その名も「M エンデュランスチェーン」!

画像: その名も「M エンデュランスチェーン」!

よく「シャフトドライブはメンテナンスフリー」という言葉を耳にします。正確には、一定のサイクルでリアホイール駆動部のハウジング内に満たされているベベルギアのオイルを交換してあげる必要があるので、完全なるメンテナンスフリーではありませんが、メンテナンスの頻度が少ないのは確か。ロングランの機会が多いツアラーやクルーザーに多く採用されているのもうなづけます。半面、構造が複雑で、堅牢ではありますがパーツとしては高価になります。

一方で、バイクの駆動方式として最もポピュラーなチェーンは、軽量で構造が簡素な上、コスト面でも優れており、多くのバイクに採用されていますが、チェーンがむき出しになっている構造のものが多く、サビや汚れに弱い面もあり、定期的な清掃と注油が必要です。また、長期間の使用でコマが伸びるので、アクスルシャフトの位置調整や、場合によってはコマ数の調整が必要になるなど、メンテナンスの手間がかかる面もあります。

だったら、両方の「イイトコ取り」ができたらいいのに! そう思う人も多いと思いますが、耐久性に優れ、注油などのメンテナンスもほぼ必要ないという、メンテナンスフリーの「夢のようなチェーン」が登場したのです! それがBMWが今回発表した「Mエンデュランスチェーン」です。

耐久性の秘密は「ta-Cコーティング」!

画像1: 耐久性の秘密は「ta-Cコーティング」!

レジーナチェーンとBMWが共同開発したこのチェーン、構造的にはすでに発売されているXリングチェーンと同様で、ローラーとピンの間に潤滑剤が入り、それをXリングでシールしているというものなんですが、この「Mエンデュランスチェーン」では、ローラーとブッシングの部分に、耐久性と摩耗性に優れた「ta-Cコーティング」が施されているのが特徴なのです。

画像2: 耐久性の秘密は「ta-Cコーティング」!

これはその構造図です。見た感じは通常のXリングチェーンに近いもの。リンクプレートも真鍮コートされたニッケル製です。

肝心の「ta-Cコーティング」ですが、この「ta-C」とは何か?と言いますと、正式には「テトラヘデラル アモルファス カーボン」というもので、ざっくり簡単に言うとグラファイトを膜状にコーティングしたもの。皆さんがよく聞く「DLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティング」もその一種です。

グラファイトもダイヤモンドも、大元は同じ炭素原子からできていて、硬度の面で優れています。また、炭素の粉末は滑らかで、潤滑剤としての効果も認められています。つまり、ドライブチェーンには非常に有効な素材なわけですね。

ちなみに、今回出てきた「ta-C」コーティングは、硬度が高く、表面エネルギーが小さい上、摩擦係数が低いので耐摩耗性にも優れています。おまけに密着性も高いので、はがれにくいという特徴も備えています。「DLC」との違いは炭素の割合の差で、「ta-C」の方が含有量が多く、硬度的にはDLCよりもダイヤモンドに近いものになっています。

このコーティングの採用で、コマの伸びが少なく、注油の機会もほぼいらない、メンテナンスフリーのチェーンができた、とBMWが発表したわけです。

まずはS1000RRとXRから導入。今後の導入にも期待

画像: S1000XR。これは欧州仕様の新色、2021年モデルです。

S1000XR。これは欧州仕様の新色、2021年モデルです。

そんな素晴らしいチェーンが採用されるのは、欧州仕様のBMWのS1000RRとS1000XR。今後生産されるモデルからオプション扱いとなるほか、現行モデルのオーナーさんはアクセサリーとして購入もできるそうです。

用意されるのは当面525サイズのみだそうで、今後順次そのラインアップ、適用車種を増やしていく予定だそうです。日本への導入はまだ未定ですが、いずれこのチェーンが導入されたら、ぜひ自分のバイクに装着したいアイテムとなるのは間違いナシ。今後が楽しみですね!

This article is a sponsored article by
''.