番手にSERTが入ります。SRCカワサキは8番手スタートです。とはいえ、ル・マン式スタートってグリッドひとつの差が2mくらいですから、12時間走ってピット作業も15回近くある耐久レースではナシも同然です。
レーススタートは日本時間の土曜日16時。なんとここで、ポールポジションのYARTヤマハ、マービン・フリッツがスタートミス! エンジンかかりませんでしたね、ここでYARTは参戦23台中ほぼ最後尾からの追い上げを強いられることになります。

画像: 序盤1時間ほど、レースをリードしたBMWモトラッド そろそろ世界タイトルが欲しいですね

序盤1時間ほど、レースをリードしたBMWモトラッド そろそろ世界タイトルが欲しいですね

画像: ERCエンデュランスは開始早々の転倒 現地放送ではパンクみたいです、って言ってた?!

ERCエンデュランスは開始早々の転倒 現地放送ではパンクみたいです、って言ってた?!

序盤のレースをリードしたのはBMWモトラッド! 予選トップ5のチームが順調にトップグループを形成しますが、ここでなんとYARTが最初のスティントで4番手までカムバックしています!
フリッツは最初の5周くらいでTOP10くらいまで追い上げましたからね、ル・マンといい、このエストリルといい、スゴいなYART! さらに注目チームのひとつ、ドゥカティパニガーレV4で参戦しているERCエンデュランスが開始早々、10分を過ぎたところで転倒し、マシン修復できずにリタイヤ。

画像: 開始1時間すぎごろでしょうか BMWモトラッドを抜き去ってついにYARTがトップに立ちます

開始1時間すぎごろでしょうか BMWモトラッドを抜き去ってついにYARTがトップに立ちます

2時間経過のリザルトではYARTがトップに浮上! 2番手のカレル・ハニカ走行中の時にステップバーが緩んでいたっていうトラブルがありましたが、大事には至らず。ひとつの転倒がこういうトラブルを生んでしまうのも耐久レースの怖さです。
YARTの30秒近く後方の2番手にTSRホンダ、3番手に僅差でSERT、4番手にSRCカワサキがつけています。BMWもここまでに転倒を喫して大きく順位を下げています。

画像: 淡々と上位を走るTSRホンダのNewCBR1000RR-R ル・マン優勝マシン!

淡々と上位を走るTSRホンダのNewCBR1000RR-R ル・マン優勝マシン!

レースが8時間を過ぎた頃、SRCカワサキがポジションダウン! このあたりからYARTとTSRホンダのトップ争いが激しくなり、SERTのペースが落ちてきます。SERTは実はこのあたりでマシンを1回ピットに入れていて、オイル漏れチェックかなんかでタイムロス! どうやらマシンに警告灯が点灯したようで、マシン修復を待つチームとライダーは生きた心地がしなかったでしょう。チャンピオン確定が、まさかのマシントラブルで……なんて可能性があったわけですから!!

しかし、このタイムロスもさほど大きな影響を及ぼすこともなく、SERTはペースをやや落としながらレースに復帰。このペースダウンは、異常をだましだまし、チャンピオン狙いのペースセーブしつつの走行だったんでしょう。SERTは予選、8時間ポジションボーナスを計算し終えて、このレースで5位に入ればワールドチャンピオンと理解していますから、こういう時にこのチームは決して無理しないんです。それがワールドチャンピオン!

画像: レース序盤、SERTとSRCカワサキ、BMWモトラッド ここにYARTとTSRが絡んでトップ集団を形成

レース序盤、SERTとSRCカワサキ、BMWモトラッド ここにYARTとTSRが絡んでトップ集団を形成

8時間をすぎた時点でのポジションは
①YARTヤマハ ②TSRホンダ ③SRCカワサキ ④SERT ⑤wojckレーシングヤマハの順で10P/9P/8P……という順にポイントが与えられます。
予選と8時間ポイントを与えられたこの時点での暫定シリーズランキングは
①SERT 136P ②TSRホンダ 100P ③YARTヤマハ 97P ④SRCカワサキ 88P ⑤BMWモトラッド 87Pの順。

画像: 薄暮を走る集団 ERCエンデュランスのパニガーレがいるから予選写真かも

薄暮を走る集団 ERCエンデュランスのパニガーレがいるから予選写真かも

画像: スタートミスのほぼ最後尾からレースをリードしたYART

スタートミスのほぼ最後尾からレースをリードしたYART

この後、レースは大きなポジション変動もなく進行していくんですが、レース後半はYARTヤマハとTSRホンダのトップ争いがレースの焦点になっていきます。残り1時間では、トップを走るYARTヤマハからTSRホンダまでの差が約1分。しかし、TSRホンダはそこから着実な追い上げを見せ、1分もの差を徐々に縮めて最終盤へ。
ここでYARTヤマハが、TSRホンダより1回多くピットインするタイミングだったものの、YARTヤマハはガソリン給油だけ済ませて素早くピットアウト! 結局TSRホンダは、ラスト1時間で30秒以上もその差を縮めたものの及ばず、YARTヤマハ→TSRホンダの順でフィニッシュ。12時間を走り切って25秒という僅差で最終戦が決着しました。

12時間を終えての最終順位は
①YART         421周 
②TSRホンダ       +24秒 
③wojcikレーシングヤマハ 418周 
④SERT         416周 
⑤VRDピエーレエクスペリエンス 415周 
⑥SRCカワサキ      414周 
⑦BMWモトラッド     412周

画像: 淡々とトップグループを走り、ワールドタイトルだけを狙って走ったSERT

淡々とトップグループを走り、ワールドタイトルだけを狙って走ったSERT

画像: 5位までに入ればワールドチャンピオン、って計算がたったら5位だけを狙えるチーム、それがSERT

5位までに入ればワールドチャンピオン、って計算がたったら5位だけを狙えるチーム、それがSERT

これでレースポイントは1位から順に①52.5P②43.5P③37.5P④31.5P⑤27P⑥24P⑦21Pが与えられ、見事にSERTが実に16回目の世界耐久ワールドチャンピオンに輝きました!

画像: 16回目のワールドチャンピオン! ドミニク・メリアン、バンソン・フィリップなき新世代SERTです

16回目のワールドチャンピオン! ドミニク・メリアン、バンソン・フィリップなき新世代SERTです

■2019-2020世界耐久選手権ランキング
①スズキエンデュランスレーシングチーム 167.5P 
②YARTヤマハ              149.5P
③F.C.C.TSRホンダFRANCE       143.5P      
④Wojcikレーシングチームヤマハ     114.5P
⑤WEBIKE SRCカワサキ TRICKSTAR   112P
⑥BMWモトラッドWorldEndurance    108P

写真/EWC 文責/中村浩史

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